CINEMA EOS SYSTEM

EOS C300制作事例「キヤノン EOS M テレビCM」

キヤノン EOS M 妻夫木聡 海篇/新垣結衣 岬篇・牧場篇/木村カエラ 観覧車篇

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光と闇の微妙なコントラストをC300で表現した

キヤノン初のミラーレスカメラEOS MのCM。キーワードは“撮る人のリアルな言葉で、写真やカメラに対する気持ちを表現する”。旅先で出会った自分だけの思い出を誰かに見て欲しい。そんないい写真が撮れた時に誰もが思う気持ちを描く。

妻夫木聡、新垣結衣、木村カエラの3人がそれぞれ訪れた場所で、思いのままに撮影している様子が共感を呼ぶ。

ロケ地は北海道の尻羽岬、高松と男木島を結ぶフェリーの中、北九州市の到津の森公園の観覧車の中など。撮影の上田義彦さんが出演者の感動を想像し、なおかつ3人がそこに立つことによっての美しさにもこだわって探し出した場所で撮影した。

風の強い海沿いの草原、動く船の上で撮る夕日、観覧車の中など、自然と対峙する撮影条件の厳しいシチュエーションを確実に捉えるためにEOS C300で撮影(Canon Log収録)されている。

上田義彦さんがデジタルシネマカメラで撮影するのはほぼ初めて。それにも関わらず、デジタルの長回し可能な特徴を活かし、絵作りに関してはフィルムと同様に露出を測り、いい瞬間を逃さず押さえるという通常の撮影方法を貫いて、旅情を誘う見事な映像を捉えている。

Interview 上田義彦

写すことのストレス、写ったものに対するストレスはまったく感じない

──旅先に身を置く、出演者の表情がどれも自然で楽しそうでした。

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うえだ・よしひこ
トヨタマーケティングジャパン REBORN、サントリー伊右衛門、サントリーBOSSレインボーマウンテン、ANAココロノツバサほか多くの広告作品を撮影。

上田 かなり綿密なロケハンをしてどこでどう撮ろうというのはある程度決めていました。ただ撮影に入れば、光、そこで起こること、出演者の気持ち、現場を目の当たりにすることで心が揺さぶられます。

だから、その場の感覚を一番大事にして撮っています。現場で予想していなかった何かが起こることでトキメキがあるだろうし、計算できない「いいな」と思える瞬間が生まれるのだと思います。出演者と我々がそういう豊かな気持ちを共有することで新鮮な喜びをはらんだ映像が撮れるのだと思います。場は決めておかなくてはいけないし、世界観も決めておくべきだと思いますが、大切なのは、その世界の中で我々の共有する夢を実現する為に自由にのびのびと皆が生きる事、そうする事で思わぬ映像が撮れる。すごく新鮮な空気がザーッと流れる映像が撮れる。そこが一番大事なところじゃないかと思います。それによって二度と撮れないようなこと、奇跡が写るのだと思います。

いくら準備していても実際撮影の天候などによって変化して行きます。でも常に自分の中にある天候に対してや光に対しての基本的な気持ちは、どんな天気でも受け入れ、その状況でしか写らないその良さを写すという事です。その天候でしか撮れないものに気付いたとき、まさに一期一会ですね。その時その場所でしか出会えないんだからそれを楽しむようじゃないともったいない。映像にもそういう楽しさが写っていると思います。

──普段はスチルもムービーもフィルムで撮られていると思うのですが、今回EOS C300をお使いになってどう感じましたか。

上田 デジタルで撮るのはほぼ初めてです。フィルムカメラと比べれば多少の違いは感じているはずだけど、言語化できない。すごく曖昧なことで、言葉にしてしまうと誤解だったり間違いだったりするようなことだと感じています。逆に言うと、そのくらい僕にとっていつもと同じで違和感がなかったのだと思います。強いて言えば、デジタルの良くないところはずっと撮れることですかね(笑)。なぜこんなに長く回っているんだろうという感覚はありました。

いつまででも撮れてしまうので甘えてしまう。フィルムだとあと何フィート、あと何分しかないとわかるので、ここは撮れているから後のことを考えてフィルムを残しておこうと考えるんですが、そういう風にいつまでも撮れる感覚というのに違和感はあった。あとで見返すと欲張って撮り過ぎている、これは監督がシーンを選ぶ際に困るだろうなと。でも、それがデジタルの長所でいつでもどんなときでも撮れるという事はとても嬉しい事なんだけどね(笑)。

