一眼ムービーなんて怖くない!

ジンバル初心者にも気軽に使えて高機能、DJI Ronin-S

解説:鹿野宏

一眼ムービーに最適な小型ワンハンドジンバル

DJIから発売された話題のシングルハンドタイプのジンバルRonin-Sを使ってみました。シングルハンドとは言え3.6kgまでのカメラに対応。まさに一眼ムービー撮影にはぴったりです。

ジンバルは動画撮影の際、カメラの揺れや傾きをセンサーで感知して、内蔵小型モーターで自動補正、カメラの水平を保持してくれる機材ですが、まず最初にカメラをセットして、3軸方向のバランスをきちんと調整をしなくてはいけない。それが少々面倒だと感じる人も多いのではないでしょうか? 筆者もその1人ですが、今回検証をしたRonin-Sは、専用のスマホアプリでバランスの最終キャリブレーションができたり、3軸の各状態を細かくチェックできたり、撮影前のセッティングがとてもやりやすくなっています。

しかも小型でありながらモーターのトルクが強く、大雑把にセッティングしてもそこそこ使える。また一旦、バランスを調整した後、レンズを交換しても、ある程度の重量差であれば、モーターの力でカバーして水平を保ちます。その場合、常にモーターに負荷が掛かりバッテリーの消耗は早くなるようですが、頻繁にレンズ交換をしたり、全長が変化するズームレンズを使用する際、一からバランスを調整しなくていいのは助かります。


Ronin-S + パナソニックLumix GH5S
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Ronin-SにパナソニックLumix GH5Sをセットしてみた。フルサイズの一眼レフに比べて本体もレンズも小型軽量なマイクロフォーサーズのミラーレスカメラGH5シリーズは、Ronin-Sのコンパクトさとも相性がいい。GH5Sはボディ内に手ブレ補正機能を持たないので、それもカバーしてくれる。

Ronin-Sの重量は約1850g。グリップ部はバッテリーとなっていて取り外し可能。また下部の足で自立する。カメラとケーブル接続をすることで、Ronin-Sの操作部からREC操作、フォーカスコントロールが可能(フォーカスコントロールは現時点でパナソニックGH5シリーズのみ対応。今後ファームアップで他機種にも順次対応予定)。


ジンバルの基本操作はジョイスティックとトリガーボタンで行なう

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操作部中央がジョイスティック[1]。左にあるのがフォーカスホイール[2]。前面、ちょうど人差し指が掛かる位置にトリガーボタンがある[3]。

3軸モーターにより水平に保った状態から、カメラをチルト、パン、ロールさせることが可能。Ronin-Sの場合、ハンドル(グリップ)にあるジョイステックでカメラの向きをコントロールするのですが、あまり器用ではなくこの手のコントロールに自信のない筆者でも、2時間ほど使い込むと、「水平に構えてレンズを中心に回転させる」「レンズの方向を一定に保ち移動する」「適度に角度を修正しながら風景を撮影して歩く」などの動きを習得することができてしまい、驚きました。これも小型であることと、安定したモーターの動きに依るところが大きいのでしょう。

特に「リフトから吊り下げまでのアングル移動(俯瞰からローアングルへ被写体を捉えながらカメラポジションを移動)」は、今後の撮影アングルに大きな自由度を与えてくれるだろうと感じました。

また機種は限定されますが、Ronin-Sと一眼カメラをケーブル接続することで、Ronin-S側のフォーカスホイールでフォーカス操作も可能です。被写体をジンバルで追いながらホイール操作でフォローフォーカスするのはそれなりの慣れが必要ですが、ジンバル側でフォーカスコントロールができるのは何かと便利です。

img_products_dslr_nofear60_04.jpg 片手で持ち続けるのは少々きつい。私の場合はトリガー操作やジョイスティック操作に不慣れなので、基本的に左手を添える両手持ちスタイル。


