デジタルフォト達人への道

プロが教える本当にシャープな写真の撮り方 第1回

解説:スコット・ケルビー 日本語版監修:早川廣行

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アメリカで大ベストセラーとなった書籍「The Digital Photography」が日本語に翻訳されて発売された。この「デジタルフォト達人への道」(発行:ピアソン桐原)、著者は全米Photoshopプロフェッショナル協会(NAPP)会長のスコット・ケルビー氏、日本語版の監修は日本におけるデジタルフォトの第一人者・早川廣行氏だ。Shuffle読者のために、第1巻から第3巻まで各巻のハイライトを特別公開する。

ピントのしっかり合った鮮明でシャープな写真を撮ることが、プロの写真家にとっては何より重要です。「デジタルフォト達人への道」第1巻からは、「第1章 プロが教える本当にシャープな写真の撮り方」を公開します。

img_tech_kelby01_01.jpgSHUTTER SPEED: 1/60SEC F-STOP: F/11 ISO: 100 FOCAL LENGTH: 32MM PHOTOGRAPHER: SCOTT KELBY

“タックシャープ”な写真は三脚から

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プロのようにシャープな写真を撮る秘訣は1つだけではありません。いろいろな要素が組み合わさって、“タックシャープ”な写真が生まれます(“タックシャープ=切れのよい *1”はプロの写真家が最高レベルのシャープさを表現するのに使っている言葉です。残念ながら、写真家は想像力豊かなネーミングの才能には恵まれていないようです)。

シャープな写真を撮るために必要なことは数多くありますが、最も重要なのは三脚を使用すること。プロとアマチュアを分ける要素を1つだけ挙げるとすれば、プロは常に(たとえ明るい昼間でも)三脚を使って撮影しているということでしょう。もちろんそれだけではありませんが、三脚を使うことがアマチュアに欠けている決定的な要素であることは間違いありません。

プロは小さな手間を省きません。ほとんどのアマチュアはそれを怠ります。カメラをしっかりと固定することが三脚の唯一の役割ですが、こと三脚に関しては、使う機種によって大きな差が生まれます。機材への投資をケチらないほうがよいのはそのためです。プロはしつこいくらい質のよい三脚を使う価値を口にします。安物の三脚はカメラをしっかり固定するという役目を果たしてくれません。そもそも、それが安く買える理由なのです。

*1 訳注:日本ではタックシャープという言葉は全く普及していません。シャープな写真=キチンとピントのあった写真ということでは、日本では昔からジャスピンとかガリピンと呼んでいます。タックシャープというのは米語でもデジタル時代になってから生み出された造語のようで、日本でもそのうち普及するかもしれません。

スコットのおすすめ機材

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マンフロット(Manfrotto)190XDB(約$100)
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マンフロット(Manfrotto)055CXPRO3(約$400)
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ジッツオ(Gitzo)GT3541L(約$750)

自由雲台で快適な撮影を

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これは重要なポイントです。プロ向けの三脚は、三脚の本体だけで売っています。安い商品のように三脚と雲台がセットになっていないので、別々に買わなければなりません(自由雲台-ボールヘッド-はシャープな写真を撮るために必ずしも不可欠というわけではありませんが、撮影時のイライラから解放してくれる便利な機材なので、加えておくことにしました)。

自由雲台のすばらしいところは、締め付けノブ1つでカメラをどんなアングルにも、素早く簡単に調整できることです(それだけでずっと撮影が楽になります)。

それに、なんといっても、よい自由雲台はしっかりとカメラを固定してくれるので、設置したあとでカメラがずるずる動いて傾くのを防いでくれます。三脚と同じで、よい雲台は安くはありませんが、質のよいものを買えば二度と手放したくないと思うはずです。

スコットのおすすめ機材

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マンフロット(Manfrotto)322RC2(約$110)
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リアリー・ライト・スタッフ(Really Right Stuff)BH-40($375)
img_tech_kelby01_yen3.gif リアリー・ライト・スタッフ(Really Right Stuff)BH-55(望遠レンズ向き、$455)
*訳注:リアリー・ライト・スタッフは日本に正規代理店がありませんが、B&Hやe-Bayなどのネット通販で入手、愛用しているユーザーは少なくありません。日本で正規に販売されているものとしては、BenroのプロボールヘッドB2(BH-40相当)とB4(BH-55相当というか、やや上回るスペック)をおすすめします。


