ColorEdge 特集

ColorNavigator 5 徹底研究 PART2(前編)

解説:茂手木秀行

2008年3月、ColorNavigator が Ver5.1.0にアップデートされた。新しくなったColorNavigatorを使ってモニターと色校正、インクジェットの三者の色をマッチングさせるための方法を解説する。写真や印刷、デザインなどの仕事でColorEdgeを使いこなすためには必読の特集。

ColorEdgeを使う目的は、モニターと色校正のマッチング

2008年3月5日、ColorNavigatorは5.0.1から5.1.0へとアップデートされ、丁寧なリファインが行われた。アップデートの内容は、まず、対応モニターとしてCG222Wが、対応センサーとしてSpyder3が追加されている。また、Spyder2、Spyder3での紙白測定機能にも対応。そして、「手動調整」の「白色補正」のインターフェースが変更されRGBの微調整が直感的になり、さらにCE240W /CE210W でも新たに「6色調整」機能が使えるようになっている。今回の記事では、このColorNavigator 5.1.0を使用して検証を行なっている。

前回の「ColorNavigator 5.0 徹底研究」では、ColorEdgeとインクジェットプリンタとのマッチングについて触れた。しかし、ColorEdgeを選ぶユーザーの目的は「仕事」のためではないだろうか? 私が身を置く出版の世界では、色校正とモニターのマッチングが最大の目的である。今回は、ColorEdgeと色校正、そしてインクジェットプリントの三者マッチングを解説したいと思う。

今回も、使う機能は「6色調整」を含めた「手動調整」である。異なる入出力機器の色再現の違いを埋める技術が、iccプロファイルによるカラーマネージメントであるが、iccプロファイルを適切に運用しても色に差が生まれてしまうこともまた事実である。その差を手動調整によって感覚的に埋めることができるのは、ColorNavigatorならではの特筆すべき機能である。

まず、「色校正」の定義であるが、本番の印刷に先立って仮の印刷を行ない、本番の印刷での色についての仕上がり予測をするためのものである。デジタルデータで印刷が扱われる現在、色校正の主流が「DDCP(デジタルダイレクトカラープルーフィング)」であることは繰り返し述べている通りだ。その出力の安定性は非常に高く、印刷本機の仕上がり予測という範囲を超えて、正確なシミュレーションが可能である。

ハイエンドDDCPのDigital Konsensus Premiumでは網点のかすれや紙の風合いまでも再現することが可能だし、同じくFINALPROOFでは印刷本紙を使用できる。こういったことから、DDCPでの出力結果に印刷本機での出力を合わせ込むというのが、現実の印刷の流れであると言える。であるからこそ、DDCPでの出力結果を中心に考え、モニターをマッチングさせるべきなのである。

そこで、フロー図を見て頂きたい。赤い矢印はカラーマッチングのターゲットの方向を、赤い文字はそれぞれの役割を、グレーの矢印はデータの流れを示している。DDCP出力は印刷の正確なシミュレーションであるので、DDCPで出た色は印刷本機で出すことが可能な色となる。それぞれの出力デバイスでのカラーマッチングのターゲットもDDCPでの出力である。

カラーマッチングのフロー図

現在のCMSではDDCPを中心に考える
 本当に大事なTips その1 プルーフって何? 色見本と同じなの?


DDCPを手に入れるには

さて、問題はDDCPでの出力物をどうやって手に入れるかである。その入手は気軽であるとは言えないのもまた事実である。しかし、雑誌や広告で定常的に仕事をしているフォトグラファーなら、さほど難しいことではない。編集者やデザイナーに「色校正を見せて欲しい」と言うだけである。彼らとしても、いつも一緒に仕事をしているフォトグラファーであれば、むしろ色校正を見てもらいたいはずである。ただ実際のワークフローでは、編集者やデザイナーの手元に色校正がある時間が短いことも多い。その場合は、該当する印刷物が出来上がった時点で、借用や提供を申し出ればよい。

そうしたことも難しい場合は、出力サービスを利用すればよい。今回の検証では、ADKアーツ デジプレセンターにご協力頂いた。このデジプレセンターでは、広告制作者やフォトグラファーに向けてDigital Konsensus Premiumの出力業務を行なっている。Illustratorなどのデザイン原稿だけでなく、写真画像の出力も受け付けているので、フォトグラファーがDDCPを出力するには最適である(デジプレセンター問い合わせ先:03-3545-6188 090-8489-2895 担当・井田)。

実践の話に入る前に、まずは今回使用した機材と条件をお伝えしておこうと思う。

カメラストロボPCOSモニター
ニコン
D2X
ブロンカラー
Grafit A 1200w
PowerMac G5 2.3GHz DualMac OS X 10.4.11ナナオ ColorEdge CG241W

