一眼ムービーなんて怖くない!

第20回 ミニマル動画のワークフロー「撮影編」

解説:鹿野宏

前回予告したミニマル動画による「ピラティス・メソッド」紹介のDVD用動画、実際に撮影をしたので、その様子をレポートしましょう。

エクササイズを紹介する1時間ほどのムービー。ズームイン、スローモーションも必要のため、当初、予定していたカメラは、パナソニックLUMIX GH-3、同LUMIX FZ-200、ニコンD7100の3台でした。しかし直前に「真上からの撮影」というリクエストがありました。横や正面からのアングルだけではわかりにくい動きを、真上からのアングルで見せたいというリクエストです。

本来なら小型クレーンなどを用意することになるのですが…予算的に厳しいため、コンパクトなデジタル一眼ソニーα NEX-5Nと、先月紹介したフルードの一脚で対応することにしました。メインカメラは突然の雨に備え、防滴機構を持ちしかもビットレートも高いLUMIX GH-3、サブとスチル撮影用にD7100、スローモーション用にLUMIX FZ-200、俯瞰撮影用NEX-5Nという布陣です。

ロケハンは当日の朝。何しろ都内の公園はそのほとんどが9時スタート。7時頃から撮影したくてもできないのです。ロケ地の公園は何度か別件で撮影したことがあるので、あらかじめ見当を付け、当日8時頃に集合してロケハンを行ない、9時に撮影を開始。撮影当日の朝は、7月にしては気温が低く、小雨がぱらついていたため延期も考えましたが、運良く9時頃からは薄曇りのちょうど良い天候になりました。時々日が差すのが邪魔なくらいです。当日のお天気だけはどうしようもありませんね。

エクササイズ演者が15時には別のスタジオに入る予定があるため、13時までに1本2分〜4分程度のクリップを合計14本撮影。スムースに撮影できるように、まずは真上からの撮影、スローモーションが必要な撮影、立ってエクササイズする動き、座り、あるいは寝て行なうエクササイズをそれぞれまとめて撮影。セット変更ができるだけ少ない順番でプログラムを組みました。

人間クレーンスタイルで俯瞰撮影にも対応
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俯瞰撮影はソニーα NEX-5Nとフルード一脚の「人間クレーン」で対応。格好はあまり良くないが、安定性は充分。フルード一脚の尖端が三つ叉のため、胸にしっかり固定できる。下が撮影した動画。カメラの高さはせいぜい2.5m程度だが、16mmのやや広角気味のレンズでこんな絵となる。 img_products_dslr_nofear20_01.jpg

今回の撮影でポイントとなった点をいくつか挙げてみます。まずは急遽リクエストがあり、NEX-5Nで撮影することになった俯瞰撮影。これはNEX-5Nをフルードの一脚に付け、脚の尖端を広げて胸に固定。人間クレーンスタイルでの撮影を試してみました。安定のためストラップを繋いで首にかけています。撮影する姿はどうにもかっこいい物ではありませんが、効果は絶大。「軽い」ということは、このような時に大きな意味を持つのです。おかげでこんなアクロバティックな撮影を実現できました。

カメラ本体の背面液晶を見ることができないため、HDMIケーブルを延ばしてソニー製外付けモニタCLM-V55を接続。ライトスタンドにつけて手元で映像を確認しています。レンズは重量を考えて16mm(35m換算で24mm)。ちょっと広角ですが、クライアントさんには「こんなに撮れるんだ!」と好評でした。

このCLV-V55はその後も大活躍。俯瞰撮影後の正面撮影では、演者に向けてセットして、メイン撮影用のGH-3に接続。GH-3はHDMI出力と同時にカメラの背面液晶も表示できるので、撮影者と演者が同じ映像を見ながら撮影を進められます。これもかなり好評でした。CLM-V55の位置がほぼカメラ目線のため、「視線ターゲット」の役割をしてくれます。

正面からのメインムービー撮影
img_products_dslr_nofear20_05.jpg 今回の動画でメインに使う正面アングルの撮影。左のLUMIX GH-3で撮影をしている。カメラの背面液晶画面(フリーアングル)は撮影者側に向け、外付けモニタのソニーCLM-V55は、演者に向けてカメラのホットシューに付けている。右のカメラは、サブ&スチル撮影用のニコンD7100。

計画段階では「現場で判断」となっていた音声。BGMと解説はアフレコで行くことになったのですが、冒頭の演者挨拶は現場で録音するつもりでした。ピンマイクかガンマイクか迷ったのですが、挨拶は自然な感じでマイクは映らない方がいいだろうと判断。ガンマイクを選択したのですが…予想より蝉やカラスの鳴き声が大きく、結局、アフレコで対応することになってしまいました。

今回の仕上がりはDVDのマスター版を作成するので、スローモーション以外、すべてのカメラで解像度は720p、フレームレートは30fpsを選択しています。FZ-200でのスローモーションは120fpsで撮影しました。木陰で暗い場所でしたが、FZ-200はF2.8のレンズの明るさを活かして、期待通り見事なスローモーションを撮影してくれました。

複数のカメラを使用する時の問題点として、それぞれのカメラの色彩設計が違うこと(GH-3とD7100は結構、似た発色をしていました)ですが、ホワイトバランスをすべて現場でプリセットすることで何とか色調を合わせることができました。

また今回は部分的にマルチアングル撮影も行なっています。正面からだけではわかりにくいシーンを、別アングルで見せるためです。かつては編集の際、複数映像の同期が面倒な作業だったのですが、Final Cut Pro Xでは音声を同期させることで、映像も同じ時間軸上に同期させることができます。しかも新しいAdobe Premiere Pro CCも同様の機能を搭載してきたようです。どんどん便利になりますね。

先に触れたように今回は後で音楽、ナレーションを入れるため、撮影中の音声同録は、映像の同期用とメモ代わりです。すべてのカメラの音声を録音状態にしておき、「このカットOK」とか「このカット予備」という音声を入れています。

撮影は予定通り12時30分にはすべて完了。最後にDVDのジャケットに使用するスチル撮影も行ないました。元々がスチルカメラマンですので、ポートレイトセットの組み上げ、撤収はお手の物です。画素数の大きな静止画は、動画に組み込んでパンをしてムービー風に見せることもできるし、画面の繋がりが悪い場合や、動画で不要物が映り込んでいた時の救済にも役立ちます。時間に余裕があれば、クライアントからの依頼がなくても静止画の撮影しておくことをお奨めします。

最後に、今回の撮影ではコンシューマー向けも含め4台のカメラを使いましたが、それぞれ特徴のあるカメラです。カメラの特徴を活かして撮影のバリエーションを広げる、これもミニマル動画撮影のポイントのひとつかもしれません。

鹿野宏 Hiroshi Shikano

デジタルカメラの黎明期からほとんどの一眼レフタイプのデジタルカメラを遍歴。電塾運営委員としてデジタルフォトに関する数多くのセミナーを開催。カラーマネージメントセミナーも多い。写真撮影では2億画素の巨大な画像を扱い、2009年から動画撮影をスタート。WEB上の動画、デジタルサイネージ、社内教育用などの「ミニマル動画」を中心に活動している。

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