Panasonic GH4 4Kムービーテスト

動き出したパナソニックの4Kフォーメーション

text:石川幸宏(映像ジャーナリスト)

img_special_panasonic03_01.jpg 以前よりコンパクトになったNABのパナソニックブースは4日間とも大勢の観客に囲まれていた。やはりシネマ放送向けの展示会であるため、新発表でワーキングモデルの展示あった、VARICAM 35/HSに大きな注目が集まった。

GH4がこのタイミングで出た訳

img_special_panasonic03_02.png 本体となるカメラ部のDMC-GH4と別売で、10bit 4:2:2のQuad Link 4K出力に対応する、拡張インターフェイスユニット(AG-YAGHG)を同梱したモデル、AG-GH4Uもプロショップ等で販売している。

今年に入ってパナソニックのムービーカメラ周辺の動きが慌ただしい。昨年来から噂されていた同社の4Kムービー撮影可能な最新デジタル一眼レフ機、LUMIX DMC-GH4(以下、GH4)が、2月に正式発表、直後の展示会『CP+』(於:パシフィコ横浜)で初の一般公開、3月には4月24日からの販売開始を発表、そして発売後の4月末の時点ですでに出荷とともに予想以上の注文が殺到し、生産が追いつかないといった状況にもなった。それだけユーザーの期待値が伺われるカメラだ。

GH4の製品ラインナップであるGHシリーズは、元来、主に個人のホビーユーザーをメインターゲットとして開発されてきた製品だが、GH3からかなり明確に業務系等のプロユーザーにもターゲットを定めている。その中で、4Kが騒がれてはいるものの、なかなか手が出せる状況になかったハイエンド指向のユーザーに、いち早く手軽に4Kムービー撮影が実践できるという意味では、そのピッタリなサイズ感が受けている。

GH4の人気の理由は、現状における撮影者のニーズにすべからく応えたパッケージであることが要因だろう。20万円を切る価格帯(実勢価格でボディのみ18万円前後)で、4096×2160のシネマ4KモードとなるC4K(24pのみ)と、3840×2160のUHD(23.98p、24p、25p、29.97p)の全5種の4Kムービー撮影が可能でしかもカメラ内収録。そしてHS機能も96fps(24pで約4倍速)まで対応、もちろん静止画撮影もできる。いわば現状におけるオールインワンカメラなのだ。

そもそも4K動画の需要は、まだ業務放送系ではシステム的な面において実験段階であり、本格導入が難しい時期。4Kのトライ&エラーを試すには絶好の機種だと言える。GH4はまさに今の“4K制作の黎明期”に相応しいカメラだ。

時代の潮流を作ってきたパナソニックの映像技術

これまでのパナソニックの動きの中で特徴的だと思われるのは、現在、同社のビデオカメララインナップでは、民生用、プロ業務用を通じてまだ1台も4Kムービー撮影のできるカメラがない。その中で、今回、初めてその4Kムービー撮影機能を搭載したのが、他でもないミラーレス一眼のGH4だったことだろう。

一般市場でも、キヤノンがCINEMA EOS SYSTEMの中で唯一デジタル一眼スタイルの4Kカメラ「EOS-1D C」を先行で出してはいるが、35mmフルサイズセンサー搭載の高画質ながらも100万円超の高価なモデルであり、しかもCFカードもハイスペックなスピードを要求される。これでは高画質は理解できても、プロでもなかなか手が出せないカメラであることは事実だ。

それに比べてGH4は、ミラーレス一眼というコンパクトさに加えて、今回、4K撮影における最も高いハードルとされるカメラ内の熱処理技術をクリアし、さらに元々のGH3に搭載されていたセンサで残されていたマージンスペックをフル稼働できるように再設計した。それらの新機能によって、より簡単により安価に多くの人が、4K画像/映像が入手できるようになる。そしてこのGH4の出現によって、4Kコンテンツが一挙に広がる事は容易に想像できる。