シャッターを押さない(ケーブルレリーズを使う)

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さて、これで苦労をして三脚を持ち運ぶことにはなりましたが、ずっとシャープな写真を撮れるようになりました。まだ“タックシャープ”とまではいかなくても、これまでよりはずっといいはずです。

さらなるシャープさを追求するための次のステップは? それがケーブルレリーズです。お使いのデジタルカメラ(ほとんどのセミプロ・ハイアマチュア向けデジタル一眼レフカメラ)に取り付けることのできるケーブルで、反対側の先端にある押しボタンを押すと写真が撮れます。そのため、カメラ本体のシャッターボタンに触れる必要がありません。これがどれほど重要なことなのでしょう?

信じてもらえるかどうかわかりませんが、シャッターボタンを押すと、カメラが微妙に揺れ、それが目指す“タックシャープ”な写真から一歩遠ざけてしまうのです。確かにほんのわずかなブレですが、実はみなさんが考えている以上に大きな違いになります。レリーズを使うのは思いのほか簡単で、最近ではほとんどのカメラがリモコン式レリーズにも対応しています。しかも、手頃な値段で手に入ります。このちょっとした手間をかける分だけ、あなたの写真はさらにシャープになるはずです。

ケーブルレリーズを忘れたら? セルフタイマーで代用できる

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ケーブルレリーズ(あるいはリモコン)をわざわざ買いたくないという人、または撮影に行くのにレリーズを忘れてしまったという場合に(私も何度も経験しています)、次善策となるのがカメラのセルフタイマー機能を使うことです。

普通なら、セルフタイマーはシャッターを押してから素早く走っていって自分も写真の中におさまるときに使うものですが、考えてみてください。セルフタイマーの働きとは何でしょう? カメラに触れることなく撮影できること。そう、その通りです。

セルフタイマーは、カメラが動かないようにレリーズと同じ働きをしてくれるのです。ただ10秒待つだけで! 待つのが嫌いなら(私も間違いなくその1人です)、カメラにタイマーの時間を短くする設定があるかどうか確認してみてください。

私の場合は5秒の設定にしているので(上のニコンのセルフタイマー設定画面を参照)、シャッターボタンを押した5秒後にシャッターが切れます(シャッターを押したあとのカメラの揺れがおさまるのに5秒あれば十分だと考えるからです)。

Column

ケーブルレリーズを購入するなら

カメラの手ブレを抑えるためにケーブルレリーズの購入を考えているのなら、ケーブル内にワイヤーが通っていて、グリップ部分のプランジャーを押し込むことでシャッターを作動させるものではなく、電動ケーブルレリーズがおすすめです。ワイヤー式のものも、ごつい親指で直接シャッターボタンを押すのに比べればカメラにブレは生じませんが、カメラにまったく触れることのない電動式(あるいはリモコン)にはかないません。


※この記事は「デジタルフォト達人への道」第1巻から抜粋しています。

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スコット・ケルビー Scott Kelby

『Photoshop User』誌の編集者兼発行人。『Layers』誌(Adobe社製品に関するハウツー雑誌)の編集者兼発行人。人気ウィークリービデオショー『Photoshop® User TV』の共同司会者。全米フォトショップ・プロフェッショナル協会(NAPP)の共同創設者兼会長で、ソフトウェアのトレーニング・教育・出版会社ケルビー・メディア・グループの会長。写真家、デザイナーで、著書は50冊を超える。
・ブログ(英語) Scott Kelby's Photoshop Insider
・トレーニングビデオ(英語) Photo Recipes Live by Scott Kelby


早川廣行 Hayakawa Hiroyuki

電塾塾長/株式会社電画代表/東京藝術大学大学院非常勤講師/日本写真学会会員/日本写真芸術学会会員。デジタルフォトの黎明期から画像処理に取り組み、デジタルフォトの普及啓蒙・教育活動に努める。デジタルフォト関連の雑誌への寄稿、講演活動、書籍執筆(Photoshopプロフェッショナル講座シリーズ他多数)など幅広く活動している写真家・フォトディレクター。

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