めざせ!3DCGフォトグラファー

第3回 製品写真(静止画)制作の流れ

解説:長尾健作

今回は、3DCG写真がどのように作られていくのかという制作の流れを見ていきます。基本の作業を分かりやすく伝えるため、製品写真(静止画)の制作を例に解説します。

こんにちは、パーチの長尾です。

私たちパーチが3DCGフォトグラファーを育成するスクールを開講して、この秋で一年になります。写真プロダクションやデザイン事務所、レタッチャーの方々に参加していただいていますが、受講を終えられた方はすでに現場で活躍されています。これまでに3期が終了し、10月には4期が始まりますから、時の流れの速さと、3DCG写真が普及していく速さを実感しています。

(スクールの詳細や、受講された方の作品はこちらからご覧いただけます)

フィルムカメラからデジタルカメラへ移行したときのことを思い出してみると、その転換はすごく速かったように思います。 Photoshopも昔はこんなに普及していませんでしたが、今ではどこでも持っていますよね。今後は、これと同じように3DCGソフトが増えていくだろうと予想できます。

また、参入障壁が低くなったということも、皆さんの関心が高まっている理由の1つです。3DCGソフトを始めとする必要機材(ハード、ソフト)の質が上がって使いやすくなった上、それらは低価格化されました。更に、「3DCG写真を広報宣伝活動に利用したい」という企業が増えたということも大きな要因です(詳細は、連載第2回「どんな仕事があるの?」を参照ください)。

今回はこの「3DCG写真」が、3DCGソフトでどのように作られていくのか、という制作の流れを見ていきます。3DCGソフトでは実に様々な物が作れますが、ここでは【基本の作業】を分かりやすく伝えるために、製品写真(静止画)の制作の流れを解説していきます。


3DCG写真制作の流れ −「製品写真(静止画)」を作る−


使用ソフトについて

現在3DCG写真を制作している制作プロダクションのほとんどが、Autodesk 3ds Max Design、またはAutodesk Mayaのどちらかを使っています(どちらを使っても最終的な仕上がりは変わりません)。作業効率や品質が高いのはもちろんのこと、今活躍しているCGクリエイターが一番使っていて、関連書籍が最も多く出ているという事実から見ても最適です。

ちなみにこの2つのソフトは、元はゲームや映画制作をする【動画用】に作られたソフトのため、3DCG写真制作【静止画】では使わないツールもたくさんあります。3DCG写真制作では、この「静止画制作に必要なツール」を初めに覚えることが一番の近道です。私たちが開講しているスクールでは一番普及している3ds Maxで教えていますが、その第1回は、それらのツールやショートカットキーをまとめて覚えるカリキュラムにしてあります。そうすることで、ソフトを購入後、すぐに制作できるようにしています。

3DCGソフトを用意したら、制作のスタートです。制作する順番通りに、各工程を見ていきましょう。

1. CAD変換

img_soft_3dcgmezase_03_01.jpg CAD(キャド)とは、製造メーカー内で使われている製品設計用データのことです。このCADが、3DCG写真のもとになります。しかし、CADは3DCGソフトで加工するために、専用ソフトで3DCGデータに変換する必要があります(「CAD変換」)。また、CADには形状のデータしか入っていないので、製品の色や質感を設定する必要があります。これが次の「マテリアル設定」です。

2. マテリアル設定

img_soft_3dcgmezase_03_02.jpgマテリアルとは、製品(被写体)の色や質感のことです。3DCG写真制作では、製品と全く同じ色と質感を再現する必要があるため、素材の色合わせがかなり重要です。

また、3DCG写真制作でもカラーマネジメントが必須です。これは写真・印刷業界でされているカラーマネジメントと概念は同じですが、3DCGにはそれに特化した専門知識が必要なため、私たちもセミナー等を通してサポートしています。

ここからの工程は、「3DCGソフトの中に撮影スタジオを再現する」イメージで読んでみてください。3DCGソフトは、撮影スタジオによく似ています。ライトを配置しないと真っ暗で、製品とカメラとライトを配置しないと映像ができないところなど、全く同じです。

3. カメラ設定

img_soft_3dcgmezase_03_03.jpg3DCGソフトのツールには「カメラ」があり、現実のカメラと同じ機能を備えています。3DCGソフトで利用できるカメラの機能は、画角、縦横比の変更、絞り、色温度、あおり、などです。3DCG写真制作でも、撮影と同じようにまずカメラを決めてから、アングル、ライティングを決めていきます。

4. アングル設定

製品を最も魅力的に見せるアングルを決めます。3DCG写真制作でもアングルやライティングで画像の良し悪しが決まりますので、とても重要な工程です。まさにフォトグラファーの感性と経験が必要とされますが、まだ取り組んでいる人は少ないため、新しく3DCGフォトグラファーとしてスキルを持った人材が求められています。ちなみに、私たちが開講しているスクールでも、広告制作経験者はカメラ設定やアングル設定、次のライティング設定の感覚がつかみやすいようで、そういう人は早い段階から良い画像を制作されています。

5. ライティング設定

img_soft_3dcgmezase_03_04.jpgスタジオのライトの配置と同じように3DCG写真を作ったらどうなるか? その答えはもちろん、スタジオで撮影した写真と全く同じようなビジュアルが出来上がります。どんなライティングをしたいのか、を頭の中でイメージしたら、スタジオ撮影と同様に、ライトを設定していけばよいのです。

6. レンダリング

img_soft_3dcgmezase_03_05.jpg「レンダリング」とは、光の反射や屈折などをコンピュータが計算する作業のことです。計算時間は、データの複雑さと仕上がりの解像度、計算するPCの性能によります。

7. 画像処理

img_soft_3dcgmezase_03_06.jpgPhotoshopで最終的な仕上げをします。3DCG写真制作では、「ここまでは3DCGソフト、ここから先はPhotoshop」と業務を切り分けることで、効率的な作業が可能になります。


今回は、「3DCGソフトで製品写真を制作する流れ」を解説しましたが、いかがでしたか。読者のみなさんが現在行なっている業務とリンクした内容が多かったのではないでしょうか。その理由ははっきりしています。3DCG写真でも、従来の撮影と同じように、「被写体をより魅力的に見せること」が求められているからです。

ただ、実際に制作してみると、3DCGソフトは機能が複雑で、静止画制作に必要なツールを探すだけでも、時間と労力がかなりかかります。そこで、私たちパーチは、冒頭でもお話しした3DCG写真制作の基礎技術をまとめて習得できるスクールを開講し、クリエイターをサポートしています。「ソフトを買っても使えない」では、宝の持ち腐れです。短期間で一気に習得して、仕事をすぐスタートできるよう、応援しています。

「デザインビズ(3DCG写真制作)クリエイター育成スクール」

次回は、「3DCG用語」を解説します。

「ポリゴン」や「4面ビュー」など、3DCG写真制作ならではの用語を知ることで、3DCG写真の概念や、3DCGで制作できる物が、もっと分かるようになります。

写真:長尾健作

長尾健作 Kensaku Nagao

広告ビジュアル制作のデジタル化/3DCG 化 (ビジュアライゼーション) を業界最大手の株式会社アマナで実現。それに必要な戦略立案、市場開発、表現技術開発、人材開発、などを手がけ現在はこのビジュアライゼーションの新しい利用シーンを拡大させる活動等を行っている。 http://www.perch-up.jp

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