それはこれまでパナソニックが実現してきた映像革命にどこか通じる部分もある。

この15年の映像制作業界において、同社はこれまで2つの大きな革命を起してきた。1つはDVカメラ全盛期の2002年10月に発売された、名機『AG-DVX100』の登場だ。それまで60iというのが常識だったDVカメラの世界に、初めて24pという概念を持ち込んだ初のカメラである。しかもシネガンマと呼ばれる映画調な画づくりを実現するガンマカーブをあわせて搭載することで、これまでのインターレース画像一辺通りだったビデオの世界に、「シネマルック」というイメージを誕生させた。このカメラの出現以降、誰もが安価に小型ビデオカメラで映画が撮れるようになった現状の世界は、まさしくこの偉大な名機によって導かれたのである。

その後、時代がテープからファイルベースへと移り変わる中で、同社が2004年に先駆的に発表したのがP2カード。プロフェッショナル向けのメモリーメディアとして登場し、当時はDVCPROとDVのデータファイルに対応。これも現状のファイルベース化を一歩先取りし、メモリー記録主流の現行のデジタルビデオの世界を作ってきた。

満を持して登場したニューVARICAM

img_special_panasonic03_03.jpg NABのブースでは、発表されたばかりのVARICAM 35/HSのワーキングモデルを展示。さらにGH4や4Kモニターなども含めて、パナソニックの4K戦略が本格始動した。

今年4月に開催されたNAB SHOWでは、パナソニックのハイエンド向けフラッグシップカメラ“VARICAM”の4K対応がようやく具現化した。まさにニューバリカムとも呼べる4K撮影対応の『VARICAM 35』と、HS機の『VARICAM HS』の登場である。ともに今秋の発売に向けてのワーキングモデルの発表だったが、その仕様は現状の映画・映像制作者のシネマカメラへの要求に、ほとんど応えた内容となっている。

同社でこれらの製品開発部署のトップである、ビジネスユニット長の宮城邦彦氏は「(4K対応シネマカメラを)もっと早く出す予定はしていたのですが、後発で出す以上、それなりの性能を出すために自社で1から妥協しないセンサ開発に多くの時間がかかりました。それがようやく上がってきたことで、今回のVARICAMの発表展示に至ったのです。4Kを出すにあたって、お客様が何を望んでいるのか、何に困っているのかを訴求できなければこの商品を出す意味はないと考えていました。

img_special_panasonic03_04.jpg 2014 NAB SHOWで、新型 VARICAM 35/HSを発表する、パナソニック株式会社 AVCネットワークス社 イメージングネットワーク事業部 プロフェッショナルビジネスユニット ビジネスユニット長の宮城邦彦氏。

モジュールタイプにした見た目の特徴と、内部の特徴として高感度でダイナミックレンジ/ラチチュードが広い、センサ開発に多くの時間をかけました。特にハイスピードでデータが読み出せる点においては他のカメラよりも優れていると思います。また現状の4Kのワークフローで問題視されているオンセット・カラーグレーディングの点においても、今回はカメラ内部でのでダブルレコーディングが可能で、RAW/LOGデータと3D-LUTを当てた状態の映像記録を同時に可能にしました。それはパナソニックの最も大きな強みである自社でコーデック開発までを行なうことで実現しました。

12年前に登場した初代VARICAMにはシネマタイプのカメラとして既にLOGが搭載されていましたが、それは自社内のみの技術であり、世の中に出ることはありませんでしたが、今回は正式にパナソニックのV-LOGとV-RAWとして公開していきます。今回のVARICAMが実現する4Kの世界は、これまで目指してきたシネマレベルのものから、更なる高みを目指してシネマ以上のものを目指しています」。

ニューバージョンとなったパナソニック自体の製品開発に期待したい。


※この記事はコマーシャル・フォト2014年7月号から転載しています。

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