ペンタブレット・クリエイター

レタッチャー宮本准 × アートディレクター長島慎

グラフィック広告制作においては、ほぼ最終イメージに近いようなカンプを作成することも当たり前になってきた。画像処理のプロフェッショナルである宮本准氏は、「頭と手が直結した操作感が、作業効率をグンとアップさせるはず」と、日頃一緒に仕事をすることの多い博報堂アートディレクターの長島慎氏に、ペンタブレットを推奨する。宮本さんの使用モデルは、Intuos3のA3ワイド。

直感的な操作感でデザイナーの仕事が変わる


宮本准氏(写真奥)と長島慎氏(写真手前)  Photo:近藤ミカ

宮本 長島さんはぼくが知っているアートディレクターの中でも、デジタルを理解している人のひとり。だからこそ、バイオハザード4 のような企画も出てくるんですよね。

長島 学生時代からMacに触っていたという、世代的なこともあるでしょうね。ぼく自身もメカ好きだし。

宮本 そういう意味でも、ぜひ長島さんにはペンタブレットを薦めたいと思っているんです。

長島 ぼくらが使うソフトはAdobe Illustratorがメイン。ペンタブレットは、どうしても筆圧を使って絵を描くためのツールというイメージがあったんだけど、宮本さんがデザイナーにも薦める一番大きな理由は?

宮本 まずは、自分の行きたいところ、カーソルを持って行きたい場所へ、絶対値的にピンポイントで行ける、ということ。

長島 なるほど。今はデザイナーが使うモニタも拡大傾向にあるから、マウスだとカーソルを目的の位置まで移動するのに、何度もマウスを動かさなきゃならない。

宮本 それが、ペンタブレットだと、圧倒的に早くなる。今、マウスに慣れている人は、苦痛に感じていないだろうけれど、一回、これに慣れてしまったら、マウスには二度と戻れないですよ。


カプコン バイオハザード4(ポスターB0 判2連)
企画制作=博報堂+博報堂プロダクツ+アドソルト CD+C=原田朋 AD=長島慎 C=石下佳奈子 D=名和田剛・高津戸啓太 P=高橋秀行 CG=宮本准 T=伊藤淳史


長島 点で移動できるということですね。そういう観点でペンタブレットを考えたことは、確かに今までありませんでした。映像の編集でも、ペンタブレットは使われてますね。

宮本 そう、それも、やっぱりピンポイントで行きたい場所に行けるから。このフィルターはここにあるとか、OKはここだとか、もうパッドの場所で覚えているから早い。

長島 以前ちょっとだけ使ってみた時、うまく使えなくて、やっぱり難しいのかなと思ってしまったんだけれど、今回、宮本さんに話を聞いて、また、実際に使ってみて、絵を描くだけのツールというのが、単なる先入観だったと感じました。

宮本 パッドとペンの距離の感覚をつかむには、少し時間がかかる。でも、紙にペンで何かを書くという動作は、ぼくらは子どもの頃からやってきた自然な動きでしょう。しかもデザイナーであれば、一般の人よりさらに身についているはず。マウスを使ってきた時間よりはるかに長いのだから、慣れて思い通りに動かせるようになれば、効率もアップするし、快適に仕事ができると思います。


長島さんと宮本さんが組んだ「バイオハザード4」のグラフィック広告。
長島「何しろあらかじめカンプを作れないアイデアだったから、撮影後は毎日のようにデジモに通っていました」
宮本「ゆがみツールの効き具合を確認しながらの作業。筆圧でコントロールできるというペンタブレットの威力が発揮されているヴィジュアルです」

デザイナーの作業で一番多いのが、パスを切ること。いつもはマウスを使っている長島さんが、ペンタブレットで挑戦。
長島「なるほど。確かに慣れてしまえば、こちらの方が便利そう」
宮本「精度はそれほど求められないにしても、デザイナーはパスを切る数が多いから、トータルで考えるとかなり作業時間が短くなると思います」

宮本准 × 長島慎 Hitoshi Miyamoto x Shin Nagashima

デジタルクリエイター 宮本准
1974年生まれ。1998年現・博報堂プロダクツ入社。2005年同社退職後、(株)デジモ設立。

アートディレクター 長島慎
1975年生まれ。1999年博報堂入社。主な仕事に日産ウィングロード、マ・マー、アニコムなど。

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