ソフトソフトキャリブレータプリンタDDCP
Photoshop CS3 & Camera Raw 4.2ナナオ
ColorNavigator 5.1
エックスライト
i1 Pro測定器
エプソン
PX-5800
コニカミノルタ
Digital Konsensus Premium

CMYKプロファイル観測基準
モニター輝度80 cd/平方メートル
モニター白色点5000K
モニターのガンマ2.2
モニター設置環境約60 lx
プリント評価光源約600 lx
Japan Color 2001 Caoted

次におなじみのガモット図を見てもらいたい。カラーで示したのがAdobe RGBの色域だ。それよりほんの少し狭いグレーの部分がColorEdge CG241Wで手動調整した後のモニターの色域、その内側がエプソンPX5800+写真用紙光沢の色域、もっとも内側にあるのが日本の印刷でスタンダードなJapan Color 2001 Coatedの色域である。


ガモット図:手動調整前のColorEdge CG241WのガモットはAdobe RGBとほぼ一致している。

オリジナル画像:セーターの色、背景の色、ともに印刷では出しにくい色だ。(モデル:村乃みか)

オリジナル画像の中で、色がくるいやすいセーターのマゼンタ系、背景のシアン系の位置を赤丸で図示した。Japan Color 2001 Coatedの色域から見れば、完全に色域の外にある色であるので、印刷では再現できない。こういった色は、RGBからCMYKに変換する過程で近似色に置き換えつつマッピングするので、色のくるいや捻れが生じてしまうのである。

それに加えて、加色混色であるRGB表色系と減色混色であるCMYK表色系の物理的な違いもあるので、色のくるいやねじれは不可避のものである。しかし、今回の検証の目的は印刷の仕上がり予測であって、それぞれの色域の違いは、目的を達成するためには十分な許容範囲にあるということをアタマの隅にでも置いておいて頂ければ幸いである。


ColorEdgeとDDCPを一致させよう ①

ColorEdgeとDDCPを一致させる手順と観測条件は、前回のインクジェットプリントとColorEdgeのマッチングと同じであり、ColorNavigatorの「手動調整」を使用する。再度、手順を追ってみよう。

1-1:Photoshopのカラー設定
まずは、Photoshopを設定しよう。Photoshopのメニューバー「編集」から「カラー設定」を選び、設定のプリセット「プリプレス用-日本2」を選ぶのが簡単で間違いがない。CS以前のバージョンではこのプリセットがない。手動で「RGB:AdobeRGB」、「CMYK:Japan Color 2001 Coated」を選ぶ。雑誌広告などで「雑誌広告基準カラー」に準拠している場合は「日本-雑誌広告用」のプリセットだ。いずれにせよ、ターゲットになるDDCP出力の色空間と合わせるのである。 まずはPhotoshopの推奨設定で解説を進めるが、後ほど詳細オプションを使用した解説をするので、最後まで読んでから実作業を始めた方が効率が良いはずだ。

Photoshopのカラー設定(クリックで拡大)
1-2:Phothoshopの「色の校正」
次に、Photoshopでオリジナル画像を表示した上で、メニューバー「ビュー」から「校正設定」を選び「作業用CMYK」を選択。そして「色の校正」を選ぶと、作業用CMYKでの色再現がシミュレーションされた画像表示となる。

1-3:ColorNavigatorを起動
ColorNavigator 5.1を起動して、測定器を選ぶ。測定器を接続しないでも、ColorNavigator 5.1を起動することはできるが、手動調整をするには測定器が必須だ。

校正設定から作業用CMYKを選ぶ(クリックで拡大)
1-4:モニタープロファイルの選択
手動調整をするためには、すでにキャリブレーション済みのモニタープロファイルが必要である。モニタープロファイルを選んだら、「詳細」タブをクリック。まだ最初のキャリブレーションをしていなければ、「詳細」をクリックせずに「調整目標を作成する」をクリックし、ColorEdgeをキャリブレーションする。輝度は80cd、白色点5000K、ガンマは2.2だ。

この時、CG19やCG221など一部の機種のみに限られるが、「6色調整」の選択を訊くダイアログが表示されることがある。「はい」を選んでおかないと、後ほど「6色調整」ができない(白色点・輝度・ガンマの調整は可)。

モニタープロファイルを選んだら「詳細」をクリック



6色調整の選択を訊くダイアログ(一部機種のみ表示)
1-5:「手動調整」ダイアログを表示する
「詳細」タブをクリックすると「詳細」ダイアログが開くので「手動調整」をクリックする。「手動調整」ダイアログでは、タブ「一覧」をクリックするとすべての調整が一画面でできてよい。


