次世代液晶ディスプレイの世界

急速に進化する液晶ディスプレイ

高精細4Kモニターが当たり前の存在になる一方で、スマホやタブレットのように液晶画面をユーザーインターフェイスとする機器が増えている。そうなると必然的にプロフェッショナルの間でも、液晶ディスプレイに対する新しいニーズが生まれるはずだ。この特集では次世代の液晶製品を取り上げ、今後のテクノロジーのトレンドを探っていく。

高精細化と入力デバイス化 液晶をめぐる2つのトレンド

img_special_display01_01.jpg EIZOの4Kモニター「ColorEdge CG318-4K」(左)  撮影:坂上俊彦 撮影協力:フォートン

液晶ディスプレイの世界はいま、大きな変化の時代を迎えている。4K対応のPCモニターがすでに各社から続々と発売されているが、プロの業務で使えるカラーマネジメント対応の4Kモニターがいよいよ登場、さらには4Kを超える5K解像度のモニターも登場した。2015年はさらにこの傾向に拍車がかかることだろう。

一方、スマートフォンやタブレットの普及によってタッチ操作が当たり前のものになり、液晶ディスプレイそのものが入力デバイスの一つとして捉えられるようになっている。ペンタブレットは急速に液晶ペンタブレットへと置き換わりつつあるし、Windows 8を搭載したタブレットPCは、タッチ入力に加えてペン入力にも対応する製品に注目が集まっている。

この特集では、4K・5Kの高精細化と、ペンタブレットやPCとの複合製品化の両面から、次世代液晶ディスプレイの世界を紹介していきたい。

モニター解像度による分類
img_special_display01_02.png 4K解像度には、3840×2160の「UHD 4K」と4096×2160の「DCI 4K」の2種類がある。4KはフルHDの4倍、5Kでは7倍の情報量になる。
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まず高精細化について詳しく見ていこう。一口に4Kモニターと言っても2種類の解像度がある。ほとんどの4K対応PCモニターでは、フルHDの縦横の画素数を2倍にした3840×2160ピクセルが主流だ。NECのカラーマネジメント対応4Kモニター「LCD-PA322UHD」もこれにあたる。

一方、DCI 4Kと呼ばれるのが4096×2160の解像度だ。これは、米国ハリウッドの映画業界団体が定めた4K規格で、各社のデジタルシネマカメラや放送業務用4Kモニターもこの解像度に準拠している。EIZOのカラーマネジメント対応4Kモニター「CG318-4K」は、このDCI 4Kに対応している。

ディスプレイの高精細化は、2010年に発売されたiPhone 4 のRetinaディスプレイに端を発するが、その後もアップルはMacBook ProやiPadの高精細化を進め、2014年にはiMacもRetina化した。この「iMac Retina 5Kディスプレイモデル」の解像度は5120×2880と4Kモニターを大きく上回っているが、Windows PCメーカーのDELLも、同じ解像度のモニター「UP2715K」を発売している。

モニター複合製品の分類
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液晶の複合製品にも注目の新製品が登場している。まずワコムからは、液晶ペンタブレットの最新モデル「Cintiq 27QHD」が2月に発売された。画面サイズは過去最大の27インチで、解像度は2560×1440。カラマネ機能も備えているので、プロの入力デバイスとして使えるだろう。

Windows 8 タブレットの分野では、Microsoftの「Surface Pro 3」が存在感を見せている。2160×1440の12インチ液晶を搭載し、Cintiqと同様の筆圧感知ペンにも対応し、Adobe Photoshopがそのまま動く新世代のモバイルPCである。これとよく似たコンセプトでVAIOが開発を進めているのが、2560×1704の12インチ液晶と筆圧感知ペンを備える「VAIO Prototype Tablet PC」である。先日「VAIO Z Canvas」として商品化との発表があり、発売は5月を予定している。

次回からは、Surface Pro 3をのぞく6つの液晶ディスプレイ製品を取り上げる。それぞれの特長を詳しく知ることで、次世代液晶ディスプレイによってプロの仕事はどう変わるのかが見えてくるだろう。


※この記事はコマーシャル・フォト2015年2月号から転載しています。

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