プリント制作のためのハードウェア

これからはプリンタやモニタで色校正を行なう時代

解説:小島勉

インクジェットで色校正を出力するメリットとは?

印刷業界では、平台校正機の耐用年数が過ぎ、事実上の終焉を迎えている。近年では、網点タイプのハイエンドDDCPが校正機の主力となっているが、現在はインクジェットプルーフへと移行し始めている。インクジェットで色校正を出す一番大きなメリットは、やはりその早さと低コストと言えるだろう。

img_products_dp_hard04_01.jpg インクジェットによる色校正は実用レベルに達している(写真はPX-H9000)。

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imagePROGRAFのキャリブレーション機能。

校正に使う用紙も徐々にラインナップが増え、コート紙、マット紙、マットコート紙の主流商品はすでにいくつか販売されている。プリンタ自体のキャリブレーションを行なう機能(キヤノン)や、内蔵測色器のオプション(エプソン)など、色を管理するための機能も充実し、平台校正機では難しかった色の安定度も高いレベルで実現している。

早く、安く、より安定的でかつ定量的に出力できるのが、インクジェットプルーフのメリットではあるが、まだクリアできていない課題も多い。特色や、Kaleidoなどの広色域印刷については、エプソンやキヤノンの最新プリンタでほぼカバーできるようになってきたが、金・銀や蛍光色の再現など、ハードルの高い課題を今後どうクリアしていくかが問われるだろう。

用紙も多くなったとはいえ、まだまだ印刷本紙の種類には及ばない。今後、インクジェットが主流になることは間違いないと思うが、これらの課題を注意深く見ていく必要があるように思う。

モニタで色校正を行なうソフトプルーフとは?

ソフトプルーフ、あるいはモニタプルーフとは、実際の印刷物を出さずに、モニタ上だけで校正作業を済ませてしまう方法のことを指す。時間の短縮や、配送の手間を省けるので、海外では広く使われている手法である。

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カラーマネジメント対応のAdobe Acrobat 8以上を使えば、 PDFによるソフトプルーフが可能になる。

ソフトプルーフの必要性は日本でも2006年頃から叫ばれるようになり、校正のこれからのあるべき姿に、多くの人が期待をした。だが、実際には普及が進んでいないのが実情だ。

広告業界、印刷業界でカラーマネジメントへの理解は進んではいるのだが、システム全体のコストの高さや、管理の難しさなどがネックとなって敬遠されているのだろう。

しかしここにきて、JMPA(日本雑誌協会)に加盟する出版社が、2011年4月より雑誌広告の完全デジタル送稿を実施した。筆者は、これを契機として校正ワークフローの見直しが行なわれるのではないかと考えている。また、右ページで紹介しているように、ソフトプルーフやインクジェットプルーフ出力を一連のシステムの中で自動化させる各種のツールが登場してきており、これまで理想でしかなかったソフトプルーフがいよいよ現実のものとなると感じている。

完全自動の色校正を実現する ORIS COLOR TUNER // WEB

校正作業では、印刷会社・制作会社双方の観察環境(モニタ、プリンタ、環境光など)を整えることが重要だ。また、印刷物の発注者、広告主の環境も、できればそうあってほしい。なぜならば、色を見るための物差しをきちんと合わせなければ、色校正の正確な評価はできないからだ。

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ORIS COLOR TUNER // WEB

サーバ側に必要な設備
ソフト  ORIS COLOR TUNER // WEB
     ORIS Certified Proof
プリンタ エプソン PX-H6000など
     自動測色器対応モデルと
     自動測色器(オプション)

クライアント側に必要な設備
ソフト  ORIS Certified Monitor
     Adobe Acrobat 8以上
モニタ  ナナオ CG245W/CG275W

「ORIS COLOR TUNER // WEB」は、様々な関係者の環境をトータルに管理できる、実に興味深いソリューションだ。詳しい流れは下図を参照してほしいが、まずPDFをベースとしてモニタ上でソフトプルーフを行ない、次に認証されたPDFをプリンタで出力し、さらに色認証ラベルの印字までを行なう。

モニタとプリンタに測色器内蔵の製品を採用することで、一連のプロセスの色管理を自動化している。カラーマネジメントの知識がなくても運用できるのがポイントだ。

印刷会社や制作会社の社内に、このソフトをインストールしたサーバを構築すると、社内外からWebブラウザ経由で操作できるので、外部デザイナーや広告主・発注者でも利用できる。オプションとして、インクジェットプルーフの色とJapan ColorやJMPAなどの色基準を比較して色再現性の品質を保証(認証)する「ORIS CERTIFIED PROOF」や、モニタでも同機能を提供する「ORIS CERTIFIED MONITOR」がある。広告主や発注者はソフトプルーフの環境を整えるだけなので、コストを抑えられる。

日本では外部からのネットワークアクセスに対してセキュリティを懸念する傾向が強いが、このシステムなら顧客に与えるベネフィットは多い。このシステムを導入する印刷会社、制作会社が増えれば、日本の校正をめぐる状況も大きく変わるに違いない。

ORISのワークフロー

下の図は、制作会社・印刷会社がCOLOR TUNER // WEBを導入したという想定のワークフロー図。サーバ内のCOLOR TUNER // WEBには、Webブラウザ経由で社内外からアクセスできる。デザイナーがデザイン済みPDFをサーバに登録すると、ソフトプルーフ用PDFが生成され、これを使って遠く離れた場所のモニタで色を確認できる。ソフトプルーフでOKが出ると、制作会社内のプリンタで自動的にプルーフを出力されるので快適な色校正の環境を構築できる。モニタもプリンタも自動測色器を搭載しているので、色に関しては完全に自動化されている。

広告主・発注者
img_products_dp_hard04_06.jpg ソフトプルーフ用PDFをダウンロードして、自動測色器内蔵のモニタ上で校正・確認後、送信する
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デザイナー
デザイン済みPDFをWebブラウザにドラッグ&ドロップ
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印刷会社・制作会社
ORIS Color Tuner // Webがソフトプルーフ用PDFを生成
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ソフトプルーフがOKになったら自動的にプルーフを出力
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色評価用カラーバーが自動的に印刷され、プリンタの自動測色器が測定。結果がOKであれば色認証のラベルをプリントに印字

写真:小島勉

小島勉 Tsutomu Kojima

株式会社トッパングラフィックコミュニケーションズGA本部 GA部所属、インクジェットによるアートプリント制作(プリマグラフィ)のチーフディレクター。1987年、旧・株式会社トッパンプロセスGA部入社。サイテックス社の画像処理システムを使った商業印刷物をメインとしたレタッチに従事。1998年よりインクジェットによるアート製作(プリマグラフィ)を担当し現在に至る。イラスト、写真、CGなど、様々なジャンルのアート表現に携わっている。

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