ゼウスのスチルライフマジック

第4話「怜くん、光沢のある被写体は乳白アクリルのグラデを映し込むんだ」

Photo & Words:Tetsuro Takai/Photo assistant:Rei-Kun

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スタジオは白い空間
何もない宇宙の始まり
創造主ゼウスのように
光を操って宇宙を 創造しよう
スチルライフ それは あなたが
神になれる世界 楽しい夢

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高井哲朗が主催する「ゼウスクラブ」。月に2、3度は集まって、写真のアイデアやライティングを研鑽している。今日はメンバーの怜くんがハサミを被写体に少し苦戦をしている。普段は人物メインで、スタジオでのブツ撮りはほとんどないのだとか。ハサミのような鏡面の被写体は、ストレートなライトをあてても上手く写らない…。

立体感も 存在感も
光の演出で 変わってくる

――ハサミって 撮るの 難しいですね どうしたら いいんですか?

怜くんは ボンボンで ちょっと イケメンだから
苦労知らずで 写真が ストレート
まともすぎて つまらない
ピュアな心 それは とっても素敵 なんだけどね

光はさぁ あてれば 写るんだよ
でも 効果的に美しく と なると ちょっと 技術 いるよね
光そのものは 見えないけど
それが もののあたって 反射して 入って来たものが 写るんだな

光沢のあるものは 鏡 みたいに いろんなものが 映り込む

ハサミは 平べったいものだけど 厚みはある
その立体感も キラリな 存在感も 光の演出で 変わってくる

映り込みを よく 観察しながら
映り込む 乳白色のアクリルに 光の 濃淡を作って
立体感を 出していくんだよ

質感 丸み いろんなことを 考えて
平面の紙にね 立体物 想像できるよう 作り込んでいくんだ

スチルライフ
それは 光の 建築設計図

Ph.1 / 2 / 3のセット

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ライト:❶ ❷broncolor Pulso G Head+Standard Reflector P70
カメラ:Canon EOS 5D Mark II/レンズ:EF50mm f/2.5 Compact Macro/1/100秒 f13 ISO100



img_tech_zeus04_03.jpgPh.1

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ライト❶のみ/右斜め上からのストレートなライティングだが、順光のため、平らな被写体は立体感が出ない。またハサミの金属の質感も表現できない。


img_tech_zeus04_04.jpgPh.2

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ライト❷のみ/被写体を覆うように薄手のアクリルボードをセットして、その後ろからライト❷をあてる。ハサミの手前に影が落ちて立体感が出てくる。またアクリルボード越しの光がハサミに映り込み、金属の質感が生じる。ライトの位置と角度はハサミの映り込みを見ながら調整する。


img_tech_zeus04_05a.jpgPh.3

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ライト❶+❷/ライト❷だけでも立体感、質感は表現できるが、手前のクリップが暗い。ライト❶を入れてクリップの色を出す。


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撮影の様子。乳白アクリルはしならせて、ハサミのグラデを調整するのがポイント。

スチルライフって 人生の静止した物語
そんなこと 思ったりするんだ

キミさぁ 美容師になったらいいと思うんだな

――ワタシ 明日 お店なんだ

ゆび 触れながら 髪 なぞられた
下から 髪越しに 青い空 白い雲

繊細に動かせるし しなやかだから
ハサミと同化できるよ
きっと いい美容師になれる そんな気がするんだよね

頭に柔らかな暖かさ 髪を分ける
指のハサミ しなやかに ここちよい眠気が襲う

東京真ん中 公園 人がまばらなベンチ 昼下がりの 暖かな日差し

甘い匂いが こころを つつむ
指がしなやかに スキマに 入り込んでくる おだやかな波のよう

美容師って さぁ 指 ひとつで お客さんのこころ 掴むんだよ
キミの指 気持ちいいよ ピッタリ

さぁ お寿司でも 食べに 行こっか

いまでも ときどき 思い出すんだ
お寿司つまむ あの指
唇のわきの ホクロ 胸の 下にも

ハサミ 持つとき
ハサミ 切るとき

冷たい触感 柔らかな想い
物には 作り手の想いも
物を 使う人にも それぞれに 物語がある

スチルライフって 人生の静止した物語 
そんなこと 思ったりするんだ

写真は愛 愛を教えてくれる 静止した時間


img_tech_zeus04_07.jpgPh.4

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Ph.4のセット

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ライト:❶❷❸broncolor Pulso G Head+Standard Reflector P70/❹broncolor Boxlite 40
カメラ:Canon EOS 5D Mark II/レンズ:EF50mm f/2.5 Compact Macro/1/100秒 f16 ISO100



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被写体は美容師用のハサミ。ガラス製の手のオブジェを美容師の手に見立て、そこにハサミと黒髪のウィッグをあしらった。撮影台には無反射の黒い布を敷いている。

ライティングの組み立て

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背景用ライト❶。トレペとブルーのゼラチンフィルターをつけたライトを乳白アクリル越しに入れ、背景の色を作る。

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トップライト❷+背景ライト❶。上からリフレクター直光の広がらない光で、ハサミ上部エッジのハイライトを作る。

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フロントライト❸+背景ライト❶。左斜め前から乳白アクリル越しに光を入れ、ハサミ正面のネジ部分と下の刃の面にハイライトを入れる。

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サイドライト❹+背景ライト❶。上の刃と柄の下の部分のハイライトを小型ボックスライトで入れる。やや斜め後ろからの照射で、手の輪郭のエッジライトにもなっている。
各ライトを合わせると完成カット(Ph.4)となる。

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セットを上から見たところ。ハサミが複雑な反射面を持つため、複数のライトで囲みハサミ各部のハイライトを作る。各ライトの出力でハイライトの強弱を調整してイメージを詰めていく多灯ならではの手法。



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高井哲朗 たかい・てつろう


1978年 フリーとして活動開始。1986年高井写真研究所設立。広告写真を中心に活動するかたわら、ゼウスクラブを開催し、写真の可能性を伝導する。


www.kenkyujo.co.jp/
twitter.com/TetsuroTakai(ツイッター)




※この記事はコマーシャル・フォト2021年8月号から転載しています。


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