
Lyric, Music, Arrangement, All Instruments, Mix by KBSNK Music Video
Director:Masaki Ohkita Producer:Manami Nakagawa
WACK 所属の6人組アイドルグループEMPiRE を前身とし、2022年に改名して再始動したユニットExWHYZ。
メンバーの脱退や休業を経て現在は4人体制となり、BiSH 以降のWACK を担う存在として注目を集めている。

今回のMV は、8月2日に行われたグループ結成3周年ライブの演出と地続きになっている。EMPiRE時代から彼女らのMV を手がける大喜多正毅監督は、“ ファンが安心して応援できる未来” を提示することを第一に考え、メンバーが不完全ながらお互いを補い合って前へ進む姿を映像に込めた。

「今回の映像で最も描きたかったのは、mayu が自分の意思でメンバーの元へ戻っていくシーンです。彼女が休業する前の作品「Sweet & Sour」では、mayu を砂上の電話ボックスの上に置き去りにしてきてしまった。彼女をそこから連れ戻したかったんです。」(大喜多)

昨年11月に復帰したmayu は責任感が強く、歌でもグループを牽引するタイプだが、背負いすぎるがゆえに身動きが取れなくなってしまった。mayu が横たわるシーンは実際に寝ているのではなく、壁にもたれてカメラを90度回転させている。
重力がかからず顔がきれいに映るというのもあるが、横になってしまうことにより、過去の辛い経験を想起させないようという配慮でもある。
同時に他メンバーも一人ひとりがそれぞれの個性や内面の不安感を象徴するモチーフが与えられ、徐々に解放し希望へと転じる構成になっている。

スタジオはシンプルな白壁と直線を生かしたCONTACT STUDIO。
4人のシーンは定点に置き、必要以上に語りすぎない画を心がけた。狙いすぎてエモーショナルに偏りすぎるのを避けるためだ。
一歩、二歩引いた視点を混ぜつつ、音楽性と乖離しないバランスを探ることを意識した。



美しい映像はソニーFX6にPANCHRO/i Classic の組み合わせによるもの。PANCHRO/i Classic はフィルム時代に人気を博したシネレンズをデジタル用に再設計したもので、特に寄りのカットの135mm の独特な質感が大喜多監督のお気に入りだ。近年TikTok などでみられる映像はエフェクトや編集でインパクトを出すものが多いが、大喜多監督は「笑顔一つやメンバーのもとに走る後ろ姿なんてものに、なんだかんだ一番力がある。
AI やCG 技術が発展し、誰でも安価に使える時代になれば映像の説得力は薄れていく。だからこそ、リアルな身体や表情が持つ力を信じたい」と語る。


アイドルMV に携わる醍醐味について、「作り甲斐がある」と言う大喜多監督自身はもともとアイドルに強い興味はなかったが、BiSH の仕事をきっかけに、アイドルのファン層に魅力を感じるようになっ
たという。
一般的なミュージシャンより反応が速く、考察や受容の仕方もユニークでビビッド。アイドルは与えられた曲や衣装を咀嚼して表現し、そこにファンが加わることで物語が完成する。

「 “推して大丈夫”だとファンに安心を感じてもらえれば、彼女たちはもっと自由に冒険できる。その姿を映したい。」そう語る監督の言葉からは、単なるMV という枠組みを超え、彼女たちのストーリーとファンの関係性までをも作品化しようとする姿勢がにじんでいる。


※この記事はコマーシャルフォト2025年10月号からの転載です


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