OTAMIRAMSのクリエイターに効く映画学

Vol.2 サンダンス映画祭グランプリ作『そうして私たちはプールに金魚を、』を完全解剖!<前編> ゲスト:長久 允監督

解説+デザイン:白玖ヨしひろ(オタミラムズ)
イラストレーション:平岡佐知⌘B(オタミラムズ)
ゲスト:長久 允 フォトグラファー:服部健太郎 照明:松本大樹

アニメーション、デザイン、イラストレーション、音楽制作など、多方面で活躍するクリエイティブ・ユニット OTAMIRAMS(オタミラムズ)が、クリエイター視点で映画を読み解く連載コラム。映像作家のみならず、あらゆるクリエイターのインスピレーションを刺激します!

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今回のゲスト長久 允監督とは!?

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左上:長久 允 左下:白玖ヨしひろ

こんにちは、クリエイティブユニットOTAMIRAMSの白玖ヨしひろです。少し前の話になりますが、2017年1月、アメリカ・ユタ州にて催された、「第33回 サンダンス映画祭」のショート・フィルム部門にて、世界中から応募された9000本の中から、『そうして私たちはプールに金魚を、』がグランプリを受賞したというニュースが日本に飛び込んできました。

「サンダンス映画祭」とは、クエンティン・タランティーノジム・ジャームッシュコーエン兄弟ロバート・ロドリゲス、そしてデミアン・チャゼルなどを見出した映画祭。

その映画祭のショート・フィルム部門のグランプリを受賞した男の名は、"長久 允(ながひさ まこと)"監督。普段は広告代理店でプランナー業に勤しむ彼の映画監督2作目の作品が、日本人として初のグランプリに輝きました。

そもそも、私と長久監督の付き合いというのは、本作の主題歌を担当した"NATURE DANGER GANG(ネイチャー・デンジャー・ギャング)"というミュージシャンのディレクター仲間。私は『フィッシャーキング』を、長久監督は『マッスルステップ』という楽曲のミュージック・ビデオをそれぞれ担当しました。

★NATURE DANGER GANG『フィッシャーキング』

★NATURE DANGER GANG『マッスルステップ』

このグループのリーダーである"SEKI"さんから、本作を制作している話を事前に聞いていて、公開されたタイミングで観に行ったら、度肝を抜かされた……という経緯でした。本作を鑑賞し終えた直後の、私のTwitterの書き込みがこちら。

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私と長久監督は、年齢が1つしか変わらない同世代の監督。本作を見た際に、自分のやりたかった事が、この映画にすべて詰まってたことに興奮しました。そして、同世代が故に同じような映画を通ってきて、さらに影響を受けた作品の趣向も似ているな…という直感も。

そこで、勝手ながらにも「我々が"NATURE DANGER GANG”のMV監督に行き着いたのも、何かしらの因果があるのでは!?」と思い立ち、『OTAMIRAMSのクリエイターに効く映画学』の第二回は長久監督をお招きしました。前編となる今回は、『そうして私たちはプールに金魚を、』を見ながら、この映画を形成した発想の源について根掘り葉掘りお訊きし、映像の解体を試みていきます。

後編となる第三回めでは、アフタートークとして本作にまつわることや、長久監督ご本人のことをざっくばらんに伺っていきます。

対談に入る前に、Vimeoに公式にupされている本作をお楽しみください。埼玉県狭山市で15歳の4人の少女たちが、夏祭りで盗んだ金魚400匹を中学校のプールに放ったという、実際の事件を元にしたお話です。

『そうして私たちはプールに金魚を、』


『プー金』をリアルタイムで映像解剖する

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白玖(以下 ★ H)— さて、早速ですが、『そうして私たちはプールに金魚を、』(略して『プー金』)を見ながら気になった箇所でガシガシコメントをいただければと思います。

長久(以下 ☆ N)— わかりました、語りたい箇所がありすぎて全然先に進まないかも(笑)。

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『そうして私たちはプールに金魚を、』0分12秒
https://vimeo.com/170127382#t=12s

★ H — 冒頭の元ネタ映画は、プールのシーンで始まる相米慎二『台風クラブ』 と、観客に向かって語りかける寺山修司『書を捨てよ町へ出よう』 ですか?

