キヤノン imagePROGRAF PROシリーズの実力

PRO-1000で出力する色見本プリントはビューティやファッション、広告など高品質な印刷物を作る際に威力を発揮する

渡邉 肇(フォトグラファー) × 栗下直樹(レタッチャー/フォートン)

プロ向けプリンターのimagePROGRAF PRO-1000は仕事や作品でどこまで威力を発揮するのか。フォトグラファーの渡邉肇氏とフォートンのレタッチャー栗下直樹氏に話を聞いた。

img_products_ipf03_01.jpg フォトグラファーの渡邉肇氏(写真右)と、フォートンのレタッチャー栗下直樹氏

今までとあまりにも違う黒の深みと階調に驚いた。

───PRO-1000で作品をプリントしてみて、いかがでしたか?

渡邉 今までのプリンターとあまりにも違うので、とにかく驚きました。特にモノクロの再現性が素晴らしい。僕はインクジェットで作品を作るとき、銀塩のバライタ印画紙の黒の深みや、グレーの階調の広さを目指していたんですけど、PRO-1000は黒の締りやハイライトの抜けの良さがバライタ印画紙にかなり近いなという印象です。

今まで使ってきたプリンターと比べてみると、何を持ってこれを自分が良しとしていたのか理解できないというか、プリントを見るときのメガネが曇っていたんじゃないかというぐらいの歴然とした違いがあって、ちょっと驚いています。

栗下 僕も黒の締りがすごく良いと思います。今まで使っていたプリンターが決して浅いとは思っていなかったんですが、比べてみると明らかに違う。様々な写真を出力して、フォートンの社内でブラインドテストの比較をしたんですが、PRO-1000が一番評判が良かったですね。

渡邉 黒が濃いだけでなく、黒の中の黒というのかな、漆黒に落ち込んでいく微妙な濃いグレーが潰れないで出ている。もともと写真が持っている情報量はこんなにもあるんだと思いました。

栗下 解像度も上がっている感じがします。写真の中に斜め方向の直線があるとジャギーが出てしまうことがあるんですが、PRO-1000では出ませんでした。

img_products_ipf03_02.jpg 化粧写真 / RH project Hair Make-up=RYUJI © HAJIME WATANABE

渡邉 カラーに関しては、いつも自分の作品用に使っているマジックリー シルバーラグという紙で出力したら、色がきれいに再現されていましたね。紙白がけっこう黄色い紙なのですが、それを気にさせないような抜けの良さもあります。

栗下 画質はもっと独自の味付けがされているのかなと思っていたんですけど、そういうことではなく、純粋にクオリティが上がっていました。調整すると色味も今までのプリンターと同じように出るし、それでいてクオリティが一段上がっていたので、「おお、これこれ!」という感じでした。

渡邉 僕はわりと女性の肌ものの仕事が多くて、それは我々2人に共通していることなので、最初にテスト出力をしたときに素直な肌色が再現できるかどうかに注目していました。彩度が高いとか色が転んでいるとか、そういう癖があったら肌が濁って見えてしまうのですが、このプリンターは今までのものと引けを取らない。むしろ立体感が増して、肌のツヤ感がいいぐらいだったという印象です。

───モニターとプリントの印象が変わってもいけないですよね。

栗下 そこもそうですね。用紙に合ったICCプロファイルを使うとモニターとの見え方もかなり近いし、問題ないと思います。

渡邉 今回使用したマジックリーは純正用紙ではありませんが、それに対応したプロファイルもちゃんと用意してありました。

栗下 今回、指定の方法でプロファイルを作成したりもしたのですが、自分で作ったものよりも提供されているプロファイルを使うほうが全然きれいでした。

渡邉 手間も省けるので一石二鳥ですね。できれば、もっと多くの紙に対応してほしいところです。

作品でも仕事でも最高のプリントが作れる。

───先ほど話に出た黒の締まりの良さは、フォトブラックインクの色材を見直したことと、クロマオプティマイザーという透明インクで表面を覆ったことが要因だそうです。

渡邉 透明インクによって表面の乱反射を防いでいるということなんですか。それはすごいですね。光の反射を抑えることができれば元のプリントに近い状態で見せることができるので、作品展の展示とかにもすごく利点があると思いますね。

