イベントレポート

ラ⁠ッ⁠セ⁠ル⁠・⁠ブ⁠ラ⁠ウ⁠ン⁠に⁠学⁠ぶ iPad Proを⁠使⁠っ⁠たLightroom⁠と⁠Photoshop⁠の⁠基⁠礎

取材:桐生彩希

12月4日、Photoshopの伝道師ラッセル・ブラウン氏が、Apple 丸の内にてPhotoshop iPad版を使ったワークショップを開催。iPad+Photoshop iPad版という組み合わせの楽しさや可能性を、ラッセル氏特有のユーモアを交えて紹介してくれた。

img_event_repo_apple191204_rb_01.jpg「アクアマン」に扮したラッセル・ブラウン氏とセーラーズ

Photoshopの神様がアップルストアに降臨

アドビシステムズ社のシニア・プリンシパル・デザイナーであるラッセル・ブラウン氏は、Photoshopの開発メンバーのひとりで、おそらく世界でもっともPhotoshopに精通した人物。自身がアーティストとして作品を作り出すだけでなく、Photoshopの楽しさや素晴らしさを広めるための伝道師としても活動している。いわばPhotoshopの神様だ。

ユーモア溢れるラッセル氏のデモは仮装が恒例になっているのだが、今回は「アクアマン」に扮して登場。額に埋め込まれた魔法の真珠がパワーの源なのだと、お茶目に力説する。そんなラッセル氏の言葉を、水兵の衣装で登場した遠藤悦郎氏が軽妙に訳す。遠藤氏もまた、Photoshopの黎明期からその存在を紹介している伝説的なデザイナーだ。

img_event_repo_apple191204_rb_02.jpg「アクアマン」の姿でラッセル氏が登場。自らの姿を写した写真を使い、ファンタジックに加工する処理を参加者とともに施していく。ラッセル氏の言葉は、デザイナーでもある遠藤氏が分かりやすく通訳

ワークショップの参加者には、ラッセル氏のデータが保存されたiPad Proが貸し出され、ラッセル氏とともに作業していく。iPadを所有している参加者は、Appleのスタッフが使用する素材をコピーしてくれる至れり尽くせりのワークショップだ。

神様の用意した素材に触れ、一緒に作業できる数十名の幸運な参加者とともに、ワークショップがはじまる……はずなのだが。ラッセル氏のパフォーマンスは続き、参加者も思い思いに彼の姿を撮影。ラッセル氏のデモは、常に参加者を楽しませてくれる!

img_event_repo_apple191204_rb_03.jpgラッセル氏は参加者とコンタクトをとりながらデモを進めていく。語り掛け、質問し、ときにはポーズを作って写真の撮影を要求する。一瞬たりとも気が抜けない、楽しいワークショップだ

満足度の高いワークショップ

ラッセル・オン・ステージの様相でワークショップは進行していく。iPadやPhotoshopの機能を細かく説明するのではなく、参加者と一緒に操作して、結果を見せるスタイル。証明写真のような「アクアマン」の素材を切り抜いて、背景に水の写真を合成して、いくつかのテクスチャを重ねて雰囲気を出し、スポットライトの写真や光源の写真を追加して…と、ファンタジックな「アクアマン」の世界を作り出していく。

img_event_repo_apple191204_rb_04.jpg被写体を切り抜いたり、描画モードを駆使して合成したりと、iPadを使い本格的なレタッチを施す。「こうすればこうなるよ」と、ひと手順ずつていねいに解説してくれるため、まったくの初心者でも脱落することなくついていける

最終的には、9つの画像とテキストのレイヤーを重ねて作品を作り出すのだが、ラッセル氏のユニークなキャラクターと、遠藤氏のコミカルな通訳のおかげで、難しさとは無縁。参加者が脱落しそうなシーンでは、ラッセル氏が会場を回り、ひとりずつチェックしていた。

「このボタンを押して」「これを選んで」「長く押してから上に移動して」「ダブルタップして」と、本来なら複雑で高度な作業も、彼の手にかかればあっという間に処理できてしまう。

「みなさんついてきてる? すごい優秀なクラスです。これぞ、Photoshop iPad版の使いやすさの証ですね!」

初心者向けのワークショップでありながら、上級者でも覚えたい機能を随所にちりばめているため、レベルを問わずに満足度はとても高い。中でも、選択範囲の表示モードを変更する操作は、Photoshop iPad版で合成処理を行なう際には駆使したい機能といえる。

この操作にはキーボードが必要なのだが、ラッセル氏はたびたび「iPadにキーボードは必須」と推奨していた。ちなみに、選択範囲の表示モードを変更するときは、キーボードの「F」キーを押せばよい。

img_event_repo_apple191204_rb_05.jpgiPadに接続したキーボードの「F」キーを押すと、選択範囲の表示モード(見え方)が変更できる。画面は背景の白い部分が選択された状態でFキーを押している