☆ N — いきなりすごい所持ってきますね(笑)。まさにそうです。画面とお客さんって、CMとかだと一方通行じゃないですか? 映画を撮るとしたら、「画面とお客さんを、行ったり来たり出来るようなものを創りたいな」って思っていて。 だから、ファースト・カットは、お客さんに話しかけたかった。伊丹十三『タンポポ』で最初、"役所広司"が映画館に入ってきて、喋るじゃないですか? いきなりメタ要素を入れてきて「ドキッとする」みたいな。創ってるのはフィクション、映画なんで、「これは映画です」ってわかるような入口が好きなんです。

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伊丹十三『タンポポ』
http://urx3.nu/Fp2E

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『そうして私たちはプールに金魚を、』0分39秒
https://vimeo.com/170127382#t=39s

☆ N — 広告やってた演出の発想なんですけど、この映画は「どうやって観るべきか」っていう指示を最初に分かってもらった方が、後で自由に出来るかなって。だからこのニュース部分で、全部言ってるんですよ。 「何が起こるかを観客が追う」のは、大事じゃないと思ってたんで、言っちゃう。

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▶︎ chapter 1 | 誰もいない海

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『そうして私たちはプールに金魚を、』1分10秒
https://vimeo.com/170127382#t=70s

☆ N — ここが本編のファースト・カットですね。ファースト・カットが映画全体のメッセージの象徴だと思ってるので、「箱の中に居て、中に居る少女たち」を示そうという意図を込めてます。

少女4人が主人公ということで、観る人によっては庵野秀明『ラブ&ポップ』を思い浮かべるかもしれません。 僕も好きだから、逆に似ないように、今回は観ないようにしようと思ったんですけど、やっぱり帰り道で4人は歩くし、カラオケのシーンがあったり、ちょっと援交まがいのこともあったりとか、結構『ラブ&ポップ』に近くて。 J-POPも使ってるし(笑)。あと、カメラの自由さとか。 技術的には色々近いんですけど、でも何かやっぱり、「少女の性質」は全く違う。

90年代の『ラブ&ポップ』の頃のベストな4人は、「イケイケのギャルの4人で、彼女たちは渋谷にいて、援交して、色々に気付いたりする」。 でも今の時代に15歳をどう描くかっていったら、「狭山に居て出れなくて、スクールカーストでいうと上にいなくて、出会い系はやるけど会うには至らないレベル」っていうのがグッとくるラインなのかなと。

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庵野秀明『ラブ&ポップ』
hhttp://urx3.nu/Fp2M

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『そうして私たちはプールに金魚を、』1分23秒
https://vimeo.com/170127382#t=83s

★ H — モノローグで進めていくっていうのは何かしらの影響がありましたか? 昔から多用されてきた手法ではありますけど、例えば近年だと、ドラマ版の『モテキ』が出てきた頃から、モノローグで進めていく作品が、また増え出したと思うんですけど。

☆ N — CMは多いんですよね、モノローグでやるものは。本業ではクリエイティブディレクターの"黒須美彦"さんに師事してるんですけど、黒須さんの演出にもモノローグが多かったり。言葉を多く入れれた方がいい時に、セリフで言わせずに、脳内で鳴ってることが多い。僕、フォルカー・シュレンドルフ『ブリキの太鼓』がすっごい好きで、たしかあれモノローグから始まるんですよ! まず、主人公のお爺ちゃんとお婆ちゃんが出会った時の話が、孫のモノローグで始まるんです。 あのモノローグでいきなり展開が説明されちゃうんですけど、映画において言ってる内容が面白ければ、それは野暮ではないかな、と思うんですね。

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フォルカー・シュレンドルフ『ブリキの太鼓』
http://urx3.nu/Fp39

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『そうして私たちはプールに金魚を、』1分39秒
https://vimeo.com/170127382#t=99s

★ H — この辺の文字の使い方とか、"ドキドキクラブ"って知ってます?

☆ N — なんで知ってるんですか!? 僕も大好きなんですよ。僕、学生の頃、演劇を一回だけ旗あげして、"ドキドキクラブ"とチョットだけ一緒に演らせてもらったり。"劇団 ノーパン核家族" 第一回公演 『姪っ子の薬指』っていう題名でやりました(笑)。"ドキドキクラブ"、バレちゃったのビックリした、今!

【ナンダコーレ】ばばん D:ドキドキクラブ

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▶︎ chapter 2 | ポジティブこわい

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『そうして私たちはプールに金魚を、』2分31秒
https://vimeo.com/170127382#t=151s

☆ N — これは第一回目で白玖さんが解説していた、物語をドライブさせるキー・アイテムみたいなやつですね。

★ H — 次の展開への伏線になりますからね。

☆ N — そう。 あと、「意味深になる」っていうか。 意味深って、素敵だと思うんですよ。 こういうカットは、大島渚『日本春歌考』の参考にしたアングルも意味深さにつながっていると思います。みんなが後ろ向いてたりして画面にフルで入れないことで、ソワソワ感や不穏さを作り出すような。

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大島渚『日本春歌考』
http://urx3.nu/Fp3e

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『そうして私たちはプールに金魚を、』2分54秒
https://vimeo.com/170127382#t=174s

☆ N — こういう普通の映画だったら絶対入れないようなギミックも入れてったらいいかな、って。 こだわりを逆に捨てています。

★ H — この辺は石井聰亙『逆噴射家族』とか、僕らの世代からすれば、"宇川直宏"さんが作った"ボアダムス"の『VISION CREATION NEWSUN』のミュージック・クリップを思い起こします。

