ColorEdge 特集

ColorNavigator 5 徹底研究 PART2(後編)

解説:茂手木秀行

インクジェットプリントともカラーマッチング

ここまでの作業で、DDCP出力とColorEdgeの表示はほぼ問題ないレベルで一致したはずだ。まず、DDCPとColorEdgeを一致させるにあたってはCMYKプロファイルの規定に従い、またDDCPという安定したデバイスでの出力であるわけであるから、両者がマッチングするのはある意味で当然なのである。インクジェットでの出力も、正しくCMSを運用すればマッチングするようになる。インクジェットだからといって方法論に大きな違いがあるわけではないが、インクジェットならではの有効な方法が二つあるので、プリント方法を解説したい。

2-1:「相対的な色域を維持」を選ぶ
まずはコンベンショナルな方法から解説したい。インクジェットプリントに限らず、データを出力する際に問題となるのがレンダリングインテントだ。Photoshopのデフォルトもそうだが、写真画像で一般に推奨されているのは「知覚的変換」である。色の美しさを保つ上で「知覚的変換」を推奨することは私も賛成である。しかし、色同士の関係性を保ちつつ多くの色をマッチングさせるには「相対的変換」が向いている。私の経験上も、多くの画像において「相対的変換」が有効であった。

そこで、まずPhotoshopのカラー設定をカスタマイズすることをお薦めする。Photoshopの「カラー設定」を開き、まずはプリセット「プリプレス用-日本2」を選んだら、「詳細オプション」をクリック。すると、ダイアログボックス下部に詳細設定項目が現れる。ここで「変換オプション」から「相対的な色域を維持」を選ぶ。

この設定をすることで、メニューバー「ビュー」から「色の校正」を選んだときのレンダリングインテントが「知覚的」から「相対的」に変わり、モニター上の表色も変わることがある。多くの場合、「相対的」が向いていると考えられることは先に述べた通りだが、絶対ではない。画像やワークフロー、デバイスによって最適なものは変わる。自身の写真とワークフローのなかで最適なレンダリングインテントを見つけてほしい。

とは言っても、「知覚的」か「相対的」のどちらかを選べばいいだけだし、ほかには「黒点の補正を使用」のオン・オフだけなので、最適な組み合わせを見つけるのにさほど労力はいらない筈だ。私の環境では「相対的な色域を維持」を選び、「黒点の補正を使用」オンにするのが最適である。

カラー設定で「相対的な色域を維持」を選ぶ
2-2:ColorNavigatorで再び調整をする
「変換オプション」を変更後、「色の校正」をしてモニターの表色が変わるようなら、ここで再度ColorNavigator 5.1を起動して「手動調整」をする。

私の環境では再調整の必要があったので再度ColorNavigator 5.1で「手動調整」を行なった。その結果は、「白色補正」なし、「輝度」20%、「色相」M:+4、「彩度」R:+4、M:-4、Y:-9となり、より補正量が小さくなったので、「相対的な色域を維持」したほうがマッチングがよいことになる。

再び調整した結果、補正量は小さくなった。
2-3:インクジェットプリンタで出力
ColorEdgeとDDCPのマッチングが満足できるレベルになったら、いよいよインクジェットプリンタでのプリントである。特別なことはする必要がなく、CMSに則ったプリントをすればよい。チェックポイントは4つ。

まずは「校正」にチェックし、プロファイルが正しいことを確認。「カラー処理」は「Photoshopによるカラー管理」とする。「プリンタプロファイル」で正しくプリンタと用紙の組み合わせが選択されているかをチェック。そして「校正設定」は「作業用CMYK」を選択する。そして、つい忘れがちだが、プリントダイアログ「プリンタのカラー調整」は「オフ(色補正なし)」を選択する。

Photoshopのプリント時の設定画面



プリントダイアログ「プリンタのカラー調整」は「オフ(色補正なし)」


インクジェットプリントともカラーマッチング ②

以上の設定で得られたプリント結果は、ほぼColorEdgeの表色とマッチングしている筈だ。しかし、今回はさらにもう一段マッチングが良くなる方法を紹介しよう。何のことはない、画像をCMYKに変換してからプリントするだけである。

