一眼ムービーなんて怖くない!

第11回 動画のバックアップはどうしていますか?

解説:鹿野宏

動画を完成させ、必要なサイズ、フォーマットで納品した後、どのようにバックアップを保存していますか? これだけの大容量データをマシンの中に入れっぱなしにするのは大変ですし、編集ソフトの内部には大量のレンダリングデータも残されていて、かなりの容量を占有しています。かと言って、ここまで編集した履歴を全て消してしまい、完成した動画だけを残しておくという訳にはいきませんよね(完成した動画の保存形式も問題です)。後からテキストやナレーションを入れ替えたいという要求があった時のためには、どのように保存するのがベストなのでしょうか? 「筆者の場合」を紹介しましょう。

1.元の動画素材はどうする?

私の場合、大元の動画素材のほとんどがH.264なので、さほど容量を必要としません。ですので使用した素材および使用するかもしれない素材はそのまま保存してあります。私のバックアップには「オンラインでいつでも取り出せるもの」と、普段は電源を切られている「オフラインでネットワークから切り離されているもの」の2種類があるのですが、通常は電源が切られている「オフライン」の方に大元の素材をバックアップ。どちらかというと非常事態用です。

筆者のバックアップシステム
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このデータは作業が完了しても一応そのまま保存してあります。どのデータをバックアップするかは人それぞれだと思いますが、私は「よほど使わないカット」以外は、とりあえず残してあります…貧乏性なのですね。

2.作業中のバックアップ

FCP Xのファイル構造
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Final Cut Pro Xは「Project」と「Event」の二つのフォルダを作り、そこに素材やレンダリングファイルなどを自動的に格納している。

Final Cut Pro X(FCP X)の場合、デフォルトではデータは全て「Movie」フォルダの直下に作られる「Final Cut Events」と「Final Cut Projects」のフォルダに格納されています。これまでの動画編集ソフトは「ローカルディスク内にリンクを張って素材を読み込む」形式が主流でしたが、FCP Xは「音源、静止画、動画、テキストなど使用する素材すべてを“Events”に格納されなければいけない」というルールで動いています。そのため「Final Cut Events」フォルダの中には読み込んだ「オリジナルメディア(音源、動画などの元素材)」「Final Cut Pro Xに表示するために生成されたプロキシメディア」などが格納されています。後から素材を追加しない限り、このフォルダの中身は変化しません。

「Final Cut Projects」フォルダにはプロジェクト、タイムラインの編集内容、レンダリングファイル、過去歴などが格納されています。編集作業の間、このフォルダのデータはどんどん書き換えられていきます。

つまり「Final Cut Events」と「Final Cut Projects」の二つのフォルダが必要データの全てになります。そのため、作業中のアクティブなバックアップとしては、いつでも取り出せるサーバなどに、その二つのフォルダをそのままコピーして保存しておきます。作業中、新たなデータ(素材)を追加しない限り、「Projects」フォルダさえ更新しておけばOKです。この作業はFinderから直接操作可能です。

3.仕事が完了した後のバックアップ(完成データの保管)

基本的に「作業中に使用したバックアップ」をそのまま保存しておいても構いませんが、それでは容量が大きくなってしまいます。また、再書き出しが必要な場合にも、時間がかかるので、私は二つの形態で作業終了データのバックアップを取っておきます。

高品質MPEG4で保管
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テキスト、音声も含めた「完パケ」をMPEG4で保存。高めのビットレートで保存しておけば、メディアの変更にも対応できる。

完成した動画は2つの形態でバックアップ
完成データのバックアップ(保管)は、納品後のクライアントからの変更依頼に対応できるように、高品質MPEG4と、動画の必要部分のみをまとめたFinal Cut Pro Xデータの2種類をバックアップ(保管)している。

最小限のFCP Xデータを保管
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編集が終わったFCP Xデータ。ただしこのままだと複数の動画素材を「Final Cut Events」フォルダに持っている。そこでテキストや音声を「使用しない」にして映像のみProRes422で書き出し。「白完パケ」を作る。

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上のFCP Xのデータの映像部分をProRes422で書き出した「白完パケ」と差し替え、レンダリングデータのみを消去してコピーするか、「プロジェクトと使用したクリップのみ複製」で、コピーして保存する。

一つは、納品後に「別の形式で書き出して欲しい」「DVDにして欲しい」などのリクエストに応えるため、一般に「完全パッケージメディア」略して「完パケ」とよばれる形での保存。これは音声もムービーもテロップも皆まとめて、一本の動画としてMPEG4形式で書き出します。書き出し設定も、もともとのサイズで、高めのビットレート、高品質で保存しておきます。

MPEG4形式の理由は、多くのアプリケーションで認識でき、比較的高画質、高音質で容量もコンパクトになるためです。もちろんMOV形式でもかまいません。基本的には同一の物です。ここで間違えても「フラッシュ」や「WMP」などで保存しないように。配布には便利でもバックアップには品質の面からも不向きです。

さらに「テキストのみを打ち替えたい」「ナレーションの追加、変更をしたい」というリクエストのために、一旦、「白完パケ」(これも業界用語で、音声やテキストを外して映像のみを統合した物)を、「ProRes422」で書き出し、もう一度FCP Xに読み込み、音声やテキストと同期した状態で、バックアップしておきます。

映像素材は最終完成形のみにまとめているので、作業中のバックアップと比べたら、全体としては不要なデータがなく、レンダリングファイルもないため、コンパクトに保存できるのです。

このデータではもちろん動画の再編集はできませんが、自由自在にナレーションを変更したり、テロップやタイトルの一部だけを変更、追加することができるようになり、レンダリングも最低限しかかかりません。実際の仕事では、納品後の映像を修正したいということはほとんどありませんが、価格の改訂など、テロップやナレーションの変更は、時々あるのです。

テープの時代には音声のみ、テキストのみのデータも別に取ってあったようですが、デジタル時代の今は見事にシステマチックにバックアップできるのです。

鹿野宏 Hiroshi Shikano

デジタルカメラの黎明期からほとんどの一眼レフタイプのデジタルカメラを遍歴。電塾運営委員としてデジタルフォトに関する数多くのセミナーを開催。カラーマネージメントセミナーも多い。写真撮影では2億画素の巨大な画像を扱い、2009年から動画撮影をスタート。WEB上の動画、デジタルサイネージ、社内教育用などの「ミニマル動画」を中心に活動している。

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