レタッチの基本ワザ

第10回 モノクロームの処理 応用編

画像処理・解説:大里宗也(VONS pictures)

前回はカラー画像からモノクローム(白黒/モノトーン)画像への変換の基礎を解説した。今回は、モノクローム表現でよく使われる「粒子を粗した表現」「トーニングによるバリエーション」をPhotoshopとプラグインフィルタを使った方法で解説してゆこう。

img_soft_retouch10_01.jpg Photo:片岡竜一 ST:曽我部将人 HM:中山夏子
Model:VIKA.D(ブラボーモデルズ)


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オリジナルのカラー画像
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Photoshopの「白黒」調整レイヤーで変換した画像

モノクロームで粒子の粗い表現をレタッチで作り出す

銀塩フィルムでよく見受けられる粗粒子表現は、主にモノクロームの高感度フィルムを高温現像して、粒子が粗く浮き出てくる現象を使った表現である。こうした銀塩フィルムの写真表現を画像処理でもPhotoshopの機能をいくつか組み合わせて作り出すことができる。

まずは「フィルタ」メニューから「ノイズ」と「ぼかし(ガウス)」を適用し、トーンカーブでコントラストを付けるという方法がシンプルで簡単なのだが、これだと粒子のサイズを調整できないので、次のような手法で対応する。

該当レイヤーの上にニュートラルグレーで塗りつぶしたレイヤーを新規で作り、描画モードをオーバーレイに変更しておく。そしてこのグレーレイヤーにフィルタで「ノイズ」と「ぼかし(ガウス)」を適用すると下の該当レイヤーに粒子のテクスチャが反映される。

ニュートラルグレーレイヤーを拡大縮小することで粒子サイズを調整できるほか、描画モードをオーバーレイから別のモードへ変更することで粒子のニュアンスを変えることもできる。

Adobe Photoshopによる粗粒子表現の処理

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人物レイヤーに対して「ノイズ」、「ぼかし」フィルタを適用し、トーンカーブでコントラストを付けた。粒子サイズのコントロールが難しい。
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グレーレイヤーはスマートオブジェクト化しておくと「ノイズ」および「ぼかし」フィルタの適用量を後調整する際に便利。「ぼかし」の量を強くしても人物レイヤーの画像がボケることはない。
img_soft_retouch10_09.jpg img_soft_retouch10_10.jpg

こうした作業が面倒な人には、別売されているプラグインフィルタを使い、簡単にさまざまな粗粒子表現をシミュレートするという選択肢もある。Photoshopのフィルタ群とはまた違った効果が得られるので試してみると良いだろう。

Alien Skin Exposure2による粗粒子表現の処理

img_soft_retouch10_11.jpg このプラグインはフィルム銘柄別の粒状特性をシミュレーションしたプリセットが豊富に揃っている。またパラメータを調整することで、自分好みにカスタマイズも可能。作例では、シャドウ、ミドル、ハイライトの粒状感を個別に調整できる機能を使った。

Nik Software Sliver Efex Proによる粗粒子表現の処理

img_soft_retouch10_12.jpg このプラグインにもフィルムタイプのプリセットが揃っており、粒状性やその掛かり具合を個別に調整することができる。またトーンカーブでの調整もプラグイン内で可能なので、コントラスト等のコントロールも同時に行なえる。

モノクローム写真の色調を変える

銀塩のモノクローム写真では画像を焼き付ける印画紙のタイプを選ぶことによって、ノーマルな「純黒調」、やや暖色系の「温黒調」、寒色系の「冷黒調」などの全体のベースとなる色調を変えることができた。

これを画像処理で再現することはそんなに難しくない。

まずはオリジナルのカラー画像をPhotoshop CS3以降、「色調補正」メニューに追加された「白黒」機能でモノクロームに変換。 「白黒」の設定の中にある「着色」のチェックボックスをオンにするとターゲットカラーを選択する画面が現れるので、任意の色を選ぶことで「温黒調」「冷黒調」のほか、さまざまな色調に設定することができる。

オリジナルカラー画像

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温黒調

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黄色っぽい暖色系の温黒調。暖かみを感じさせたい場合に効果的な色調だ。
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着色で選択する色はこの辺りが良いだろう。見た目はほとんど白に近いが、このくらい微妙な色でも充分に色調が感じられる。

純黒調

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無彩色でニュートラルな色調の純黒調。

冷黒調

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青っぽい寒色系の冷黒調。冷たい印象を与え、クールなイメージ作りに適している。

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冷黒調での着色ポイント。プリント用紙のメーカーやタイプによっても着色カラーは異なると思うので、試行錯誤しながら好みの色を見つけよう。

トーニング(調色)と調子を変えてバリエーションを増やす

トーニングとは、印画紙を化学薬品に浸し、銀の定着を強固にすると共に色調を変えて、セピア調やブルー調に調色することである。画像処理でも色調補正を行なうことによってトーニングを再現することができる。

色調の変更は上述の「白黒」機能の「着色」でもできるが、ワントーンで少々味気ない。もう少し複雑に調整したいならば、新たに「トーンカーブレイヤー」を作り、RGBそれぞれのチャンネルごとに色調を調整してみよう。オリジナリティのある独自のモノクロームのテイストが生まれるかもしれない。

プラグインソフトには「トーニング」をシミュレートしたプリセットが用意されているものもあるので、どういう色調にすればよいのか迷ったときは、いくつか試してみると良いだろう。

セレン調

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セピア調

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セレン調やセピア調などはだいたいの色調イメージであり、RGB値で特定の数値があるわけではない。トーンカーブをはじめとしてさまざまな調整レイヤーを駆使して独自の色調を作り出してみよう。

img_soft_retouch10_22.jpg 例えばセピア調の色調は、ブルーチャンネルのシャドウ部側だけを調整すると単純なセピア調とは異なる微妙な色合いが作り出せる。

Nik Software Sliver Efex Proの並列プレビューとトーニングのプリセット

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このプラグインのトーニングのプリセットは、適度に豊富でわかりやすく、パラメータの微調整で直感的な絵作りがしやすい。

大里宗也 Souya Ohsato

熊本工業大学附属情報技術専門学校メディアデザイン学科卒。2000年より株式会社VONSpictures所属。チーフCGデザイナー。http://www.vons.co.jp

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