ラッセル氏直伝・3つのスーパーヒント

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ラッセル氏のワークショップは、同じ操作を何度も繰り返して機能の使い方を学ばせ、使い慣れたころにアレンジを加えてより高度な作業へと昇華していく点が特徴だ。これにより、知らない機能もいつの間にか応用的に使えるようになってくるから面白い。そして、効果的なPhotoshopの使い方を「スーパーヒント」として3つほど紹介してくれた。

ひとつめの「スーパーヒント」が、レイヤーを合成する「描画モード」の変更だ。キーボードの「Shift」キーを押しながら、「-と=があるキー」を押すと、描画モードが順番に変更されていく。ちなみに、英語版のキーボードは「-」と「=」キーが分かれているため、前後の描画モードに変更しながら試せるとのこと。日本語のキーボードの場合は、一方向のみの変更になってしまうのが少し残念。

ふたつめの「スーパーヒント」は、レイヤーの画像を移動するショートカットの「矢印」キー。上下左右の「矢印」キーを押すたびに、レイヤー上の画像や文字が1ピクセルずつ移動する。「Shift」キーを押しながら「矢印」キーを押すと10ピクセルずつの移動が可能になり、Photoshop iPad版で正確に画像や文字を配置するためにはとても重要な操作といえる。

そして、最後に紹介してくれた「スーパーヒント」が、複数のレイヤーを簡単に選択する技。「レイヤー」パネルでひとつめのレイヤーをタップして選択したら、次のレイヤーを右にスワイプ。これで、複数のレイヤーが選択された状態になる。Photoshop iPad版の情報はまだまだ少ないので、裏技的な使い方はとても参考になる。

img_event_repo_apple191204_rb_08.jpg「アクアマン」のレイヤーをタップで選択し、上の「アクアマンのコピー」レイヤーを右にスワイプすると2つのレイヤーが選択できる。この使い方は覚えておくととても便利だ

個人的に印象的だったのが、テキストに影をつける作業だ。Photoshopデスクトップ版では「レイヤースタイル」を使えば簡単に作り出せるのだが、この機能はiPad版ではまだ未搭載。では、どのように処理をしたのかというと、テキストのレイヤーを複製して、色を黒に変え、「スーパーヒント2」で少し移動してから「ぼかし(ガウス)」フィルタでドロップシャドウを作るという昔ながらの手法。便利な最新機能やテクニックだけでなく、昔ながらの定番の機能や操作も覚えておくべきだと改めて実感させられた。

楽しんでいるうちに自然と操作感がわかってくる

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Photoshop iPad版は、デスクトップ版に比べてまだ機能が少ない。でも、プログラムの中にはすでに各機能のコードが含まれているとラッセル氏は教えてくれた。今はまだ封印されている機能を順に開放していくので、楽しみに待っていてもらいたいと話す。

今回紹介してくれた機能の中で、ラッセル氏が自慢していたものが「レイヤーのプロパティ」パネル。選択しているレイヤーに対して、「不透明度」や「描画モード」「調整レイヤー」、今はまだ解放されてはいないが「効果」や「スマートフィルター」などを一括して操作できる機能だ。

このパネルは、ラッセル氏が個人的にPhotoshop iPad版の開発者に対して要求したものだという。素早くクリエイティブな思考を刺激するためには必要な機能なのだと紹介していた。

img_event_repo_apple191204_rb_09.jpg「レイヤーのプロパティ」パネルは、「調整レイヤー」や「描画モード」など、選択したレイヤーの状態が一目で確認&設定できる便利な機能

個人的に機能を作ってもらうという「Photoshopの神様」の片鱗を見せたかと思うと、通訳の遠藤氏に対して「私の言葉よりなんでたくさんしゃべっているの?」とジョークを飛ばすラッセル氏。Photoshopを長年使い続けている遠藤氏ならではの補足説明のためトークが長くなることがあったのだが、それに対してのツッコミだ。

そして、とある参加者に対して景品を進呈したいと大喜びをする。

「賞品があるなら、ぜひ彼に。彼はすごい! なぜかというと、私の説明とはまったく関係のないことをしているのだから」と会場の笑いを誘った。ほとんどの参加者はラッセル氏の作業をトレースしていたのだが、ひとりだけiPadで別のことをしていた参加者に面白さを見い出したようだ。これに関して、ラッセル氏は本当に面白がっていた様子だった。

ラッセル氏のデモやステージは、常に参加者を楽しませたいという思いが伝わってくる。参加していてとても楽しいし、一体感が感じられるセッションだ。残念ながら今回のワークショップに参加できなかった方、ラッセル氏は来年のAdobe Max Japanでも来日するつもりだという。Appleとも何かやってみたいと語っていたので、次回はぜひとも“神様のステージ”を体験してもらいたい。

img_event_repo_apple191204_rb_10.jpg最後は記念撮影タイム!

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