写すことに対してのストレス、写ったものに対してのストレスはまったく感じなかった。いつもと同じ感覚で、とてもいいなと思いました。ゴンドラの撮影はかなり狭いところだったのですが、フィルムカメラだったらマガジンが飛び出して入っていなかっただろうけど、C300が小型なので撮れたんだろうと思います。撮影していると夢中でほとんどファインダーを覗くことだけになるからフィルムじゃなかったということを忘れていました。

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自分が映像に対して要求する質について今思い返すと、あの撮影でC300を使って何かいつもの感覚が損なわれたという事を、撮影時、テレシネ時において一切感じなかったという事は、僕にとって驚きでした。デジタルにとって良いことばかり言っていますが、未だ言語化できていない何かを感じているので、フィルムと比較してどちらがいいのかということはまだ言えないですね。

北海道、四国、北九州、すべてのロケ撮影をC300で収録している

img_products_cinemaeos08_09.jpg 海篇撮影時の様子。「海篇の船のエンジンがかなり振動することがわかって、それを改善するためにかなりいろんなことをやりました。最終的にはタイヤを下に敷いてその上に三脚を載せています」(上田義彦)。
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牧場篇撮影時の様子。
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EOS Mのグラフィック広告も上田義彦さんが撮影。EOS 5D MarkⅢで撮影している。
CA=TUGBOAT 企画制作=TUGBOAT+博報堂+ goen°+東北新社 SCD=清水篤志郎・須田和博(博報堂) CD+AD+Pl+C=TUGBOAT Pl+I+Crd=森本千絵(goen°) AP=鈴木努(TUGBOAT) Pr=河西正勝・大村崇也 Dir=中島信也 P=上田義彦 L=榎木康治(観覧車篇) A=中村桃子(観覧車篇) PM=野中直・尾島隆 VE=関口明(オムニバス・ジャパン) Crd=田谷勉・ワークス ST=伊賀大介(妻夫木聡・新垣結衣)・白山春久(木村カエラ) HM=勇見勝彦(妻夫木聡)・小西神士(新垣結衣)・フジワラミホコ(木村カエラ) MP=渡辺秀文(ミスターミュージック) Colorist=福田康夫(オムニバス・ジャパン) ED=宮崎努(東北新社)・泉陽子(オムニバス・ジャパン) MA=切金潤

上田義彦氏のトーンをC300でどう再現したのか?
VE、カラリストに聞く

関口 明 オムニバス・ジャパン VE/テクニカルディレクター

スチルフォトグラファーがC300でムービーを撮る際に呼ばれることも多いので、ある程度の感覚はわかっていました。今回、上田義彦さんはデジタルシネマカメラを初めて使われるので、撮った素材に対してどのぐらいグレーディングできるのかを一番心配なさっていました。

フィルムで言う絞りに対して、カラコレでどのぐらいの暗さから持ち上げてどんな仕上がりになるのか。ワンカット撮った後にどれだけ動かせるのか検証できていなかったので、現場で簡易的なカラーグレーディングを行なって、「このぐらいいじれるんだったら大丈夫」と確認できたのがよかったですね。収録の時に失敗するとカラコレでは直せないこともありますので、そこに気を使いました。現場で一緒にやっていくうちにこのぐらいのところを狙っているなというのがすぐにわかったのでやりやすかったです。苦労した点は瞬間を切り取るという意味で、極力常に回せる状態にスタンバイしたところぐらいですね。

C300はフィルムのように見せることもできるし、HDの絵も出せるカメラです。光を当てれば当てるほどビデオっぽくなってしまう。上田さんの場合は天然の光を利用して、通常のCMではありえないくらいの光しか押さえていないので自然なトーンができたんだと思います。

福田康夫 オムニバス・ジャパン カラリスト

上田義彦さんのCM作品のテレシネ作業にご一緒させていただいてます。今回は上田さんが初めてC300で撮影されるということもあり、上田さんのいつものトーンにカラコレできるのか、確認をするために四国の妻夫木聡さんの撮影に関してはDITとしても参加させていただきました。

撮影初日にホテルの宴会場を貸しきってDavinci Reolve、マスターモニター、民生機モニター、波形モニター等を設置し、簡易のカラーグレーディングスタジオを作って、トーンの確認をしたのが印象的でした。

