ネットで話題の新映像表現

ギガピクセルイメージ

文:染瀬直人

超高解像度・マルチレゾリューションで高精細拡大

こんな用途に:建造物や町並みなどの紹介写真/絵画、壁画などの学術的アーカイブ
使用機材:Nikon D5100(スチル撮影)/GigaPan EPIC Pro
ソフトウェア:Autopano giga

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ライトアップされた冬の白川郷の夜景。画像はマルチレゾリューション構造になっていて、下のボタンで拡大していっても、写真は高解像度のまま。遠景で見える家を拡大していくと、道を歩く観光客の姿や合掌造りの家屋の様子がよくわかる。(nippon.comの撮影より)

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海外に向けて日本の文化、論説などを発信する多言語情報サイトnippon.com。同サイトのために日本の原風景の面影を残す白川郷の集落を撮影。超高解像度写真(ギガピクセルイメージ)と、360°パノラマで表現している。
www.nippon.com/ja/images/k00007/

デジタル写真の世界は、基本的に銀塩写真がその170年あまりの歴史の中で築き、到達した高い品質を手本に進歩してきた。しかし、その一方でデジタルでなければ成し得ない表現や、クオリティーも生まれている。そのひとつがギガピクセルイメージである。ギガピクセルイメージは、望遠レンズでクローズアップ画像を数百枚、数千枚と撮影し、それを1枚のパノラマ写真にステッチしたもの。ワンショットの画像では、いくらデジタルカメラの解像度が上がったと言っても、拡大していけばやがてモザイク(ピクセル)になってしまうが、複数の画像を繋ぎ合わせて作った1ギガピクセル(10億画素)を越えるようなイメージであれば、ズームして細部のディテールまで鮮明に見せることができる。まるで、望遠鏡で覗いているかのように。

超高解像度になるに伴い当然データ量は重くなるが、マルチレゾリューション(マルチレイヤー)という、タイル化した画像を必要なサイズに応じて読み込む方式によって、インターネットでもストレスの少ないプレビューが可能だ。

全体像と細部のディテールを共存させることが可能なため、ランドスケープはもとより、遺跡のアーカイブ、美術、建築、エンターテインメントなど、デジタル写真ならではの特性が活きるジャンルとして注目されている。オリンピックや野球のスタジアムなどで撮影すれば、競技している選手のユニフォームや、観客の表情までが遠景からはっきりと拡大できるし、絵画作品や壁画などの複写でも、全体から細部のタッチまで鮮明に記録できる。

あまりに高画素になればマシンへの負担もかかりハンドリングしにくくなるが、私が先日、来日中に会った世界有数のパノラマ投稿サイト「360cities」の創立者Jeffrey Martinは、2010年9月の時点で世界最大の800億ピクセルのイメージをロンドンの高所から撮影している。

特殊雲台で分割撮影した写真を1枚の写真に統合

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分割撮影した数百枚から時には数千枚の画像を、専用アプリケーションで1枚の写真へとステッチ、ブレンドしていく。アプリケーションはいくつかあるが、ここでは仏kolor社のAutopano gigaを使用。パソコンのCPU能力やメモリを必要とするので、MacProでも処理には相当な時間を要する。

img_tech_netmovie02_08.jpg 雪の中での長時間に及ぶ分割撮影。ロボット雲台に撮影したい画角を指定すると、行と列で何枚ずつ、合計で何カットの写真を撮るか、またその所要時間を計算してくれる。掲載したシーンの撮影所要時間は1風景で30分ほど。空模様など撮影環境が変化すると辻褄が合わなくなる恐れもあるので、カメラを安定させつつ素早く撮影していく。
img_tech_netmovie02_09.jpg ギガピクセルイメージを撮影するには、望遠レンズをつけたカメラを正確に移動させていかなくてはならないのでロボット雲台が必須。ロボット雲台にはClauss、VRDrive2、Papywizardなどがあるが、私はNASAとGoogleと米カネーナーギーメロン大学が共同で開発したGigaPanのEPIC Proを使用している。

染瀬直人 Naoto Somese

日本大学芸術学部写真学科卒業。ハナエモリ・インターナショナルTHE STUDIO(流行通信)を経て、フリーランスに。コマーシャル、ポートレート撮影など幅広いジャンルで活躍。近年では、日本の情報・文化を海外に多言語で発信するウェブサイト nippon.comなどで360°パノラマVRやTime Lapsなどを発表。新時代の新しい映像表現に取り組んでいる。プロフェッショナルデジタルフォトを学ぶためのユーザー自身による勉強会「電塾」の運営委員を務めている。
naotosomese.com

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