RGBデータから校正設定をしてプリントする場合、プリント時にプリンタプロファイルへのマッピングとCMYKへのマッピングが同時に行われている訳だが、このマッピングを分けてあげるだけのことである。微小な差と言えるかも知れないが、計算精度が上がってマッチングもよくなるのだ。

だが、この方法には重大な注意点がある。CMYKに変換したからといって、そのまま入稿してはいけない。CMYKデータは印刷機そのものにかけるデータであり、そこにはさまざまなチューンナップが必要なのだ。DDCPを中心に置く現代のCMSでは色域が広く、色情報が多いRGBデータでの入稿を絶対に忘れてはならない。CMYKへの変換はプロフェッショナルである印刷会社に任せるべきである。

3-1:画像をCMYKに変換する
前述の注意点は重大であるが、さらなるカラーマッチングを目指して解説を進めたいと思う。まずは、画像をCMYKに変換する。Photoshopメニューバー「編集」から「プロファイル変換」を選択すると「プロファイル変換」ダイアログが現れる。

プロファイル変換のダイアログ

重要な確認項目は二つ。まず、「変換後のカラースペース」がDDCPの出力と一緒であるか。これは「カラー設定」が適切であれば「作業用CMYK」として表示される。次に「変換オプション」の「マッチング方法」が「相対的な色域を維持」であるかを確認する。「黒点の補正を使用」と「ディザの使用」のチェックボックスは両方ともオンである。


3-2:Photoshopによるカラー管理
あとは「Photoshopによるカラー管理」でプリントすればよい。確認項目は3つ。「カラー処理」が「Photoshopによるカラー管理」になっているか。「プリンタプロファイル」で正しくプリンタと用紙の組み合わせが選択されているか。そして「マッチング方法」はここでも「相対的な色域を維持」でよい。「黒点の補正」については、プリンタによって設定が異なるので、プリンタの説明書を参照してほしい。さらに繰り返しだが、プリントダイアログ「プリンタのカラー調整」は「オフ(色補正なし)」である。

Photoshopのプリントの設定


3-3:閉じる際は「保存しない」
最後に最重要ポイントである。プリント後にファイル閉じる際、RGBデータであることを維持するため、「保存しない」を必ず選ばなければならない。

ファイルを閉じる際は「保存しない」を選択


以上の手順でのプリント結果とDDCPでの出力、そしてColorEdge CG241Wを並べてみた。結果は十分に満足できるマッチングを示した。手順を細かく解説したので、煩雑に思えるかも知れないが、通してやってみると30分もかからない作業である。手慣れてしまえば、15分もあれば十分だ。これは、ColorEdgeとColorNavigator 5.1の生産性がいかに優秀かを示している。


左からインクジェットプリント、DDCP出力、ColorEdgeの表示


カラーマッチングで大事なことは、自分自身で多くのデータを蓄積することである。ColorEdgeとColorNavigator 5.1の生産性を活かし、より多くのデータと経験を収集してほしい。そうすれば、いつでも自信を持ってカラーを管理できるようになるだろう。ほんの数年前までは、このようなカラーマッチングは実現できなかった。改めてColorEdgeとColorNavigator 5.1に感謝しつつ、本稿を閉じたいと思う。

写真:茂手木秀行

茂手木秀行 Hideyuki Motegi

1962年東京生まれ。日本大学芸術学部卒業後、出版社マガジンハウス入社。雑誌「クロワッサン」「ターザン」「ポパイ」「ブルータス」の撮影を担当。2010年フリーランスとなる。1990年頃よりデジタル加工を始め、1997年頃からは撮影もデジタル化。デジタルフォトの黎明期を過ごす。2004年/2008年雑誌写真記者会優秀賞。レタッチ、プリントに造詣が深く、著書に「Photoshop Camera Raw レタッチワークフロー」、「美しいプリントを作るための教科書」がある。

個展
05年「トーキョー湾岸」
07年「Scenic Miles 道の行方」
08年「RM California」
09年「海に名前をつけるとき」
10年「海に名前をつけるとき D」「沈まぬ空に眠るとき」
12年「空のかけら」
14年「美しいプリントを作るための教科書〜オリジナルプリント展」
17年「星天航路」

デジカメWatch インタビュー記事
http://dc.watch.impress.co.jp/docs/culture/photographer/

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