一眼ムービーなんて怖くない!

ワンオペ撮影の強い味方となるか!? Roland V-02HD

解説:鹿野宏

ローランドから発売されたスイッチャーをお借りすることができました。スイッチャーと言ってもフォトグラファーにとってはあまり馴染みのない機材だと思いますので、簡単に説明をすると、複数の入力信号を切り替えたり混合させたりする機材。今回紹介するV-02HDは「映像用スイッチャー」という位置付けで、2系統の映像入力信号をブレンド、切り替えをする装置です。

もっと具体的に言うと、プロジェクターに投影する映像を切り替えたり、P in P(ピクチャーインピクチャー)で同時に表示したりすることを想定して作られた製品です。筆者もセミナーなどのイベントにおいて、話者を映している映像とパソコンで再生する映像や解説用スライドを切り替えて、会場モニターやプロジェクターに投影するために使用していました。

つまりは撮影現場ではなく、動画映写、ライブ配信など、映像を流す場面で使われることが多い機材なのですが、筆者がよく行なう撮影スタイルでは、撮影現場でも結構使えることがわかりました。それは舞台や複数人のインタビューの記録撮影です。「センターに4Kカメラを置いて最初から最後までを記録し、フルHDのカメラを2方向から同時に動画撮影」する場合を例に、説明します。

Roland V-02HD MULTI-FORMAT VIDEO MIXER

img_products_dslr_nofear68_01.jpgW160×D108×H51mm、660gと非常にコンパクトながら、HDM(IタイプA)×2の入力端子とステレオ・ミニ・タイプのオーディオ端子を持ち、4:4:4、10bitの映像処理をする。中央のスライダーと赤とグリーンに光っている左右のスイッチのいずれかを使用して2系統の映像入力を切り替え、あるいはP in Pで表示する。クロスディゾルブの長さをプログラムできるのでかなり重宝する。

出力はメニューや音声ダイアログなどが表示されるPROGRAM OUTと、実際のMIX映像を表示するPREVIEW OUTの2系統があり、外部記憶装置はPREVIEW OUTで接続する。入出力それぞれにスケーラーが組み込まれているため、どのような解像度の入力であっても、問題なくブレンドすることができる。

センター4Kカメラは撮影中に起こったすべての映像と音声を記録するベースのフッテージ(映像)になります。仕上げ(納品)がフルHDのため、4Kであれば必要に応じて寄り引きのトリミングを行なえます。そのため対象全てを見渡せるような画角のレンズをつけています。

この4Kカメラ、何があってもどのシーンでも切り替えることが可能な保険でもあります。そしてメインは2台のフルHDカメラ。「舞台のかみしも」やアップ2方向などに固定配置し、その2台のカメラの「切り替え」を、V-02HDを使用して現場でやってしまおうというわけです。

2台のフルHDカメラの映像は、カメラ本体に内部記録すると同時に、HDMIでV-02HDに出力。現場で切り替えをしたMIX映像は、V-02HDからHDMI経由で出力。NINJAなどの外部記録装置に保存します。

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HDMIのINPUT×2、OUTPUT×2を備え、側面にはオーディオ関連の入出力が並ぶ。内部にオーディオミキサーも備えているため異なる音源をミックスすることもできる。

V-02HDはクロスディゾルブ、ワイプ、P in Pなどの切り替え効果も可能なので、場合によってはそれだけで編集済みの映像ができてしまいます。つなぎが上手くいっていない箇所があっても、後の編集でカメラ内部記録した映像で補うこともできるし、4Kカメラの映像で寄り引きなどのアングルバリエーションも作れます。

P in P(ピクチャーインピクチャー)
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画面の中に別の映像を表示するピクチャーインピクチャー。画面内のどこにでも置けて、サイズ、トリミングも自由自在。

ワイプ
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ワイプは上下左右、中央から四隅などのパターンがある。途中で止めておくことも可能。作例は上下のワイプ。

クロスディゾルブ
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クロスディゾルブは秒数を指定できる他、レバーで切り替える時間を調整することも可能。

V-02HD スイッチテスト
V-02HDの様々な効果を使ったテスト動画。ワイプやディゾルブ、ピクターインピクチャーの他にも、「黒を入れる」、あるいは「あらかじめ入力しておいたタイトルに切り替える」、「撮影時にモザイクをかける」などの効果を色々と動かしてみた。

現場では撮影中にどうしても、被写体の位置が最初のアングルからずれてしまう場合もあります。その時、スイッチャーでもう1台のカメラに切り替えておき、じっくりと必要なセッティングに落とし込んでから、またそのカメラに切り替えるという、1人で2台のカメラを「時間差」で操ることも可能。これはとても大きなメリットです。

そもそもワンマン撮影で複数のカメラを使う場合、現場でシーン切り替えタイミングのメモを取ることさえ大変。V-02HD経由で記録された映像は、撮影者が現場で感じた「カット切り替えをしたかったポイント」そのものなので、本映像から再編集する場合も、V-02HDでMIXされた映像がメモ代わりのガイドになります。後の編集で記憶を手繰りに編集ポイントを探す手間が一挙になくなり、実編集時間が大幅に短縮されることは間違いありません。

img_products_dslr_nofear68_04.jpgiPadアプリ「V-02HD Remote」でも操作できる。音声のVolコントロールはこのアプリからコントロールした方が自在にできる。

確かに現場に運び込む機材が増え、セッティングの時間も少々かかりますが、本体は重量約660gと非常にコンパクト。4:4:4 10bit対応の映像処理、ディゾルブの時間をプログラム可能な切り替えスイッチと物理スライダーがきちんと搭載されています。カメラ操作で両手がふさがっている場合は、フットスイッチをつないで、足で切り替えることもできます。もちろんバッテリー駆動も可能。

舞台撮影、複数人のインタビュー撮影を少人数(あるいは一人)でする際の必需品になりそうです。


2台のカメラ映像を現場でスイッチして記録

複数人の対談を3台のカメラで撮影。1台は部屋全体を2Fから撮影したもの(右画面、タイムライン下段)。こちらは最初に撮影を開始したら最後まで放置。上段のタイムラインはV-02HDの映像を音声シンクロで合わせたもの。2台のカメラの映像を撮影時に編集(スイッチ)した状態で記録されているので、後の編集はこれをブラッシュアップしていくだけ。


編集したタイムラインの動画。最下段はベースとなる全体を撮影した映像で、スイッチャーには接続されていない。上段の映像は撮影時にスイッチャーを使用して編集しながら記録した2台のカメラのMIX映像。スイッチングがうまくいかなかった部分を入れ替えるまでもなく、ベースのフッテージに逃げることで、ほとんど必要な作業は完了した。

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撮影風景。V-02HDの映像はATOMOS NINJAに出力&記録。スイッチしたカメラの映像がNINJAのディスプレイに大きく表示されるので、確認しながら作業ができる。




※この記事はコマーシャル・フォト2019年8月号から転載しています。


鹿野宏 Hiroshi Shikano

デジタルカメラの黎明期からほとんどの一眼レフタイプのデジタルカメラを遍歴。電塾運営委員としてデジタルフォトに関する数多くのセミナーを開催。カラーマネージメントセミナーも多い。写真撮影では2億画素の巨大な画像を扱い、2009年から動画撮影をスタート。WEB上の動画、デジタルサイネージ、社内教育用などの「ミニマル動画」を中心に活動している。

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