新Mac Pro実力検証

4K編集のためのモニター環境を考える

斎賀和彦

4Kモニターをめぐる状況はまだ発展途上にある

img_special_macpro05_09.png アップル純正のApple Thunderbolt Displayは27インチ、2,560×1,440ピクセル。

制作中のデータをドットバイドットの100%表示で確認するというのは、クリエイターにとって非常に重要なことだ。だが、横方向4,000ピクセルにもなる4Kデータを等倍で表示するのは容易ではない。実際問題として4K解像度をもつPC用ディスプレイは去年まで、ほぼ皆無に等しかった。現在ではいくつか選択肢が出てきているが、ここではMac Proに接続する場合のディスプレイ選びについて検討する。

Mac Proの映像出力インターフェイス
img_special_macpro05_10.png
インターフェイス 映像出力の解像度
DisplayPort 1.2 3,840×2,160・30p
HDMI 1.4 3.840×2,160・30p
4,096×2,160・24p
HDMI 2.0 4,096×2,160・60p
Mac Proに搭載されているThunderbolt 2はDisplayPort 1.2と互換性があり、3,840×2,160の4K出力が可能。それ以外にもHDMI 1.4を搭載しており、モニター側が対応していれば4,096×2,160・24pでも出力できる。HDMI 2.0の規格はまだ策定されたばかりで、市場に出回っている製品ではほとんど採用されていない。

まず注意すべきは接続端子の規格だ。現在、主流となっているDisplayPort(以下DP)とHDMI。前者はアップルではThunderbolt(以下TB)が内包し(物理的端子形状はミニDPと同じ)、TBはDPとしても使用可能。後者はTV、カメラ等AV機器が採用していることもあって応用範囲が広く、Mac Proも採用した。

こう書くとさほど複雑ではないが、問題はこの規格にはそれぞれバージョンがあって、対応解像度、フレームレート、色深度等に違いがあることだ。これは出力側(Mac)だけでなく、入力側(ディスプレイ)も関係する。また規格上だけでなく、機器側で制限をしていたりする場合もある。

その意味では、アップルが公式に動作を保証している4Kディスプレイは非常に少なく(註)、現状でMac Pro用ディスプレイを選ぶときは充分に注意したい。一方、今年後半、各社から4Kディスプレイ投入の動きもあり、4K映像編集のための環境整備は急速に整っていく兆しがみえる。

註:アップルが推奨している4Kモニターはシャープ PN-K321とASUS PQ321Qの2機種。詳しくは下記を参照。
「Mac コンピュータで 4K ディスプレイおよびテレビを使う」
http://support.apple.com/kb/HT6008?viewlocale=ja_JP

ただ、やや残念なことだが、テレビ用パネルとの関係で、DCI 4K(4,096×2,160)ではなく、QFHD(3,840×2160)が主流になりそうだ。その意味では普及の進む民生用4Kテレビを使う方法もある。テレビはおしなべてQFHDだし、カラーキャリブレーションも難しいが、そこを割り切ればコストパフォーマンスは高い。

ピクセル数が多い=大画面という意味ではないが、27インチのディスプレイやiMacが2,560×1,440であることから分かるように、4Kは必然的に大きな画面になる。だが、さすがにデスクトップに40インチ近いディスプレイを置くことは難しい。

このような背景からか、30インチ以下の4Kディスプレイも多い。Retinaに代表される高精細化技術によって小型高解像度なディスプレイが登場しているが、そこにも注意が必要だ。

4Kでは写真やムービーそのものは高精細に見えるが、テキスト等は「小さく」みえる。Final Cut にせよPremiereにせよ、ショートカットのみで使うならともかく、インターフェイス上のボタンを押す操作は難しい。メニュー文字も非常に小さく、マウスポインタ(カーソル)を見失うこともしばしばだ。4Kインターフェイス時代に合わせて、アプリあるいはOSが文字やアイコンを大きく表示する切換機能の実装を期待したいところ。

このような様々な状況を踏まえて判断すると、現在の現実解としては、24~27インチクラスのキャリブレーションされたPCディスプレイをワーク用画面として使い、民生用の4Kテレビを映像用のセカンダリ画面として使うのが、バランスの良い構成かと考えている。

現実的なMac Proのモニター環境

手頃な値段の4Kモニターが出揃っていない現状では、当面の間、編集作業は通常のPCモニターで行ない、4K映像のプレビューは家庭用の4Kテレビで行なうのが現実的だと考えられる。PCモニターとの接続はDisplayPort、家庭用4Kテレビとの接続はHDMI。

img_special_macpro05_13.png
PCモニター(27型の場合 2,560×1,440)
img_special_macpro05_14.png
家庭用4Kテレビ(3,840×2,160)
img_special_macpro05_15.png

4K対応のキャリブレーションモニター

最後に、4K対応のキャリブレーションモニターについて、2機種ほど紹介しておこう。この2機種は実際にMac Proと接続して4K表示が可能であることを確認している(ColorEdge CG277はリアル4Kではなく簡易4K表示だが)。

NECディスプレイ LCD - EA244UHD - BK
img_special_macpro05_11.png

2月7日に発表された24型4Kディスプレイ。解像度3,840×2,160の広視野角IPSパネルを採用し、ハードウェアキャリブレーションやムラ補正にも対応。入力端子はDisplayPort1.2、HDMI1.4など6系統を備える。試作モデルとMac Proを接続してみたところ、まったく問題なく4K解像度で表示できた。リーズナブルな価格帯で購入できる本格的な4Kモニターとして期待したい。5月30日発売予定で、店頭予想価格は約30万円。

EIZO ColorEdge CG277
img_special_macpro05_12.png
img_special_macpro05_05.jpg Mac Proのディスプレイ環境設定

今回のMac Proの検証において、メインで使ったディスプレイがEIZOのCG277。キャリブレーションセンサーを内蔵する同社のグラフィックスモニターの最上位機で、写真、デザイン用途はむろん、REC709やDCIカラー設定を持ち、2,560×1,440モニターながら簡易4K表示(4K解像度の信号を縮小表示)できる、まさに4K編集時代のディスプレイ。ただし初期状態ではMac Proから簡易4K表示ができない。システム環境設定から2,560×1,440以上の設定が選べないのだ。これを回避するにはシステム環境設定で、ディスプレイの解像度を、「オプションキーを押したまま」「最適→変更」に切り替える。これによって3,840×2,160設定が選べるようになる。


※この記事はコマーシャル・フォト2014年4月号 特集「新Mac Pro 実力検証」を転載しています。

斎賀和彦 Kazuhiko Saika

CM企画/演出時代にノンリニア編集勃興期を迎える。現在は駿河台大学メディア情報学部、デジタルハリウッド大学院等で理論と実践の両面から映像を教えながら、写真、映像作品を制作。
ブログ http://mono-logue.air-nifty.com/
ツイッターアカウント http://twitter.com/SAIKA

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