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f シリーズ / D シリーズ サンスターストロボ

解説 : 玉内公一

デジタル撮影環境に対応した小型・軽量シリーズ

サンスターストロボの小型・軽量のジェネレーターシリーズ。下が2008年に発売したf043、上が2009年に発売したダブル調光のタイプのD122。Dシリーズの方が筐体がやや大きい。f 043 税込価格:302,400円、D122 税込価格:396,900円。

サンスターストロボのフラットパネルシリーズは、シンプルなデザインで小型・軽量化を押し進めたジェネレーターだ。中でもf043は3回路独立調光に特化して、小出力設定でのライティングを重視したコンセプトモデル。後発のDシリーズは2回路/1回路切り替えのワイドレンジ対応機。デジタル一眼レフカメラでのロケから、ある程度の光量を必要とする、デジタルカメラバックでの撮影までカバーする仕様となっている。

fシリーズの操作はフラットパネルが特長で、出力コネクターは側面に配置して小型化と埃の侵入に配慮している。
ファンレスで充分な冷却が可能な構造と、発熱要素であるリサイクリングタイムの設定に一工夫した設計である。

フラットパネル上にはピクトグラム(アイコン)を用いたインターフェースですっきりしており、操作も分かりやすく直感的である。

f043は400Ws3回路調光機で、各灯を400Ws〜6Wsまでの独立調光ができるのが、最大のアドバンテージだ。出力表示はWsとWV(400Wsを10としたワットバリュー)を切り替えて表示可能。調光方式は電圧調光で400Ws〜50Wsまでは1/6EVステップ。
50Ws〜6Wsまでは1/3EVステップとなる。重量はわずか3kg と軽い。

このf043のほかに1200Wsのf121、2400Wsのf241がシリーズとしてリリースされているが、この2機種は不均等出力の1回路調光機であり、f043のような個性はないが、いずれも小型・軽量、独自の操作性を特長としている。

2009年に発売されたDシリーズは、高耐久性コンデンサーを採用して、リサイクリングタイムはfシリーズよりも速くなっている。
出力配分を対称/非対称(2:1)と切り替えられ、いわば、1回路調光と2回路調光機能を併せ持つ形式となり、出力設定バリエーションは幅広く対応ができるようになった。

筐体デザイン、フラットパネルの操作性はfシリーズを継承しているが、調光操作を大型のダイヤル式に変更するなど、より使いやすい改良を加えている。

Dシリーズは1200Wsと2400Wsの2系統で、出力範囲はFULLから1/64光量まで。
調光ステップは1/6EVと1/10EVを切り替えスイッチで選択する。この調光ステップの選択によって調光範囲が異なる1/6ステップの場合はFULL〜1/32までと1/64。1/10ステップ選択時はFULL〜1/8までと1/16となる。リサイクリングタイムは3.2秒〜0.4秒(D242) / 2.1秒〜0.3秒(D122)である。

fシリーズ/Dシリーズは、デジタル一眼レフを主にした撮影環境で、さまざまなジャンルの被写体を撮影するフォトグラファーをターゲットにした小型ジェネレーターといってよいだろう。(玉内公一)

写真:石田 晃久

伊藤裕一
キヤノンEOS-1Ds Mark III + TS-E45mm F2.8 f9 1/125秒 ISO100ヘッドライトなど一部は別撮りしたものを嵌め込み合成処理をしている。

f043によるバイクのスタジオ撮影。背景には黒幕を垂らし、左サイドからトレペ越しに285Ws、後方斜め上からは400 Ws、右サイドから140Ws の出力で撮影。

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玉内公一 Kohichi Tamauchi

ドイテクニカルフォト、コメットストロボを経て、2000年に独立。銀塩写真、デジタルフォト、ライティングに関する執筆、セミナーなどを行なっている。日本写真映像専門学校非常勤講師、日本写真学会、日本写真芸術学会会員、電塾運営委員。

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