☆ N — あと、前衛的なアニメにもこういう、急に実写じゃない表現が入ったりしますよね。 アニメのテンポ感とか、飛び道具を使うのがすごい好きで。 何故かこういう、"アート・シアター・ギルド"っぽい映画だからこそ、実験的要素をいっぱい入れた方が面白いだろうな、って思いました。

★ H — しかも、"Googoleストリートビュー"をキャプチャーしてますよね。

☆ N — そうです。 ここに( "Google" Logoが )書いてます。 商業利用時にはロゴを切ったらダメって規約に書いてあったんで、入れたるわ、と(笑)。

★ H — それはそれで、現代性が出てますよね。

☆ N — 「そのまま素材使いましたよ感」が良いかな、って。

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『そうして私たちはプールに金魚を、』3分7秒
https://vimeo.com/170127382#t=187s

☆ N — 証明写真で仲良く写真を撮るっていうのが、ゴダール『男性・女性』の映画にあったんですよね。

★ H —ヴィンセント・ギャロ『バッファロー’66』にもありましたよね?

☆ N — 実は、観てなかったんですよ。 この映画のライティングをやらなきゃいけない時に、スタッフに「『バッファロー'66』みたいな感じですかね?」って言われて、慌てて観たら、「あぁ、これこれ!」って。 ちょうど思春期の頃に、みんなが観てたから、「ちょっと俺、オシャレとか違うんで」って、あえて通ってなかったんですよ。

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ジャン=リュック・ゴダール『男性・女性』
http://urx2.nu/G6AY

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▶︎ chapter 3 | ゾンビ

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『そうして私たちはプールに金魚を、』3分21秒
https://vimeo.com/170127382#t=201s

☆ N — 急にライブ感のある映像なんですけど、セリフをオフ(画面の外からの声)で録ってます。 オフなのにリアルっぽく録るっていう。

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『そうして私たちはプールに金魚を、』3分41秒
https://vimeo.com/170127382#t=221s

☆ N — そして、ここでリップ・シンク(画面の中の人物と声が同調)するっていうのが、リズムとして効いてると思ったんです。 ずっとリップしてると、多分観ていて忙しいんです。

★ H — これって、かつてのフィルム映画での主流のやり方ですよね?

☆ N — そうです。 昔の映画のオフのセリフってグッと来るじゃないですか? 人物とマイクの関係って、画と合わせることが今常識になってるけど、「そんな常識、誰が決めたんだ?」っていう感じで。『日本春歌考』でも、"伊丹十三"が歌うシーンがあるんですけど、全然音と映像が超絶に合ってないんですよ(笑)。でも、その歌声が何かアツいから良いんですよね。『溺れるナイフ』の山戸結希さんの映画を観てると、「外しはワザとやってるな」っていうことがあります。 勉強してるんだなあ、って。

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『そうして私たちはプールに金魚を、』3分49秒
https://vimeo.com/170127382#t=229s

これ実は、"ローランド・カーク"がサックスを何本も口に含んでるところから来てます。

★ H — え! まさか、そんなとこからの…?(笑)

☆ N — 誰も気付かないし、 誰のためでもないんですけど(笑)。演じている娘が、「何でこんなことやるんですか?」って訊いても、「いや、何も考えなくて良いよ!」って答えました。

★ H — ボーリング場という舞台設定も、『バッファロー’66』が好きなんかなぁ? って思ってたけど、観てなかったんですよね。

☆ N — そうですね。

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『そうして私たちはプールに金魚を、』4分6秒
https://vimeo.com/170127382#t=246s

☆ N — 「物はやっぱり、意味だ」って思ってるから、ちゃんと主役の女の子の数だけピンが4本並んでます。 それが倒されて、替わりがあたかもいるように、次の入れ替わり(のピンが)あるように。 それは誰も気づかなくても、意味が滲んでいくような感じを大事にしています。

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『そうして私たちはプールに金魚を、』4分15秒
https://vimeo.com/170127382#t=255s

☆ N — CMをやってたりすると、映像技術が心にもたらす影響っていうのをクライアントさんにプレゼンテーションしないといけないから、その技術について毎日考えさせられるんです。HS(ハイスピード)になったら心のスピードも変化するとか、そういうことを特訓としてさせられたので、映像技法を適切に散りばめられることができたのかな、と思いました。

★ H — テンポの良いカット繋ぎの後に急にHSが来たら、グワ〜って映像が頭に入ってくるんですよね。

☆ N — ここの「BORN to be ZOMBIE」みたいなキー・コピーは、最初にセリフを書くので、それに合わせたカット割りにしています。

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『そうして私たちはプールに金魚を、』5分12秒
https://vimeo.com/170127382#t=312s

☆ N — このヒキ長回しも『日本春歌考』の影響ですね。最初の「雪のグラウンドをダラダラみんなで歩いている」シーン。 スッゲー遠いんですよね。 「何でそんなに遠くするんだ」っていうぐらい(笑)。

★ H — 結構、長かったですよね?

