フォトグラファーのColorEdge実践術

第4回 RAW現像はできるだけ大きなモニターで

解説:茂手木秀行

僕は、仕事であっても作品であってもすべての撮影をRAWデータで行なっています。2001年ころから徐々に切り替えてきました。RAWデータのメリットはなんと言っても、資産価値! どういうことかというと、現像ソフトウェアは年々進化しているので、RAWで保存しておけば、将来的に画質の向上が望めるということです。ことに数年をかけて作るような作品ではとても重要です。

僕はカメラ純正のRAW現像ソフトウェアと、Photoshop の Camera Raw を用途によって使い分けています。ことにCS3のCamera Rawでは設定できるパラメータが多くなり、画作りという意味では飛躍的な進歩を遂げました。いまやレイヤー処理をほとんど必要としないほどに画を追い込むことができます(写真1)。現像後のデータにほとんど手を加える必要がないので、データとしての品質も飛躍的に向上するのです。しかし、言い方を変えれば一度の処理ですべてを済まそうというわけですから、設定の追い込みは精細に行ないたいところです。

写真1:HSLカラーコントロールを使いこなせば、レイヤーを組まずに思い通りの写真を作ることができる。

使用サイズがおおむね決まっていれば、シャープネス、粒状度、ノイズ量、モアレといったデータとしての重要案件もここで決めてしまいます。そのため、データ表示は100%以上で行ない、画素単位での結果を見極めるべきです。データ表示が100%ということは、モニターの1ピクセルに画像データの1ピクセルが対応しているという状態です(写真2)。

写真2:Camera Rawでは左下に倍率表示がある。
キーボードショートカットを覚えよう。Macではoption+command+0だ。

このとき見える結果がデータの品質を決める重要部分であると考えて良いでしょう。100%を大きく割る表示倍率では、シャープネス、粒状度、ノイズ量、モアレなどがモニターの1ピクセルに押し込まれてしまうわけですから、その時、色も変わって見えていることも多いのです。作業効率からは、一度にできるだけ広い範囲を見たい。けれども精度よく色や品質を見るためには100%表示をしたい。この要求を同時にかなえるには、できるだけサイズが大きくて解像度の高いモニターを選択する以外にありません。

つまり、モニターの大きさというの大事な「性能」の一つなのです。モニターの大きさというと「快適さ」にばかり目が行きがちですが、実はデータの瑕疵や色を判別するためにとても重要な役割を持っていたのです。ColorEdgeなら19インチから30インチまで。色域や視野角特性も重要なポイントですが、画面サイズについては予算と場所が許す限り大きいものを使いましょう。モニターの世界では「大きいことは良いこと」です!(写真3、4)

写真3:リーフ Aptus75s(3300万画素)の画像をCamera Rawで開いてみた。CG19で100%表示。写真4:CG221での100%表示。2インチほどの差で、これだけ見える範囲に違いが出てくる。大きさは作業効率に関わる大事な性能だ。

さて冒頭で、RAW現像ソフトは用途によって使い分けていると言いましたが、アプリケーションを変えると現像結果も変わります。バランスや設定項目の詳細さではPhotoshop CS3ですね。けれども、モアレ除去やカメラ本来の解像力を求める場合はカメラ純正が良いようです(写真5)。色のつながりの良さを重視するならApertureやSYLKYPIXという選択もグッドです(写真6)。最終的には好みの問題なのですが、カメラとアプリケーションとの組み合わせで結果は変わります。まるで、フイルムと現像液みたいですね。好みの組み合わせを見つけることでワークフローは簡単で早くなります。しかし、その際「評価」は必ず100%表示で。忘れないでくださいね。

写真5:リーフの純正ソフト Leaf Capture 11。解像力重視なら純正ソフトに軍配が上がる。RAW現像ソフトは現像液のようなものだから、目的別に使い分けよう。写真6:CG221でApertuteを表示してみた。大きなモニターなら写真選びも早くて快適。

写真:茂手木秀行

茂手木秀行 Hideyuki Motegi

1962年東京生まれ。日本大学芸術学部卒業後、出版社マガジンハウス入社。雑誌「クロワッサン」「ターザン」「ポパイ」「ブルータス」の撮影を担当。2010年フリーランスとなる。1990年頃よりデジタル加工を始め、1997年頃からは撮影もデジタル化。デジタルフォトの黎明期を過ごす。2004年/2008年雑誌写真記者会優秀賞。レタッチ、プリントに造詣が深く、著書に「Photoshop Camera Raw レタッチワークフロー」、「美しいプリントを作るための教科書」がある。

個展
05年「トーキョー湾岸」
07年「Scenic Miles 道の行方」
08年「RM California」
09年「海に名前をつけるとき」
10年「海に名前をつけるとき D」「沈まぬ空に眠るとき」
12年「空のかけら」
14年「美しいプリントを作るための教科書〜オリジナルプリント展」
17年「星天航路」

デジカメWatch インタビュー記事
http://dc.watch.impress.co.jp/docs/culture/photographer/

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