フォトグラファーのColorEdge実践術

第7回 出版現場から、色校正を考える

解説:茂手木秀行

フォトグラファーの皆さん! 色校正は見ていますか? モニターとのマッチングは、最終的な印刷物でなく、色校正、しかもDDCP(ダイレクト・デジタル・カラー・プルーファー)で出力されたものとマッチングをとってくださいね。これまで、この連載の第2回などで述べてきた通り、印刷物には「安定性」が欠けているからです。最も出力結果が安定しているDDCPとマッチングさせることが、CMSの近道なのです。

さて、今回は色校正について考えてみましょう。業態や会社によって様々なフローがありますが、出版社におけるタイアップも含めた広告でのフローを図にしてみました。ここでは、出版社が原稿データを制作したものとして話を進めて行きます。

図1:従来からの色校正

データはまず印刷会社に送られ、DDCPもしくは平台校正機を使い、色校正としての校正紙が少なくとも2枚出力されます。1枚は出版社に配送され、さらに1枚は広告クライアントに配送されます。そして、クライアントのチェックを受けた校正紙は出版社に戻され、出版社では、クライアントの要望を入れた赤字を反映させた上で印刷会社に戻すのです。データはネットワークで送稿できますから、さしたるコストはかかりませんが、校正紙=紙という現物をやりとりするにはコストと時間がかかります。

今、出版の現場で問題になっているのは、この配送にかかるコストと時間です。コスト削減はもちろんですが、旬のネタを誌面に反映させたい出版社としては時間も短縮したいのです。そこで、雑誌広告基準カラーの策定とともにリモートプルーフという概念が生まれてきました。

図2:リモートプルーフ

リモートプルーフでは安定性の高いDDCPでの色校正が大前提です。理想としては印刷会社と同じ出力ができるDDCP出力機を、出版社とクライアントに配置することですが、導入コストやオペレーションスキルの問題から、ここではレーザープリンタやインクジェットプリンタを想定しています。すでに、CMSが普及し理解が深まっていることから、レーザープリンタやインクジェットプリンタでも、DDCPの色再現をシミュレーションできるようになっています。ただし、レーザープリンタやインクジェットプリンタそのままの出力では網点は再現されないので、そこは注意が必要です。リモートプルーフでは、印刷会社、出版社、クライアントそれぞれで、校正紙の出力を行ないますが、現物の配送はしません。配送コストと配送にかかる時間が節約できるいい方法なのです。

図3:モニタープルーフ

これよりも、さらなるコスト削減ができるのがモニタープルーフです。コスト、コストと言うとせちがらく聞こえますが、コスト削減を考えることはワークフローの整理でもありますし、コスト以外にも都合の良いこともあるのですよ。まずは、図3を見てください。フローがすっきりしていますよね。モニタープルーフの理想状態では校正紙は出力しません。モニター同士が同じ色再現で、かつDDCPの出力と表示が一致していれば、紙としての出力は不要なわけです。

ColorEdgeのようにCMSデバイスとしては安価で、どの個体でも性能が一定で、安定したモニターが登場したことで、可能になった方法といっても過言ではありません。極論すれば、みんながColorEdgeを使えば、モニターだけで色校正は終わってしまうんですよ! この連載の第3回で、作品制作におけるモニタープルーフについてお話ししました。また小島さんの連載第6回ではモニターでの色校正の方法や、ColorNavigator 5 のエミュレーション機能について述べられています。エミュレーション機能を活用すれば、別の場所にあるモニターの表色を再現することもできるので、モニタープルーフの効率アップ、精度向上が可能となります。

実際にモニタープルーフを実現するためには、ColorEdgeをただ導入すればいいわけではなく、様々なステップが必要であるし、モニターと紙では表色系自体が違うので、紙の出力が全くなくなるわけではありません。しかしもう一度、図3を見て頂けますか? モニタープルーフでは、信頼に足るモニターさえあれば誰でも色校正に参加できるのです。ColorEdgeで見れば、それが即ち色校正というわけですから、これまで色校正を見る機会がなかったフォトグラファーも印刷の色を確認できるようになります。

ね、われわれフォトグラファーにも都合が良いでしょう? でも、キャリブレーションとCMS設定はしっかりとお願いしますよ!

写真:茂手木秀行

茂手木秀行 Hideyuki Motegi

1962年東京生まれ。日本大学芸術学部卒業後、出版社マガジンハウス入社。雑誌「クロワッサン」「ターザン」「ポパイ」「ブルータス」の撮影を担当。2010年フリーランスとなる。1990年頃よりデジタル加工を始め、1997年頃からは撮影もデジタル化。デジタルフォトの黎明期を過ごす。2004年/2008年雑誌写真記者会優秀賞。レタッチ、プリントに造詣が深く、著書に「Photoshop Camera Raw レタッチワークフロー」、「美しいプリントを作るための教科書」がある。

個展
05年「トーキョー湾岸」
07年「Scenic Miles 道の行方」
08年「RM California」
09年「海に名前をつけるとき」
10年「海に名前をつけるとき D」「沈まぬ空に眠るとき」
12年「空のかけら」
14年「美しいプリントを作るための教科書〜オリジナルプリント展」
17年「星天航路」

デジカメWatch インタビュー記事
http://dc.watch.impress.co.jp/docs/culture/photographer/

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