☆ N — 4分ぐらいずっと長回してるシーンです。 こういうグッとくることは、習ってやろうと思って。ロケハンの時はここで、工事のパイプがいっぱい積んであって、もっと良かったですけどね。 無くなっちゃった。やっぱり、遠景がもたらしてる意味っていうのは、この町が何処なのかっていう…。

★ H — 空間性が出ますね。

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『そうして私たちはプールに金魚を、』6分14秒
https://vimeo.com/170127382#t=374s

☆ N — "ヒキ"のあとは、"ヨリ"を使った方が良いという…このアングルも『日本春歌考』の影響ですね。

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『そうして私たちはプールに金魚を、』6分35秒
https://vimeo.com/170127382#t=395s

ダニー・ボイル『トレインスポッティング』の「遠くから犬を狙っている」シーンのイメージで、出会い系男をスマホのカメラで狙ってます。「退屈さ」の表現として、こういう狙撃する"イタズラ"っていうのは面白いですよね。このシーンのカメラはGoProです。

★ H — いいっすね〜、この「つまんない」。

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ダニー・ボイル『トレインスポッティング』
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▶︎ chapter 4 | THE ありふれてる

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『そうして私たちはプールに金魚を、』7分15秒
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★ H — ここは黒沢清『アカルイミライ』のオダジョーがしきりに自宅の水槽を覗くシーンですか?

☆ N — あぁ、好きですけどね。 あんまり意識してなかったけど、確かに。

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『そうして私たちはプールに金魚を、』7分18秒
https://vimeo.com/170127382#t=438s

☆ N — このテロップの元ネタは、『愛なんていらねぇよ、夏』。 "渡部篤郎"が出てた、ドラマです。 『愛なんていらねぇよ、夏』っていうフレーズ、超良いなって。 「"夏"そこに入れる?」みたいな。 恐れ多くも、やらせてもらっております。「この映画のテーマは何なのか」っていうのを明快に、文学的じゃなく、分かりやすく設定した方が良いと思ったんで、テロップに語らせてます。

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『そうして私たちはプールに金魚を、』7分51秒
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★ H — 長久監督が重要なテーマであるとずっと言ってきている、音。 これは何の音からの影響ですか?

☆ N — ヤン・シュヴァンクマイエルですね。

★ H — なるほど! 何か咀嚼音が"ニチャニチャ"いってると思ったら…。 僕、デヴィッド・リンチ『イレイザーヘッド』かなぁと思ったんですけど?

☆ N — 『イレイザーヘッド』はそんなに好きじゃないですね〜。シュヴァンクマイエルの、過剰に現実世界よりも激しく音を鳴らす、あのアナログ感がすごい好きで。

★ H — シアターで聞いても、かなりヤバかったですよ!

☆ N — 不快なぐらい(笑)。でも、何かを過剰にしたら、読み取りは観ている皆さまがやって貰えるので。 作り手の意図が分からなくても、「何か意図あるな」っていうだけで、面白いじゃないですか? あと、この映画では「四角い箱」が象徴する閉塞感を大事にしていて。 このシーンでもテレビ、中心に四角い長方形のものがあって、閉鎖的に感じるっていう。 ラザニアもそうだし、最初のテレビの画面もそうだし、終盤のプールも四角で、みたいな。 枠みたいなものを裏テーマにしています。

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『ヤン・シュヴァンクマイエル 短編集』
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『そうして私たちはプールに金魚を、』9分13秒
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☆ N — ここでそろそろ一発、"目線"挟んどかないと、「あっこの映画メタものだったな」って思わないのかなと。 お笑いで、滑る、滑らないのギリギリのラインってあるじゃないですか? ここでは目合わせて言っとかないと、ただのセリフだと本気感が出て寒いかもって。

★ H — そういう効果があるのか!

☆ N — あと、「THE ありふれてる」はもちろん「THE アルフィー」(笑)。

★ H — ハハハハ!

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『そうして私たちはプールに金魚を、』9分24秒
https://vimeo.com/170127382#t=564s

☆ N — クソダサい兄の動画配信シーンが、急に入ってきます。ポイントは、これ全部アドリブじゃないんです。 一言一句、全部正しく言ってもらってて。「僕は、僕らは」っていうセリフが、すごいポイントなんですけど。 それをちゃんと言い換えることの意味は、無意識なセリフだとしても、きっとあるんじゃないかな、って思うんです。セリフの参考で言うと、"チェルフィッチュ"っていう演劇が好きで、口語体ぶり過ぎて、変な言い回しになったりすること自体が重要に感じさせられるような人たちなんですけど。 ダラダラいっぱいしゃべってても、何か意味が見え隠れするところとか、すごく影響受けてますね。