詳細ダイアログで「手動調整」をクリック

「手動調整」ダイアログ


ColorEdgeとDDCPを一致させよう ②

1-6:ColorEdgeとDDCPを比較しながら調整する
「手動調整」ダイアログが表示されたら、Photoshopで「色の校正」をして表示したオリジナル画像のとなりにダイアログボックスをならべ、ColorEdgeの横には、DDCP出力を置く。DDCPを照明するのは5000K、演色指数90以上、500lx±125lx。

こうした置き方をした場合、モニター面は基準値よりも明るくなってしまうが、低反射のノングレア加工が施されたColorEdgeならさほど神経質にならなくてよい。ただし、モニターフードは必須である。「手動調整」は前回と同じく、できれば複数の人間で目の調子が良い時に行なってほしい。

調整手順であるが、「白色補正」については、モニターキャリブレーションの結果がほぼ5000Kならば調整の必要はない。DDCPでの色校正も、D50光源下での観察が基準だからである。「輝度」の調整と「6色調整」を順に行なうだけでよい。

今回、私が行なった調整での調整値は「輝度」25%、「色相」R:-4、M:+15、「彩度」R:+9、C:-7、M:-7であった。この数値はデバイスや個体差によって変わるものであるので、参考値である。それにもまして、最大の注意点は、「手動調整」の結果はこの画像に対する最適値であって、すべての画像に適用できるものではないことだ。なるべく、多くの画像を用意して平均的な調整値を見つけ出して欲しい。

 本当に大事なTips その2 プルーフの紙が透けるんですけど……


1-7:再びキャリブレーションを実行
「手動調整」を終えて「OK」をクリックすると再度キャリブレーションをするように指示される。まず、測定器を初期化して、測定器をColorEdgeに取り付け「実行」をクリック。


測定器を初期化している画面

測定器をColorEdgeにとりつける


1-8:再キャリブレーションの測定結果
キャリブレーションが終了すると結果を示すダイアログが現れる。このダイアログのなかで「目標」は、最初にキャリブレーションをする際に選んだ調整目標値。「結果」は、その目標値に対するキャリブレーション結果。「手動調整」は、手動調整後に再度キャリブレーションした測定結果である。


測定結果を表すダイアログ

測定結果を保存するダイアログ


1-9:測定結果の保存
測定結果を確認したら「保存」をクリックすると、保存ダイアログが現れる。測定結果は新たなモニタープロファイルとして保存されるので、適宜名前をつけて保存すればよい。

この時の注意点としては、「6色調整」の結果はモニタープロファイルとして反映できないという点である。これは、たった今目標としたターゲットと、「6色調整」したColorEdgeは1対1の関係であることを表す。そのため、ColorNavigatorの特徴的な機能であるエミュレーション機能(他のモニターの表色をエミュレーションする)に使うプロファイルとしては、正確性を欠いてしまうことになる。実用上問題のないことだが、グループワーク等でエミュレーション機能を使う時には、覚えておきたい注意点だ。

また保存時のオプションとしては、プロファイルのカスタマイズ機能があり、「プロファイルをカスタマイズする」ボタンをクリックすると使用することができる。ここでは、「手動調整」のベースとして使ったモニタープロファイルの結果と、いま「手動調整」した結果を5つの項目で入れ替えて構成することができる。「手動調整」を何度か繰り返して慣れてきたら、最後のチューンナップとして利用するとよい。


プロファイルのカスタマイズ機能


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写真:茂手木秀行

茂手木秀行 Hideyuki Motegi

1962年東京生まれ。日本大学芸術学部卒業後、出版社マガジンハウス入社。雑誌「クロワッサン」「ターザン」「ポパイ」「ブルータス」の撮影を担当。2010年フリーランスとなる。1990年頃よりデジタル加工を始め、1997年頃からは撮影もデジタル化。デジタルフォトの黎明期を過ごす。2004年/2008年雑誌写真記者会優秀賞。レタッチ、プリントに造詣が深く、著書に「Photoshop Camera Raw レタッチワークフロー」、「美しいプリントを作るための教科書」がある。

個展
05年「トーキョー湾岸」
07年「Scenic Miles 道の行方」
08年「RM California」
09年「海に名前をつけるとき」
10年「海に名前をつけるとき D」「沈まぬ空に眠るとき」
12年「空のかけら」
14年「美しいプリントを作るための教科書〜オリジナルプリント展」
17年「星天航路」

デジカメWatch インタビュー記事
http://dc.watch.impress.co.jp/docs/culture/photographer/

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