写真のプリントはそれ自体に光沢があるぶん、作品展で展示する時に、光源や周囲の壁の影響を受けやすいんです。ギャラリーの限られたスペースの中で出来るだけ写真を良く見せようとすると、プリント表面への映り込みのことも考えて写真の配置やライトの向きも工夫しなければいけない。ギャラリーによって光源がハロゲンだったりLEDだったり、壁と壁との距離なんかもまちまちじゃないですか。でもプリント自体の反射を抑えて黒の締りや色の再現性を忠実に見せてくれるのであれば、すごく嬉しいですね。

栗下 フォートンでも打ち合わせ用と立ち会い用の部屋によって光源の種類や数が変わったりするのですが、見え方の差が少ないのでとても助かります。

渡邉 その点は仕事の写真の色見本としても威力を発揮しますね。

img_products_ipf03_03.jpg 写真集「簑助伝」より 人形遣い三世吉田簑助(人間国宝)とお初 ©HAJIME WATANABE

───レタッチの立ち会いでは、プリントで確認をすることが多いのですか?

渡邉 レタッチの作業をしてもらっている最中だと細かいところはモニターで確認しますが、最終的にクライアントやスタッフなど他の人と共有するにはやはりプリントですね。そういう意味では仕事の時でもプリントの品質はすごく重要です。

栗下 たとえば細かいディテールが多い写真だと、今まで使っていたプリンターではどうしてもモニターよりも眠い感じに出力されてしまいます。データ自体のシャープネスやコントラストはしっかりとしているのに、プリントで見ると「もうちょっとシャープネスを上げてほしい」とか、「もうちょっと黒を締めてほしい」という話になることがあって、そこでシャープネスを上げたり黒を締めたりすると、かえってデータを劣化させかねない。だから、このプリンターのようにデータに忠実に出力できるというのは、レタッチャーとしてはうれしいですね。

───PRO-1000には、プリント時に低下してしまう鮮鋭感を復元する「コントラストリプロダクション」という新機能がありますが、今回のプリントでそれは使っていますか。

栗下 いえ、使っていません。

渡邉 じゃあ元々持っている情報だけで、これだけのシャープさを表現できていると。

栗下 はい。実験的にその機能をオン、オフして出力してみたんですが、オフにしても充分シャープに出ていますね。

img_products_ipf03_04.jpg 出力した様々なプリントを前にして、PRO-1000のインプレッションについて語る渡邉氏(右)と栗下氏(左)。

───レタッチの作業では一度に何枚くらい出力するものですか?

渡邉 1つの写真を仕上げて納品用の色見本プリントを作るまでに、かなりたくさん出力しますよね。

栗下 そうですね、10枚とか20枚とか、結構な枚数を出します。

渡邉 レタッチに立ち合うアートディレクターさんにもよりますが、ちょっと直したら、すぐにプリントして確認したいという人もいますからね。

栗下 プリントのスピードは速ければ速いほど嬉しいです。そのあたりが気になったので自分でもちょっと調べてみたんですが、PRO-1000のインクコストやスピードはこれまでと遜色ないですし、印刷品質を「最高」にすると、時間はかかりますがさらに一段上のプリントも作れる。立ち会いの途中は何枚も出すのでスピードの速いモードで、最後の仕上げの時は「最高」で出すという使い分けができるのはいいですね。

渡邉 色見本プリントは最終的な印刷のクオリティを左右するので、作る時には気を抜けません。インクジェットの色が通常の4色印刷では出ないというのはわかっているんですが、良いものを作るにはやはり、色見本も高い品質であるべきではないでしょうか。そういう意味でPRO-1000は、仕事でも作品でも、最高のプリントが作れる製品だと思います。

PROFILE

渡邉 肇(わたなべ・はじめ)
ビューティ、ファッションを中心に、広告・雑誌で活動。個人作品として古典芸能文楽に密着した映像・写真を制作し、2015年には文楽人形遣い人間国宝吉田簑助の生き様を撮りおろした写真集「簑助伝」を発表。


栗下直樹(くりした・なおき)
千葉工業大学卒業後、印刷会社を経てフォートン入社。得意ジャンルはビューティ・ファッション。色を自在に あやつるテクニックに定評があり、次世代を担うレタッチャー として期待が寄せられている。
www.foton.jp

※この記事はコマーシャル・フォト2016年6月号から転載しています。

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