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『そうして私たちはプールに金魚を、』10分22秒
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☆ N — これ外国でめちゃウケるっていう。 やっぱ、オチ好きなんだなぁ〜(笑)。

★ H — 戸を閉めるのは、一区切りって要素でもありますよね? 歌舞伎のところでの拍子木的な。

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▶︎ chapter 5 | 恋とソフトクリーム

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『そうして私たちはプールに金魚を、』11分24秒
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☆ N —この構図、あえて足で切れるっていう。あとちょっとでフルで入るのに。

★ H — 「気づくなよ〜!」もいいですよね(笑)。

☆ N — 先生役の山中崇さんは軽薄そうに見えるところが本当に素晴らしくて…。 軽薄は優しさだとも思うんで、すごい好きなんですよね。 ここら辺も、かなり本質ついたことを言われてるわけですよね。でも、彼女はこんな先生が好きっていう。 何か青春ってそういうもんかな、っていう。

★ H — あと、ここの音、ヒキとヨリで音響変えてるじゃないですか? 環境音とセリフ。 いい効果出てるなぁ…と。

☆ N — やっぱ音なんですよね。 圧迫感、密室感と、解放感の調整で、ドキドキするから。このシーンに音付けないと、全然ドキドキは生まれないですよ。

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『そうして私たちはプールに金魚を、』12分32秒
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☆ N — ここで注目して欲しいのが、画面の中の黒の質感。黒を絞めるレベルで、人のトキメキを左右できると思うんです。

★ H — ということは、カラーグレーティングって結構、注文出したんですか?

☆ N — そうですね。 「現代的なカラーを感じさせつつも、昔の日本映画の黒絞め気味でやってた、なんか殺伐とした感じがいいから、そこを調合して合わせてほしい」っていうオーダーをしました。「髪のディティールを出すよりも、瞳の表情が見えない方が神秘的で良いんじゃないか」って。

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▶︎ chapter 6 | 未 来

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『そうして私たちはプールに金魚を、』13分27秒
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★ H — これは『バッファロー'66』の、タップ・ダンスのシーンを思い出したんですが、ここの「未来の自分たちと遭遇する」発想って、どっから出たんですか?

☆ N — いや〜自然に脳内から出てきちゃったんですよ…想像っ子なんで(笑)。とにかくこの4人の決めポーズがやりたくて。「ハイポーズ、はい、決まった」っていう、セリフのリズム感込みで。三木 聡さんのコントのテンポ感ですかね。

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『そうして私たちはプールに金魚を、』14分40秒
https://vimeo.com/170127382#t=880s

☆ N — (セリフ「ダンジョンバカ野郎」) これ、「ダンカンバカ野郎」です(笑)。

★ H — ハハハハ!(爆笑)

☆ N — 気付かれなくても良いんです(笑)。

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『そうして私たちはプールに金魚を、』15分4秒
https://vimeo.com/170127382#t=904s

★ H — この空撮シーンはどうやって撮ったんですか?

☆ N — ロケハンでiPhoneでテストしたら良かったから、本番もそれで撮りました。 スタッフが映っちゃうから、この娘たちだけにして、iPhone投げさすしかないと。1台割れましたけど…。

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▶︎ chapter 7 | 祭

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『そうして私たちはプールに金魚を、』15分18秒
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☆ N —この夕日のシーンなんですけど、川島雄三『しとやかな獣』、観ました?

★ H — 以前のインタビューで長久さんが影響を受けたとおっしゃっていたので、観なおしました。 団地が舞台で、そこにギコチナイ家族が住んでいて、登場人物が誰一人として本心を言わない密室劇みたいな。夕暮れ時に「お蕎麦が出来ましたよ」ってお母さんが蕎麦を出して、お母さん、お父さん、お姉ちゃんと弟の4人でその蕎麦を食うんですけど、テレビから音楽番組が流れて…。

★ N — で、突如、拍子木が鳴って、ゴーゴー不条理ダンスを姉弟で踊り出す…!!!!!

★ H — Youtubeで探しても出てくるので、今日引用した映画の中でもこのシーンだけはとにかく観てほしいですね(笑)。映画史に残るキラー・シーンです。それを長久監督が解釈したら"こう"なるんですね。

☆ N — この人たちも、何かを抱えていて、放出来てない人たちで。やっぱ、世界中の人たちって、祭りに意味もなく血わき踊りたくなる気持ちってあるんですよね。 それは理屈じゃないから。

★ H — この夕日のシーンを、唐突に挟んだ理由って何なんですか?

☆ N — ここから事件が転がっていくからですかね。 狂気的なモノのスタートの合図として、「こっからアクションが始まる」っていう。起承転結、嫌いですけど、"転"の始まりとして。

★ H — 本作を俯瞰して眺めてみたら、[ カラオケ → ボーリング → 出会い系 → 町の様子 → 家族の風景 → 学校 → スーパー → 夕日 → 夏祭り ]で、これからプールに向かう。 プールに向かうまでが本当に、何てことのない日常の連続なのに、映像的にはものすごい情報量ですよね?

