電通クリエイティブピクチャーズ短編映画「mopim」「道子、未知満ちて。」

スチール撮影:TAKAKI_KUMADA
スチール撮影:TAKAKI_KUMADA

今年1月に社名を新たに始動した電通クリエイティブピクチャーズが2本の短編映画を公開した。本作は社内の脚本コンペに寄せら
れた30本の企画の中から採用された「mopim(ムパン)」と「道子、未知満ちて。」を映像化したもの。

まずは予備知識なく、下記から2本を視聴していただきたい。

 「mopim(ムパン)」は深夜の病室で孤独な死を迎えようとしている老婦・栗田節(有村架純)のもとへ黒装束の男(オダギリジョー)が最後の望みを叶えるべく“ お迎え” に来るシーンから始まる。
 少女の姿に若返った節が目を閉じて行きたい場所を想像するだけで、舞台は街並みを見下ろす山にある鳥居、青い地球を臨む宇宙空間へと瞬時に変わっていく。小気味よい場面転換で視聴者を飽きさせないつくりになっているため、視聴して数分で夢中になることは請け合いだ。
 さらに節は大切な想いを伝えるため、時空をも超える。80年前に戻り、戦地に向かう夫のために戦時下では手に入らないような豪勢な食事を振る舞う。深夜2人が手を取り合うシーンは古き良き時代の日本映画を彷彿とさせる映像美に仕上がっていて、ストーリーに深みを添えている。節と夫・治(泉澤祐希)との丁寧なやりとりに現代人が忘かけた上質なラブストーリーに寄り添えた気持ちになるだろう。また最後に明かされる黒装束の男の正体にも注目してほしい。


 一方「道子、未知満ちて。」はマップアプリの360°カメラカーのドライバーとして働く道子(鳴海唯)の物語。幼い頃から空想の世界に浸ることが好きで、現実と折り合いをつけるのが苦手な道子。そんな彼女にとってラジオを聴きながら、街を眺めては空想に浸ることが何よりの楽しみだ。
 空想シーンにおいて、街を歩く母親と息子に勝手なセリフをアテレコしたり、苦手な上司がせわしなく働く姿をDJ に見立てたりと、彼女の想像力は非常に逞しい。そんな道子の日常を変えるような事件が起きるのだが、ここへの導入が少々サスペンスタッチな仕上がりで、“ 大” とはいかないまでも、“小どんでん返し” のようなインパクトがある。またキャスティングの妙味もあり、全体を通じてどこか心が軽くなるような雰囲気をまとう作品だ。


 ここでタネあかしだが、驚くべきはこれらの2作品は予めロケ撮影した映像を大型高精細LED ディスプレイに背景として投影し、その前で撮影を行なうバーチャルプロダクション(スクリーンプロセス)が活用されている。この2本の撮影は合計22シーン・156カットの大半を「FACTORY ANZENSTUDIO」で撮影している。つまり、「道子、未知満ちて。」の2シーンをのぞいて演者はロケ撮影に出ておらず、スタジオ内だけで演技をしているということも特筆すべき点と言える。


 この事実を踏まえて再度作品を視聴することで、いかに自然な仕上がりになっているかを確認するのも、また一興だ。
公開は2025年8月末までとなるので、視聴はお早めに。

(編集部:高倉亜木)

協力:電通クリエイティブピクチャーズ

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