最新ライティング機材ガイド

SQ200/SQ300/SQ400 プロペット

解説 : 吉村 永

高速連写対応のモノブロックストロボの威力は?

プロペットのSQ200はシリーズカット調光方式を採用し、FULLから1/64まで、無段階調光。フル出力でもチャージ時間0.7秒。一般的なデジタル一眼レフカメラの連写性能、秒6〜8コマに対して、出力1/16(色温度5650〜5900K)でカバーする。出力は1/64(色温度5900〜6200K)で、15回/ 秒の連続発光が可能。コルツ放電管標準仕様品で税込価格131,250円(SQ200)、141,750円(SQ300)。152,250円。(SQ400)

高速のチャージが可能な小型のモノブロックストロボがプロペットから登場した。
今回テストしたのは200Ws タイプのSQ200だが、300Ws、400Wsバージョンもそれぞれ用意され、フルチャージタイムは順に0.7秒、0.9秒、1.2秒とモノブロックとしては高速。さらに最小値である出力1/64では15回発光/秒、出力1/16ならば8 〜 10回発光/ 秒が実現できるのだ。

今回は使用したカメラが5コマ/秒撮影のキヤノンEOS-1Ds Mark IIIだったため超高速のテストは出来なかったが、出力1/8での撮影で、すべてのコマで露光ムラもなく同調した。出力1/16以下の発光では、チャージサウンドがほとんど聞こえないくらいの速さで充電が完了してしまうほどだ。

この速さだと心配になるのが本体の加熱。テスト期間の関係から何百回といった発光テストは行なえなかったが、8.5コマ/秒のEOS-1D Mark IIでのテストでは20数コマの撮影を数回行なってみたが、この程度の回数では本体部分の発熱はほとんど確認できなかった。

使い勝手として特筆したいのは、本体の小ささ。高速チャージが可能なジェネレータータイプに比べてトータルでの体積が小さいことはもちろんだが、他の200Wsタイプのモノブロックストロボに比べても長手方向が19cmと短く、持ち運びが非常に楽だった。

バリエーターはクリックがない無段階調光タイプで、かっちり1/3や1/2ステップで絞り値を変えたい人は戸惑うかもしれない。モデリングランプは75W ハロゲンの調光不可タイプ、スレーブ機能を搭載とごくシンプル。

筆者は普段、トリガーとしてラジオスレーブを用いているのだが、ほとんどのラジオスレーブが連続トリガーでは1秒前後のインターバルを必要とするので、連写の際には付属のシンクロケーブル(標準ピンプラグタイプ)を利用することを忘れないようにしたい。2台目以降の内蔵スレーブは、高速連写でも問題なくスレーブするようだ。

本ストロボは手軽に連写撮影を実践したい人はもちろんだが、インタビューなどの人物取材撮影に持ってこいの製品。インタビューの録音のじゃまにならないよう、チャージ音を切っての撮影でも、リサイクリングタイムを気にせず表情を追った撮影が可能だろう。(吉村 永)

写真:石田 晃久

吉村 永
撮影データ(全て共通)
キヤノン EOS-1Ds Mark Ⅲ+EF24-70mm F2.8L USM f4、 1/60秒、ISO200
Adobe Photoshop CS4 で現像。
現像後には、背景の壁のテクスチャーを消去し、2 枚の連続カットをレイヤーで重ねている。

作例のライティングは、左右からライトバンクを付けたSQ200を2灯で、背景の白壁に反射させている。出力は1/8(色温度5700K)、フロントトップからはキノフロ(蛍光灯)を1灯入れている。

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吉村 永 Yoshimura;A

8ミリフィルムによる自主映画製作、テレビ番組製作会社、雑誌編集者を経てフリーに。現在は週刊誌等でのタレント/ポートレート撮影、音楽もののPVでビデオ撮影も手がけている。

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