☆ N — 確かに。 ただの日常なんですけどね。

★ H — あれ? 何処にも行ってない! みたいな(笑)。犯行現場のプールに行くっていっても、そこも結局、やっぱり学校ですもんね?

☆ N — 実はこの映画を創る大きい動機が、『青春の殺人者』っていう長谷川和彦さんの映画で。主人公の"水谷 豊"がお母さんを殺そうと思う時のきっかけの演出として、「カタツムリをズームしていく」んですよね。 「殺人みたいなすごい動機が明記されるべきことも、きっかけは言葉に出来ないことなんじゃないか」とか、"魔が差す"みたいなことって実際にあって、人の心や行動は説明が出来ないと思うんです。 こういうことは誰しも起きうるし、どんな日常でも起きるし。金魚の事件は題材がカワイイからコミカルに描けた。 でも、一歩間違えれば殺人とかにもつながったんじゃないかなあと。

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川島雄三『しとやかな獣』
http://urx3.nu/Fp42

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長谷川和彦『青春の殺人者』
http://urx3.nu/Fp4d

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『そうして私たちはプールに金魚を、』15分55秒
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★ H — このモスキート音も、音による演出効果が炸裂してますね。

☆ N — で、しゃべっているセリフもモスキート音みたいに流されるっていうね。

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『そうして私たちはプールに金魚を、』16分30秒
https://vimeo.com/170127382#t=990s

★ H — 逆さのカットといえば、大林宣彦『ハウス』で、女の子が左右の目を交互に開け閉じするシーンがあって、人間の左右の目の位置は違うので、その女の子の主観のカメラ・アングルの視点も伴って、微妙にズレるっていうギミックがありましたよね?

☆ N — あったあった。 海外で賞獲った時に、『ハウス』っぽいって言われて、スッゲ〜嬉しかったです。こだわりを捨てて、エモーショナルなものを自由に表現してるモノがすごく好きなので。

★ H — 全体の色みの感じも、『ハウス』っぽさがあるかもしれないですね?

☆ N — そうですね。 夕日の色みを書き割りっぽく出してるとことか。 本当に書き割りでやりたかったんですけど、書き割りの方が高く付いちゃう(笑)。

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『そうして私たちはプールに金魚を、』16分58秒
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☆ N — これもね、『しとやかな獣』で、意味深にカメラで寄っているっていうのがあって。

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『そうして私たちはプールに金魚を、』17分43秒
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☆ N — みんなね、演技がチョイ下手でカワイイんですよね。 ファックのポーズも、海外でウケました。花火をするシーン、絵的にはリチャード・アイオアディ『サブマリン』です。 「良いなぁ」と思って、やっちゃいましたね。

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リチャード・アイオアディ『サブマリン』
http://urx3.nu/Fp4q

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『そうして私たちはプールに金魚を、』18分3秒
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☆ N — これホントは使うつもりじゃなくて、うちの実家で、「この娘たち仲良くさせなくちゃ」って、合宿させて。 「撮り合って」って言って、撮れた素材が良かったんで使いました。

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『そうして私たちはプールに金魚を、』18分16秒
https://vimeo.com/170127382#t=1096s

☆ N — この群衆の残像はギミックの意味として、"孤独"であるという。

★ H — 影響は受けていないとは思うんですけでど、ヒッチコック『間違えられた男』で殺人犯に間違えられた男がいて。 その男と真犯人の顔面がフェードかかりながら、同ポジで重なって、次の展開に行くっていうカットがあって、それを思い出しました。

☆ N — 同ポジでフェードで重なるの、「ダサい」と思ってたんですけど、 “ヒッチコック“やってるんだったらよかった! 分かりやす過ぎるかな、でも、もう良いよ良いよ、ってノリで撮りました。ちなみにこの後ろの屋台、本物です。 美術で作るお金がなかったんで、テキヤさんを本当に呼んで。

★ H — じゃあ、本当の祭り?

☆ N — "祭り"、作りました。

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『そうして私たちはプールに金魚を、』19分20秒
https://vimeo.com/170127382#t=1160s

☆ N — ミヒャエル・ハネケ『ファニーゲーム』、すごい好きでなんですけど、急にカメラ目線でウィンクしたりして、観る側が「ドキッ」とするっていうシーンがありますよね。 「お前も共犯だよ」、お前も映画に含まれてるんだよ」っていう意味が発生するような演出がしたかったんです。

★ H — 寺山修司の『書を捨てよ町へ出よう』もそういうことですよね。 劇場の「鑑賞者側と、舞台側との境界線を取っ払ってみたら、どうなる?」的な。

☆ N — あの気持ちすごい大事で。 今の映画のほとんどは"安全な場所に居る"感じがするので、そこを壊したかったですね。

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ミヒャエル・ハネケ『ファニーゲーム』
http://urx3.nu/Fp4z