専用アプリで細かい設定や自動撮影も可能

専用のスマホアプリは、カメラバランスの自動キャリブレーション、ジョイスティックの反応設定、回転速度設定などをできる他、スマホからカメラの向きを遠隔操作したり、静止画の分割撮影をジンバルの動きで行なう「パノラマ」、カメラを移動させながらタイムラプス撮影をする「モーションラプス」、通常の「タイムラプス」、また記憶させた一定動きで動画撮影をする「トラック」といったクリエイトモードがあります。

Motor Parameters img_products_dslr_nofear60_05.jpg
クリエイトモード「Track」 img_products_dslr_nofear60_06.jpg
専用アプリでスマホから様々なコントロールができる。
左は「Motor Parameters」の画面。Auto Tuneを押すと自動キャリブレーションを行ない、モーターの負荷状態を確認できる。パン、チルト、ロールがすべて0になれば完璧。しかし多少アバウトな設定でも、問題なく使えた。
右はクリエイトモードの「Track」。キーフレームを決め、キーフレーム間の移動時間とカメラを静止させる時間を入力すると、全く同じ動作を何度も繰り返し撮影できる機能。最大10個のキーフレームを追加できるので、かなり複雑な動きも自動化可能。

特に筆者が使えると感じたのは「トラック」撮影。最大10ポイントまでの位置を記憶させ、自動でカメラを動かしながら動画を撮影する機能です。たとえばカメラ固定で役者の動きを追うようなシーン、演者の動く位置が決まっていれば、再撮でもカメラは何度も同じアングルを正確に繰り返します(役者さんやパフォーマーのトレーニングにも使えそう)。応用範囲も広く、この機能には満点をあげたい。

ジンバルは基本、動画撮影においてカメラの安定をアシストする機材という認識でしたが、ここまで多彩な機能があると、すでにただの「揺れ防止」機器とは言えない進化を遂げているようです。ワンマンオペレーションでもアングルのバリエーションは増えるし、動画だけでなく静止画などでもアイデア次第で色々と使えそうです。

レンズを軸にカメラを回転 カメラを水平に構えて、レンズを軸にカメラを360度回転。こんな撮影はジンバルでなくてはできない。目が回る。

トラック機能 最大10ポイントまでの位置を記憶し、それぞれのポイントでの静止時間、移動にかかる時間を打ち込んで動きに合わせて動画を撮影する。この機能には満点をあげたい。

パノラマ撮影 広角レンズを使用した全天360度パノラマから望遠レンズを使用した超高精細画像撮影のタイリング撮影まで引き受けてくれる。ディレイのスイッチで静止させることも可能で、電子シャッターと高速シャッターを組み合わせが実用的かも。

モーションラプス タイムラプス+アングル移動。写真打ち込んだ最大5つのポイントを順番に移動して、静止画のトリガーを作動させて撮影するモード。最初にインターバルタイムと仕上がり時間を打ち込むと、それに必要なスピードで駆動する。


早速、実践撮影に投入

大阪、堂島リバーフォーラムで開催中の千住博×チームラボ の「水」展。許可を頂きRonin-S+GH5Sで撮影。Ronin-Sを持ち、巨大な滝の回廊に沿って歩き回った。カメラの回転、地面すれすれのアングル、リフト、フォール…初めての割にここまでできてしまったことに感激!

img_products_dslr_nofear60_07.jpg Ronin-Sを持ち会場を撮影中。

撮影したムービー




※この記事はコマーシャル・フォト2018年9月号から転載しています。


鹿野宏 Hiroshi Shikano

デジタルカメラの黎明期からほとんどの一眼レフタイプのデジタルカメラを遍歴。電塾運営委員としてデジタルフォトに関する数多くのセミナーを開催。カラーマネージメントセミナーも多い。写真撮影では2億画素の巨大な画像を扱い、2009年から動画撮影をスタート。WEB上の動画、デジタルサイネージ、社内教育用などの「ミニマル動画」を中心に活動している。

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