キヤノン EOS-1DX Mark II の実力

EOS-1D X Mark II × 松木康平 Shooting Review

松木康平(フォトグラファー)

約14コマ/秒の高速連写機能を実現したキヤノン EOS-1D X Mark II。前モデルのEOS-1D Xより高画素でありながらノイズ特性に優れた約2020万画素のフルサイズセンサーを搭載し、 暗部のレタッチ耐性や高感度画質も向上しているという。EOS-1D X Mark IIで作品を撮りおろしたフォトグラファーの松木康平氏に話を聞いた。

約14コマ/秒の高速連写と高精度のAFは広告の現場でも威力を発揮する

img_products_eos1dx2_1_1.jpg EOS-1D X Mark IIの高速連写性能を活かすために定常光のHMIで撮影した。

一番すごいと思ったのは連写機能です。HMIの定常光を使って連写したのですが、1秒で約14コマも撮れるので、まるでムービーの撮影のようでした。広告の仕事で使えるのかを検証するため今回はパソコンにつないで撮りましたが、途中で転送が止まる気配もなく、何枚でも無限に撮れる感じでした。実際に2つのシチュエーションで約3,000枚も撮っています。

今回のような動きのある写真を撮る場合、通常は閃光速度の速いストロボを使って、決めのポーズの瞬間を狙って1回ごとにシャッターを切ります。タイミングを合わせるには、それこそ何回も何十回も同じ動きを繰り返さないといけませんが、定常光とEOS-1D X Mark IIなら、高速連写するだけでインパクトのある1枚が確実に撮れる。これからは広告の仕事でも、連写で撮るのは「あり」だなと思いました。

AFの性能もすごく良かったですね。連写中でもずっとAFが追従してくれるし、素速い動きにも強い。撮影が終わって、サムネイルを見て直感的に写真をセレクトしたんですが、セレクトした写真はどれもピントがしっかりと来ていました。これだけ精度の高いAFは初めてです。

そのほかには、「ディテール重視」のピクチャーススタイルが気に入りました。これまでは白とびや黒つぶれを回避するために、RAW現像時に露出を変えて何枚も書き出すことがありましたが、「ディテール重視」はコントラストが低めで階調が柔らかいので、1回の書き出しで済んでしまう。人肌のグラデーションもきれいだし、顔のあたりの解像感もあります。今回の背景はライティングでトーンを作っていますが、それがきれいに出たのも「ディテール重視」のおかげだと思います。

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Model=AMI SUZUKI(SATORU JAPAN) ST=Ryoko Kishimoto (W) Make=Mayuko Yajima Hair=Hirotaka Okunuki(juice) 画像処理=Ryo Shimura(VITA) 衣装協力=Hanae Mori manuscript 撮影協力=横浜スーパー・ファクトリー

撮影現場レポート 高速連写×定常光で被写体の動きを止める

img_products_eos1dx2_1_3.jpgスタジオで高速連続撮影をするため、定常光のHMIを使用。

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img_products_eos1dx2_1_5.jpg 広告の現場を想定しパソコンに接続して撮影しているので、手持ちのカメラから長いケーブルが伸びている。

撮影は2月中旬の横浜スーパー・ファクトリースタジオで行なわれた。作品テーマはファッションとスポーツの融合。いわゆる“スポーツ写真”ではなくハイファッションの衣装を身につけてスポーツする姿。実際にはない状況だが、背景ペーパーを用い、卓球台の青色、衣装とボールの白色、背景色とグラフィカルな絵を狙った。

卓球ラケットを持つ動きを強調するフリンジの衣装を身につけたモデルが卓球する姿をHMI7灯を使用して撮影。まずは赤色の背景ペーパーから撮影がスタートした。撮影序盤は慣れない卓球に戸惑い気味だったモデルだが、次第にテンポよくトスされた玉を打ち返し、ラケットを持つ腕の動きも激しくなっていく。左右からあてたブロワの風でさらにフリンジが激しく揺れる様子を高速連写で追う。

撮影合間でのスタッフ全員でのパソコンモニタチェックでは、見事にピタリと動きが止まった絵を見て、思わず「時間が止まってるみたいだ」という声も。

背景をグリーンに変更した後、今度は寄りの画を狙う。レンズもEF24mm F1.4L Ⅱ USMからEF100mm F2 USMへチェンジ。松木氏自身が卓球台に乗り上げて撮影する場面も。「これだけ連写しても詰まらないし、撮ってて気持ちいい。たくさん撮っちゃいました」と松木氏。その言葉通り、結果的に3,000枚を撮影していたが高速連写でも接続が切れることなくスムーズなまま終了。狙い通りのダイナミックな絵を撮りきった。


img_products_eos1dx2_1_0.pngEOS-1D X Mark II
約2020万画素フルサイズセンサーを搭載したEOSのフラッグシップモデル。連続撮影速度約14コマ/秒、高精度なAF、4K/60Pの動画機能など、前モデルを上回る性能を実現。常用感度の上限はEOS-1D Xと同じISO51200だが、新映像エンジンによってノイズを大幅に低減している。

松木康平
まつき・こうへい
1981年兵庫県生まれ。北井博也氏(angle)専属アシスタントを経て、2010 年からフリーランスフォ トグラファーとして独立する。主に広告の撮影で活動中。横浜スーパー・ファクトリー所属。

※この記事はコマーシャル・フォト2016年5月号から転載しています。


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