フォトグラファーのColorEdge実践術

第2回 信頼できるモニターがデジタルフォトの命 ②

解説:茂手木秀行

前回に引き続きモニターの重要性をお話ししたいと思います。「モニター」は狭義で考えると監視装置です。デジタルフォトにおいては「色」を監視、管理するのがモニターの役割と言えます。デジタルフォトの商用利用において最も大事なことですね。

こんにち、デジタルフォトは印刷のみならず、ウェブやインクジェットプリンタを利用した大型ポスターなどに利用され、様々なデバイスによって出力されることになります。この時「色」を管理する約束事がCMS(カラーマネージメントシステム)であり、その監視をするのがモニターの役割と言えるでしょう。

ご存知のようにCMSでは、様々な出力装置のもつ色再現の違いをICCプロファイルによって管理し、出力装置の色再現の違いを吸収するようになっています。しかし、出力装置ごとに再現できる色に違いがあることも事実ですし、プロファイルの変換によって、変わってしまう色もあります。こうした出力装置ごとの違いをどこまで一致させるかは実はCMSの範疇ではありません。実際のところは、色見本などによってアプルーバル(承認)された色を参考に、出力装置側で色合わせをしていきます。


モニターとデジタル校正機の色が一致しているとき、校正機の出力をターゲットにして印刷機で
色合わせすることで、モニターと印刷物の色を近似のものにすることができる。

ことに印刷機では顕著ですね。しかし、出力してみないと判らないのではCMSの意味がありません。Photoshopなどの画像ソフトウェアではソフトウェアプルーフの機能があり、モニターの表示上で印刷の色をシミュレーションしながら色合わせをして行きます。

このときもモニターの役割は大変重要です。モニターが正しくなければシミュレーション結果も正しくないからです。印刷においては、デジタル色校正(DDCP出力)とモニターの表示が一致していることを条件に、デジタル色校正の出力結果に印刷本機の色を合わせるという手順となります。なぜなら、印刷機本体はとても制御の難しい機械であり、その出力結果は気温や湿度といった外的要因で大きく左右されるので、プロファイルによる管理に向かないからです。ターゲットを決めてそれに合わせ込むというのが基本的なスタンスで、まさに職人技です。

一方、デジタル色校正機は非常に安定した機械で、一度ターゲットにするプロファイルを合わせ込んでしまえば、何度でも、またいつでも同じ出力結果を得ることができます。モニターもそうですね。適切なキャリブレーションをしていればいつでも同じ色を表示できます。ですから、色をコントロールするためには、モニターの色とデジタル校正機の色を一致させておくことが基本です。

しかし、欲望は果てしのないもの。色が合うとなれば、その先のニュアンスまでも合わせたい。そんな時にはモニタープルーフという手があります。モニターそのものを色見本にしてしまうということです。それも、正しい表色が出来るモニターでなければ実現できません。私の個展「Scenic Miles 道の行方」では、展示プリントの制作過程においてモニタープルーフを有効活用しました。次回にその報告をいたしましょう。


2007年8月に開かれた個展「Scenic Miles 道の行方」

写真:茂手木秀行

茂手木秀行 Hideyuki Motegi

1962年東京生まれ。日本大学芸術学部卒業後、マガジンハウス入社。24年間フォトグラファーとして雑誌「クロワッサン」「ターザン」「ポパイ」「ブルータス」を経て、2010年フリーランスとなる。1990年頃よりデジタル加工を始め、1997年頃からは撮影もデジタル化し、編集・デザイン・印刷現場との折衝・調整業務を経験。ポストプロダクションから「撮影」を見るという視点も持つ。2004年/2008年雑誌写真記者会優秀賞。2007年よりモノクロフォトを軸に活動し、写真展&セミナーイベント「Hello,Monochrome!」をプロデュース。その他写真雑誌に多数執筆、セミナー講師も手がけるなど精力的に活動中。
http://web.mac.com/miget1

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