弊社のスタジオでのカラコレ作業時においては、C300になったからといって、上田さんのスタンスは変わることなく、フィルムでのカラコレ作業同様に、どうすれば、撮影された映像がより美しいものになるかを集中し、カラコレされていました。結果的には今回のCMはドキュメンタリーに近い作品ですので、撮影された光や色調を生かすためにグレーディングで大きく色を動かすことはせず、微調のみの作業でした。

上田さんをはじめとした撮影クルーが光と影を見事にC300に写しこんでいるのが、今回の撮影に立ち合わせていただいて本当によくわかりました。

Interview 中島信也

C300はかなり過酷な状況にも耐えうるタフネスさを持っていました

──今回、カメラのCMを演出するにあたって考えたことを教えてください。

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なかじま・しんや
東北新社所属。資生堂の企業CM、サントリー伊右衛門など、上田義彦さんとのコンビで多くのCMを制作。その他、最近の仕事:かっぱ寿司、NTTドコモ。

中島 よくあるのはカメラから撮った先の美しさを表現しているものですけど、今回は使い手の気持ちにフォーカスしています。決められた役を演じるのではないので、普段よりたっぷり時間を取って撮影しています。フィルム収録ではライブを記録するスタイルには向いていません。いい瞬間が見つかるまで回しっぱなしにして撮れるという意味においてC300は機材の選択として良かったと思いますね。

上田義彦さんが撮った映像が大量にあるのはさすがに選ぶのが大変かなと思っていたのですが、いい瞬間は現場で経験しているので、それを探すモードになればすぐ見つかりました。映像というのは見る人に理屈じゃないもので伝えていくものなのでいい絵のつながりにまさるものはなかなかありませんし。

──C300での撮影で、今までの上田さんの仕事との違いを感じましたか。

中島 上田さんとの仕事は現場で必ず「いいな」という瞬間があるので、そこを一緒に見つけていくという作業で、いつも通りにやれたとは思います。ただし、フィルムとは特徴が違うので難しい面もあったとは思います。上田さんは風景にしても人にしてもものの持っている色とか質感を大事にする人だと思っています。ある種日本画的というか、光よりもまず人の肌の質感がどうかということを意識される。

海外の撮影監督はそれよりも全体の光の構成であるとか、どこに光源があってその光がどう当たっているのか、空間そのものが持っている美しさに目が行く人がほとんどじゃないかと思います。上田さんのように「この肌の色のグラデーションが欲しいんだ」といった時には、フィルムの方が表現しやすいのかもしれません。

ただC300はすごくいいトーンが出ていますし、上田さんを含めた撮影チームは、その時に一番いい瞬間を見つけていこうとします。そういう才能の元で使われているからフィルムと遜色ない上がりになっているということはあると思いますね。

シャープになり過ぎていわゆるビデオっぽさが強調されている絵もあった。上田さんは現像してテレシネする時に「現場で感じた良さをもう一度呼び起こす過程だ」とよく言っているので、現場で「いいな」と判断した映像については狙い通りに出ていたと思います。撮った中には強い光が当たってコントロールしきれていないものもあるんですね。そこは撮影現場のコンディション次第だと思うんですね。

C300はかなり過酷な状況にも耐えうるタフネスさを持っていました。長時間のロケでも全くトラブルはなかったです。ボケ味はデジタルの特徴です。被写界深度の浅い絵が撮れるという意味ではフィルムよりも綺麗な絵になることがあります。でもDSLRで撮った絵は少し不思議な感じなんですね。レンズの味はいいんだけど、動画の質として考えると少し違和感がある。少しパラパラしているんです。その点もC300はまったく問題なかったですね。

──このCMがC300で撮っていると知って驚く人も多いと思います。

中島 そこは宣伝しちゃったなと思います(笑)。撮影に関しては全く問題なかったです。

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ラボに入って最終的な調整する時のコントロールの幅で暗い中でのグラデーションだとか、微妙なところがデジタルだから省略されている部分はあるだろうなとは思います。階調性はフィルムの方があって、C300はデータ量が少なくて空と雲のグラデーションなどバンディングが出やすいんですけど、そこも目立ちませんでしたし。ただC300で撮れば誰でもここまで撮れるというわけではない。露出計で測ってフィルムでも可能な状況だけで撮ったり、絵が壊れそうなところは除外したりなど、ちゃんと絵作りをしていけば、充分ポテンシャルのあるカメラだと思いますよ。


協力:キヤノン(株)・キヤノンマーケティングジャパン(株)
CINEMA EOS SYSTEM ホームページ canon.jp/cinema-eos


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