一眼ムービーなんて怖くない!

気軽に使えて高性能、エントリー機といって侮れないLumix G100

解説:鹿野宏

コンパクトボディにVlog機能を詰め込んだコンセプトカメラ

img_products_dslr_nofear82_01.jpg 12-32mm付属レンズとバッテリー、メモリーカード込みで約412g。H 82.5mm×W115.6mmというコンパクトさ。個人的にはUSB給電不採用だったのは残念だが、機能は別にして、持った時の可愛さにちょっと負けてしまいそう。
このサイズでフリーアングルモニターであることだけでもありがたいが、モニターをひっくり返すと強制的に顔・瞳認識AFに切り替わり、露出も後方の被写体まで被写界深度に入れようと絞り込む方向に自動調整し始めるのには驚いた。さらに音声もトラッキングしてくれて、おまけに3秒間のカウントダウンまでしてくれる。もちろんこの設定はカスタムメニューでキャンセル可能。動画記録中の赤枠表示もディスプレイいっぱいに広がって抜群に見やすい。


Vlog(ビデオブログ)という今流行りのマーケットに向けて投入されたパナソニックのカメラLumix G100。マイクロフォーサーズのメリットを活かし、小さく軽く、しかも本格的にレンズ交換が可能。筆者の仕事でも使えるのではないかと気になり、テスト使用してみました。

早速、Vlogに挑戦

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カウンターを背にした自撮りからの「〆銀鯖の炙り」調理のアップ。 撮影協力:にぎり屋 八べゑ

実際に馴染みの寿司店を訪れ、動画ブログを作ってみた。全てオートの設定で「記録ボタンを押して収録・停止」、キットレンズのズーミングを変更するだけの操作で撮影。基本的にナレーションモードで撮影していたが、自撮り時にはきちんとレンズ正面の音を記録する。どのシーンも驚くほど綺麗に撮れていた。


第一印象は「これだけ機能を満載した割によくぞここまで小さくまとめたものだ」でした。重量はキットレンズ、バッテリーなど込みで約412g。もちろんそのために外された機能もありますが、コンセプトがはっきりしたカメラであるため、それも納得がいきます。

イメージセンサーの総画素数はGH5と同じ2177万画素、測距点はGH5の225点に対して大幅に少ない49点です。しかしコントラストAFの駆動速度やAF速度の高速化を含めたアルゴリズムの進化のおかげなのでしょう。人物撮影においては思ったよりもいい感じにフォーカスします。

撮影可能時間はGHシリーズと比較して短く、4K 約10分、FHD 60p 約20分、FHD 30p 約30分。少々物足りない気もしますが、ターゲットを考えると10分以上長回しをする必要はあまりないのだと思います。

カメラ内蔵の手ぶれ補正は電子式。写真撮影ならば撮像素子シフト方式が理想ですが、動画撮影であれば充分。むしろ電子手ぶれ補正で「ここまで止まる」という性能を見せられた思いです。そもそも「このカメラに2177万画素が必要か?」と考えていたのですが、「ある程度の写真も撮れるし、電子手ぶれ補正の補正量を確保したい」となれば、この画素数も必要だったわけです。

EVFに関してもエントリークラス、Vlog向けならば「背面モニターがあれば不要では?」考えていました。しかし実際に使ってみると、フードをつけた外部モニターなしで撮影をしている時など、このファインダーで細部やフォーカス、色彩もきちんとチェックできます。この辺りも「カメラ1台で全て済ます」コンセプトの表れでしょう。

色彩再現、特に肌色に関してはGH5s以降劇的に進化し続けた肌色のチューニングがついに完成の域に達して、動画でも気持ちのいい肌色が苦労せずに手に入ります。

GH5sなどと比較すると高感度性能は「それなり」なのですが、ほぼノーマルのイメージセンサーと考えると(あくまで予想ですが)、頑張っています。

全体的にやや高感度寄りのカーブを採用しているようで、ISO200ではシャドウ側の階調が圧縮される傾向にあり、ISO400が一番美味しく、階調特性が優れています。高感度側も感度が上がるに従ってシャドウ部のコントラスト再現幅が狭まっていきますが、ISO1600までは女性のポートレイトでも問題なく、風景などであればISO6400も充分に使えると感じました。

ノキア社製OZO Audioを採用しているのも注目です。マイクはカメラ前面のステレオマイク2つに加え、背面に向けて1つ追加され、その位置関係を利用して環境音を立体的に拾うサラウンドモード、顔の位置や人数に合わせて収音範囲を自動調整するトラッキングモード、撮影者の声を中心に拾うナレーションモードなどが用意されています。内蔵マイクの音も良く、しかももっといい音を撮りたければ、マイク端子も用意されています。

確かに値段的にはエントリークラスのカメラですが、すでにLumix GHシリーズのカメラ資産のある筆者にとっては、サブカメラとして持って行き、仕事によってはそのまま最後までメインで使ってしまえそうなカメラだと感じました。

(スマホ以外で)ちょっと「動画撮影をしたい」という一眼ムービービギナーの方にもよいかも知れません。レンズを揃えることでステップアップを充分に楽しめ、中上級になっても手放さないカメラと言えます。

このカメラに似合った「10-25mmF2.8」といった小型のレンズの出現が待ち遠しいところです。

4Kライブクロップも、使ってみると意外と便利

img_products_dslr_nofear82_03.jpg 写真左:トライポッドで窓際にセットしたG100。液晶画面の四角の枠がパンニングの設定。写真右:クロップ範囲を移動しながらFHD映像を記録していく。今回は4Kの全体画面の左下から右上にクロップ。

実際に記録された映像(FHD)。カメラを固定しているため、手ブレのないなめらかなパンニングが可能。

4Kライブクロップは、カメラ内で4K範囲からFHD動画を切り出して撮影する機能。これまでも4Kライブクロップが搭載されたカメラは使用してきたが、この機能を使うことはほとんどなかった。今回、入門機としては美味しい機能かもしれないと思い、撮影してみたのだが、仕上がりがFHDでいいのなら、かなり重宝なものだと初めて認識できた。切り出し範囲の移動やズームをあらかじめ設定しておけば、熟練のカメラマンがザハトラーにカメラを乗せてパンしているような見事なパンニングや、レンズマンがカメラ横にいるようなズーミングをしてくれる。使いこなすと映像に変化をつけることができるだろう。
作例はスカイツリーからの夜景。窓際にG100を小型トライポッドで固定して撮影。


スローモーション&AF機能


顔がレンズを向いている間はフォーカスが追い続ける。

スロー&クイックモーションの設定がモードダイアルに追加されたおかげで、思いついたらすぐスロー&クイック動画が撮影できる。10分間もスロー撮影ができ、しかもかなりの精度でAFが効く。作例は、カメラを三脚に据え、その前を筆者自身が前後左右に動いてみたもの。



※この記事はコマーシャル・フォト2020年12月号から転載しています。


鹿野宏 Hiroshi Shikano

デジタルカメラの黎明期からほとんどの一眼レフタイプのデジタルカメラを遍歴。電塾塾長としてデジタルフォトに関する数多くのセミナーを開催。カラーマネージメントセミナーも多い。写真撮影では2億画素の巨大な画像を扱い、2009年から動画撮影をスタート。WEB上の動画、デジタルサイネージ、社内教育用などの「ミニマル動画」を中心に活動している。

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