入稿データ作りの指南書

現像の重要性と今回の現像環境について|入稿データ作成について良くある相談

良い機材で全力のライティングをして、最高の写真が撮れた。それで良かったとはならないのがプロの仕事。最後まで気は抜けない。データを納品する前の最後のひと仕事、それが入稿データの作成だ。せっかくの写真を殺すも生かすもデータの作り方次第と言っても過言ではない。ポスターやプリントはもちろん、Webやデジタルサイネージといった媒体が普及してきた今、出力媒体に適したテクニックが求められる。本稿ではそんな入稿データの作成をテーマにプロの技を紹介しよう。

現像の重要性と今回の現像環境について

雑誌など印刷物において、フォトグラファーから見れば、デザイナーを経由して印刷会社にデータが流れることになる。この流れを川に例えてデータの上流側・下流側と呼ぶことがある。これは決してヒエラルキーを指すものではなく、データの流れは一方通行であり、上流側には下流側に対して、色やトーンなど表現の意図を分かりやすく伝える責任があることを指す。同時に下流側では、上流側の意図に沿った成果物を作成することである。

この流れの中の最低限の「約束事」は、データの観察環境を統一することだ。即ちカラーマネージメントモニターの使用と設定である。インクジェットを含めて印刷物では5000K、Webや動画では6500Kとし、その観察環境で得られる階調と色合いが「約束事」となる。

しかし、モニターの色がそのまま再現できるわけではない。出ない色は出ないのである。また、成果物における画像のサイズによって適切なシャープは異なっ てくる。上記2点がRAW現像を行なうべき理由だ。

さらに表現としての色を含めることでRAW現像の重要性が大きなものとなる。なぜなら現物を見ているのがフォトグラファーのみであることが前提だからだ。

本稿ではAdobe Camera RAW PluginおよびPhotoshopを使って、要所を解説する。本稿の性質上Photoshopを普段から使っているフォトグラファーを対象としたため、ツールの使い方などは解説していないことをお断りしておく。

sinan01-01.jpg  sinan01-02.jpg
Web・動画と印刷では白色点が違う。そこでデュアルモニターとして設定を分けるか、切り替えをして使うこととなる。


入稿データ作成について良くある相談

画像データの「約束事」としての役割は前掲の通りだが、その仕様として守るべきはデータ量とプロファイルの2点である。一般的にはRGBデータでの入稿が主流である。データ量に関して、「画素数は足りているはずなのに画像解像度が足りないと言われた」という相談事が最も多い。

現在のレイアウトソフトや出力デバイスであれば、画像解像度はさほど有意な情報ではなく、多くの場合問題にならない。しかし、それらの設定や後工程の作業の進め方によっては、不正なデータとなってしまう。些細で忘れがちな設定であるだけに留意しておくと良い。同様の事例があった場合は、まずここを確認してみるべきだ。

データ量は確保

データ量は即ちカメラの画素数である。縦横双方のpixel数が表示されるが、この数値、即ち画素数を変更することが「リサイズ」である。「画像のサイズ調整」をチェックするとpixel数(MP)も表示される。これが自身のカメラの数値以下であれば、充分である。

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A4雑誌の見開きは概ね長辺44cm程度、画素数では24.5MP。多くのカメラで足りる数値だ。

適切な画像サイズ

画像サイズはデータ量を指すこともあるが、本来は成果物における画像の大きさである。データ量÷画像解像度が画像サイズとなる。予め成果物における画像サイズがわかっている場合は画像サイズと画像解像度を設定しておく。

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画像解像度×長辺の長さでは、長辺のpixel数、短辺をかければデータ量・画素数だ。

画像解像度の関係

画像解像度は、入力されたデータ量、pixel数をどのような密度で成果物上に配置するか、である。結果画像サイズが決まる。ppi(pixels per inch)で表す。実作業では、求められる画像解像度と画像サイズを入力し、リサイズつまりデータ量を変更すれば良い。

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「画像のサイズ調整」を行なわない場合、画像解像度をあげれば、画像サイズは小さくなる。

プロファイルの設定

RGB入稿の場合、s-RGBもしくはAdobe RGBであるが、Web・印刷ともに自身のモニターと色が一致しやすいのはs-RGBである。カタログなど製品の色の再現を求められる場合は、印刷側で調整が行なわれるため、より広い色域のAdobe RGBが求められる。

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Camera RAWではRGBのみならずCMYKプロファイルを幅広く扱うことができる。

校正設定の使用

減法混色である印刷物ではRGBの色域よりも狭く、再現できない色は近似色に置き換えられる。それが色が違うと感じる原因である。校正設定はその色合いの変化を予測することができ、目的の色域の中で色作りを行なえば、成果物とモニターの差を最小限にすることができる。
sinan01-07.jpg
Photoshopのメニュー。表示→校正設定から選ぶ。


次回「データとメディア|データのリサイズ」はこちら




解説・撮影:茂手木秀行

1962年東京生まれ。1990年頃よ りデジタル作品制作と商用利用を始め、デジタルフォトの黎明期を過ごす。最近はドローン空撮に取り組んでいる。



※この記事はコマーシャル・フォト2020年11月号から転載しています。

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