一眼ムービーなんて怖くない!

第12回 Lightroomを使ってカラコレ

解説:鹿野宏

CMなどのプロダクション作業の場合、通常、動画のカラーコレクションはその道の専門家にゆだねられ、撮影者自身が行なうことはまずあり得ないのですが、私が目指している「ミニマム動画」の場合は、これも撮影者の作業であり、編集者でもある自分がやることになります。

私たちフォトグラファーは、普段から色に関しての必要な訓練は積んでいるので、問題はないはずなのですが…動画編集アプリケーションの色補正ソフトには、馴染みが薄いのです。

そこで、私はAdobe Lightroomを動画のカラー調整に使用しています。Lightroom4から動画の色補正も可能になり、「これならこれまで培ってきた色補正のノウハウを存分に活用できる」と考えたわけです。

ただし、残念ながら現バージョンで動画に使用できるのは「ライブラリモード」の簡易編集機能のみです。使える補正は、ホワイトバランス補正、露光量、コントラスト、白レベル、黒レベル、自然な彩度とプリセットに限られ、スポイトツールやトーンカーブ等のツールは使えません。特殊効果を狙うのではなく、異なる条件で撮られた映像の色調が自然に繋がるように編集するだけであれば、これらのパラメータで何とか解決できていましたが…。

使い慣れたスポイトツールやトーンカーブを使う手立てはないものかと模索していたところ、カスタムで制作した現像プリセットは、簡易編集機能でも読み込むことができることに気がつきました。現像プリセットならスポイトツール、トーンカーブ、自然な彩度、明暗別色補正、処理バージョン、キャリブレーション等を加えることができます。これでかなり自由度が上がります。

さらにこの方法に加え「Spyder CHECKR」を利用すると便利なことを発見しました。ある程度の標準的なカラーコレクションを「Spyder CHECKR」のキャリブレーション機能を利用して、自動でやってしまおうというアイデアです。datacolor社「Spyder CHECKR」は、48色カラーチャートと専用ソフトウェアがセットになったデジタルカメラ用カラーマッチングツールで、チャートを写し込んだ画像を専用ソフトで読み込むと、自動的に色調を補正してくれます。このソフトは、Lightroomのプラグインとして機能し、連携させることができます。

同様の機能を持つX-Rite社の「ColorChecker Passport」もあるのですが、こちらはRAW画像が対象。一方、「Spyder CHECKR」はJPEGでも動作します。動画のほとんどはJPEG画像の集合となる(プログレッシブの場合)わけですから、「Spyder CHECKR」で動画のカラーコレクションができないか、試してみたわけです。

方法は、スチル撮影と同様に、撮影条件が変わるごとにチャートを写し込んでおき、Lightroomで動画のチャートが写っているフレームをJPEG画像として書き出します。JPEG画像なのでLightroomで、スポイトツールなどを使って補正ができます。これをカスタムのプリセットとして保存してもよいのですが、さらに「Spyder CHECKR」ソフトで補正を行なうことで、色相、彩度などの調整(キャリブレーション)をしたプリセットも簡単にできます。このプリセットを動画に適応すればいいのです。

ちょっとややこしい手順ですが、その効果は絶大。標準的なカラーバランスを整えるようなカラーコレクションがあっという間です! この方法論なら、異なるカメラ、レンズ、光源で撮影していても(通常そうですが…)、全てのクリップをあらかじめカラーコレクションしてしまい、安心して編集作業に入れます。

付け加えておくと、Lightroomから動画への書き出しは、ややビットレートが低く感じます。次のバージョンでビットレートが上がり、ノイズ処理やシャープネス、明瞭度、レンズ補正等も適用できれば、さらにいろいろなことが考えられますね。今後が楽しみです。

Lightroom4とSpyder CHECKRの連携で自動カラーコレクション

Lightroomとデジタルカメラ用カラーマッチングツールSpyder CHECKRを使い、動画の色味を自動調整してみよう。作例の動画は、カメラ側のホワイトバランスを太陽光モードに固定して、あまり精度のよくないLED光源を使用して撮影したもの。少し意地悪な設定だが…。

Lightroomで動画フレームをキャプチャ

img_products_dslr_nofear12_01.jpg 撮影した動画をLightroom4で読み込む。この状態で右パネルのクイック現像を使用できるが、グレーアウトしているハイライト、シャドー、明瞭度は使用できない。プリセットを制作するため、カラーチャートが記録されているフレームをキャプチャして、 JPEG画像として書き出す。

キャプチャしたJPEG画像をLightroomで補正

img_products_dslr_nofear12_02.jpg JPEG画像に書き出したことで、現像モードのツールが使えるようになる。スポイトツールでホワイトバランスを取り、トーンカーブを調整。この段階でOKなら、パラメータをプリセットとして保存。この方法論だけでも、かなり色調整の自由度が高くなるが、今回はSpyder CHECKRで、さらに色を調整していく。

Spyder CHECKRを起動

img_products_dslr_nofear12_03.jpg

「写真」→「他のツールで編集」→「Spyder CHECKR 編集」を選択。この際、必ず「Lightroom 調整でコピーを編集」を選択する。こうしないと、先に行なったLightroom でのホワイトバランスなどの補正が活かされず、調整前の画像を編集してしまう。
img_products_dslr_nofear12_03b.jpg

Spyder CHECKRでキャリブレーション

img_products_dslr_nofear12_04.jpg Spyder CHECKRの画面の指示に従い、カラーを調整(自動キャリブレーション)。プリセットとして名前をつけて保存する。その際にモードとして、色測的に合わせるか、彩度中心に合わせるか、人肌で合わせるか(ポートレート)を選択可能。動画の場合、ポートレートモードを選択した方がバランスが良いようだ。

JPEG画像にSpyder CHECKRでの補正を適用

img_products_dslr_nofear12_05.jpg Spyder CHECKRで作成したプリセットを有効にするために、Lightroomを再起動。元のJPEG画像(ホワイトバランス修正済み)に、再度、そのプリセットを適用。これでLightroomでの補正(ホワイトバランス、トーンカーブ調整)とSpyder CHECKRでの補正(各色の色相、彩度補正)を統合したパラメータができあがる。プリセットを更新して、そのパラメータを保存する。

動画に対してカラーコレクションを行なう

img_products_dslr_nofear12_06.jpg 完成したパラメータを動画のプリセットに読み込めば、一気に動画のカラーコレクションが完了する。後は同じタイミング(あるいは同じレンズと光源)で撮影したクリップに、同じプリセットを適用して書き出すだけ。なお、Lightroomからの出力は、元データの形式か、H.264、DPX が選択可能。

鹿野宏 Hiroshi Shikano

デジタルカメラの黎明期からほとんどの一眼レフタイプのデジタルカメラを遍歴。電塾運営委員としてデジタルフォトに関する数多くのセミナーを開催。カラーマネージメントセミナーも多い。写真撮影では2億画素の巨大な画像を扱い、2009年から動画撮影をスタート。WEB上の動画、デジタルサイネージ、社内教育用などの「ミニマル動画」を中心に活動している。

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