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▶︎ chapter 8 | (I can’t)LIVE in 狭山

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『そうして私たちはプールに金魚を、』19分37秒
https://vimeo.com/170127382#t=1177s

☆ N — これもダジャレですね。 ダジャレ好きなんですよね。 こういう文字を急に改めて入れる感じは、カンパニー松尾さんらハマジムによる『劇場版 テレクラキャノンボール 2013』。ドキュメンタリーですけど、文字で急にパッと。 ダサいフォントで字詰めとかしてないことの方が、これを伝えたいって気持ちがオーガニックに出る感じがするんです。

★ H — (ライブのMCのシーン)ヤバいこと言うんですよねぇ…。 僕もこういう気持ちあったんですよね、地元に。

☆ N — 僕の会社に思う気持ちです(笑)。

★ H — そうなんすね!

☆ N — 全然ストーリー上、この人の愛人のこととか関係ないですからね(笑)。でも、「登場人物、みんなにみんな人生がある」っていうのが大事かなって思ったりなんかして。あと、画面を大きくするのは、製作途中で観た『バッファロー’66』の手法です。 「なにそのダッセーやり方、いいじゃん!」って思って。 撮ってみたら素材が保たなかったのもあって、「やっちまうか」って。

★ H — だって、ライブMCのワン・カットですもんね?

☆ N — うん。

★ H — 『バッファロー’66』でも、過去のエピソードの回想が突如、画面の中央から出てきて、同じようにじんわり拡大されていきますよね。

☆ N — 何で観てなかったんだろうって思いました(笑)。映像は、自由だと思います。

★ H — 『プー金』を観て自由を感じた人が、未来の映像作家がたくさんいるはずですよ!

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カンパニー松尾『劇場版 テレクラキャノンボール 2013』
http://urx3.nu/Fp4P

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▶︎ chapter 9 | 金魚すくい

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『そうして私たちはプールに金魚を、』20分54秒
https://vimeo.com/170127382#t=1254s

☆ N —岩井俊二『リリイシュシュのすべて』の夜の少年たちのシーンとか、塩田明彦『害虫』の壊れていく感じとか、大好きで、ラストに向けてそれを持ってきています。

★ H — "ナンバー・ガールの『I don’t know』"! いよいよ、クライマックスですね!?

★ N — わかりやすい導入はあった方がいいなって思いまして。

★ H — 事件を起こす、前触れをね…。

☆ N — 「映画の最後は、走るべき」って習うじゃないですか(笑)。でも、撮る前まで「ホントに肉体的に必要かな?」って思ってたんですが…。

★ H — けど、走らすとマジで伝わるんですよね。

☆ N — やっぱり馬鹿に出来ない技法でした。

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岩井俊二『リリイシュシュのすべて』
http://urx2.nu/G6BH

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塩田明彦『害虫』
http://urx3.nu/Fp5R

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『そうして私たちはプールに金魚を、』21分35秒
https://vimeo.com/170127382#t=1295s

☆ N — ここの早回しの意味は、「犯行理由はこれまでに起きたすべてです」っていうことで、全シーンを入れてます。 意味を語ると野暮ですけど。ゴダール『ゴダール・ソシアリスム』の予告編で、全編を早回しさせて創ってるのがめっちゃ好きで。

★ H — 「本編より予告の方が面白かった」という怪作(笑)。

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ジャン=リュック・ゴダール『ゴダール・ソシアリスム』
http://urx3.nu/Fp61

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『そうして私たちはプールに金魚を、』21分54秒
https://vimeo.com/170127382#t=1314s

☆ N — ここはある種のコントですね。

★ H — まさかこんなオチが来るなんて、夢にも思わなかった…というか(笑)。

☆ N — みんなあらすじだけ聞くと、"蜷川実花"みたいな鮮やかな金魚がプールで泳いでるシーンを想像してたと思うんです。でも、「黒でいく」っていう。 基本的に、お笑い好きなんですよ。

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『そうして私たちはプールに金魚を、』22分26秒
https://vimeo.com/170127382#t=1346s

★ H — このエンディングのセリフがホント良い。 セリフではすごい悲しいこと言ってるのに、後ろではめちゃめちゃ青春してるっていう対比も。 これをラストに持ってこられて、泣きそうになったんです。「うわぁ…、俺らも地元でこんなことしていて楽しかったけど、オレはこの町、いつか絶対出てやるって思ったし!」みたいな。 詩人っすよね。 「結局…結局…結局…結局……」って。「"谷川俊太郎"か!」っていう(笑)。

☆ N — 元々自分がプロのサックス奏者になりたかったり、バンドがやりたかったってのが尾を引いてると思うんですよ。でも、楽器下手だし、歌も歌えなくて、たどり着いたのが映画だったんで、そうなっちゃうのかもしれない。

★ H — 映画は、言葉も音楽も、全部込められますもんね。

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『そうして私たちはプールに金魚を、』24分2秒
https://vimeo.com/170127382#t=1442s

☆ H — で、また冒頭の(カラオケの)箱の中に…結局、出られなかったと。

★ N — "意味深"がやっぱり大事かな、って思いますね。 「同じシーンでも最初と最後で意味が違って観える」っていうのは。

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『そうして私たちはプールに金魚を、』24分27秒
https://vimeo.com/170127382#t=1467s

☆ H — この最後の涙の意味は?

★ N — これね、意味ないんですよ。 理由は「分からない」、かな。 事件を起こした理由と一緒で、本能的なものかもしれないし…。 現にこのカラオケのシーンは、ホントは事件の前だったりするし。でもその「分からない」こそがこの映画のテーマでもあると思っています。

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『そうして私たちはプールに金魚を、』24分53秒
https://vimeo.com/170127382#t=1493s

☆ H — で、ここでドアが閉じられて、「完」。

★ N —「結局、出れない」っていう。カメラを回してる人が急に出てきて、扉を閉める行為をしちゃってるんで、ちょっと越権してるんですよ。 作用させちゃってる。 でもメタ感に溢れた映画なので、最後だけはOKにしてます。意味を”どんだけ"散りばめてますけど、正解はないんで。 ベースはすごい分かり易いモノを設定していて、それぞれで何処かのセリフや演出に引っ掛かって貰ったらそれで良いんです。「モスキート音が良かった」とか、「祭りが良かった」とか。 プレゼントを、たくさん置いています。

☆ H — 視覚的にも、聴覚的にも、あとエンタメ的にも、ホントすごい滅茶苦茶、面白かったです。

★ N — 撮ってて滅茶苦茶、楽しかったですね。

☆ H — こんな脚本を、「悩まずにサラッと書きました」とおっしゃってたんで、"こりゃ、敵わんな"、と(笑)。

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『そうして私たちはプールに金魚を、』25分2秒
https://vimeo.com/170127382#t=1502s

★ N — エンドロールも心に働きかけると思っているので、捨ててません。豊田利晃さんの映画とか、黒バックだったのが急に白バックになって、眩しくてエンドロールで泣いたりしますから(笑)。こっちは青地に赤で、フォントも昭和の頃の雑誌のフォントを使いました。 写植で打ってます。 古めのフォントで創られてるので、じっくり観ると細かい滲みがあったりして、そういうのが実は心にグッとくるんですよ。 パソコンにないフォントで創るって良いですよ。

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豊田利晃『空中庭園』
http://urx3.nu/Fp68


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☆ H — 大充実のコメンタリー、ありがとうございました! 後編では『プー金』のことや長久監督のことをオムニバス形式で伺っていきますので、お楽しみに。


・#02_ Screening List・

 伊丹十三『タンポポ』(1985)
 庵野秀明『ラブ&ポップ』(1998)
 フォルカー・シュレンドルフ『ブリキの太鼓』(1979)
 大島 渚『日本春歌考』(1967)
 ジャン=リュック・ゴダール『男性・女性』(1966)
 ダニー・ボイル『トレインスポッティング』(1996)
 ヤン・シュヴァンクマイエル『フード』(1992)
 川島雄三『しとやかな獣』(1962)
 長谷川和彦『青春の殺人者』(1976)
 リチャード・アヨエイド『サブマリン』(2010)
 ミヒャエル・ハネケ『ファニーゲーム』(1997)
 カンパニー松尾『テレクラキャノンボール』(1994)
 岩井俊二『リリイシュシュのすべて』(2001)
 塩田明彦『害虫』(2002)
 ジャン=リュック・ゴダール『ゴダール・ソシアリスム』(2010)
 豊田利晃『空中庭園』(2005)

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OTAMIRAMS( オタミラムズ )
白玖ヨしひろと平岡佐知⌘Bからなるクリエイティブ・チーム。
映像作品では、短編アニメーション作品が「ロッテルダム国際映画祭 2010」、「香港国際映画祭 2010」などの国際映画祭にて招待上映を果たす。
また、平井 堅『ON AIR』、水曜日のカンパネラ『桃太郎』のMVなどを手掛ける。
http://otamirams.com/
長久 允( ナガヒサ マコト )
1984年8月2日生まれ、東京都出身。バンタンデザイン研究所卒業後、大手広告代理店にて、CMプランナー/ディレクターとして活躍中。主な仕事はNTTdocomo「ドコモダケ」シリーズ、モンスト「戸愚呂(姉)」、TMRevolution「株式會社 突風」など。映像・映画の監督作品は、バンタン卒業制作の長編映画「FROG」(2009年)、NATURE DANGER GANG「MUSCLE STEP」ほか。短編映画『そうして私たちはプールに金魚を、』が、『第33回サンダンス映画祭』ショートフィルム部門のグランプリを受賞。

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