【2025年11月号 編集部注目のMV】Aimer 「太陽が昇らない世界」 Sony Music Labels

Pr=NAOKI AKIYAMA(19-juke-)・NOSE IKUO MATSUMURA (NEW BLACK) Dir=MASAKI WATANABE(maxilla) DOP=SHUHO TERAMURA L=TAKUMA SAEKI 1st AC
=AKIRA ST=JUN ISHIKAWA Head Piece Design=NOBUTAKA MUKAI HM=KEI KODA TC=HARUKA ARIGA (Artone Film) Dancer=Hagri Marching Band=THE
YOKOHAMA SCOUTS ED=TAKAHIRO YOSHIDA(P THREE) PM=TATSUYA KOSE・SHUN OGIZAWA (f.0) PA=YUSUKE KAIDA・RIO TOYOSHIMA・KISHIN FUJIHIRA・
RYO NISHIMURA・SHOTARO KAWAI(tape)・MAMI OKAWA(NEW BLACK) Production=19-juke-・NEW BLACK

 Aimer の新曲「太陽が昇らない世界」は、壮大なオーケストラと濃密なダークネスな雰囲気が同居する楽曲だ。そのMV を手がけたのは映像監督の渡邊勝城氏。群衆のダンサーと楽器隊を起用し、リリックに現れる「異形の闇」「激しい潮騒」といったイメージを、アートパフォーマンスのかたちで視覚化することを目指した。舞台となるのは、太陽の昇らない広大な夜の世界。永遠に続くように見える暗闇の中で繰り広げられる群舞は、救いを求める祈りにも、終わらない悪夢の具現化にも見える。Aimerの音楽がもつ二面性を、映像の中に落とし込んだという。
「 中心に据えたのは、ダンサーのHagriさんです。彼女を“ 指揮者” として登場させ、無機質な鼓笛隊を操るように群衆を統べ存在にしました。衣装も匿名性を意識して、人間的な顔が浮かび上がらないようにしています。そうすることで、楽曲のもつダクネスを強調できると思いました」。


 映像の方向性を監督と共に描いたのが、プロデューサー秋山直樹氏と松村郁雄氏だ。両氏は楽曲を聴いた瞬間に“ 不穏で壮大” というイメージが浮かんだという。「何者かはわからないけれど強い力で軍勢を率いる存在を描くべきだと考え、その軍勢をマーチングバンドとして設定しました」と語る。世界観に一役買っている独特なスタイリングにおいても、渡邊監督やスタイリスト、マスク造形作家と綿密に相談を重ね、「人間なのか、動物なのか、神なのか判別できない存在にしたかった。不穏ながらも力強い者たちとして描くことで、作品全体の世界観を強固にしました」と振り返る。


 さらに映像を支えるのは、シンプルながら効果的なライティングとカメラワークだ。

明滅する光は音の展開と呼応し、「終わらない悪夢」のリズムを刻む。クレーンショットで全体のフォーメーションを見せつつ、手持ちでHagri のダンスを追うことで、群衆の秩序と感情の爆発を対比的に描いた。撮影はソニー最高峰のシネマカメラVENICE とFX3を2台使用し、マルチカメラでスケール感を担保。編集ではカット数を増やすことで圧迫感を与えつつ、音が落ち着く箇所では割らずに緩急を演出した。カラーは徹底して低彩度に抑え、光と影のコントラストで画に強度を持たせている。ほんのわずかに残された色味が、闇の中に潜む恐怖や不安を際立たせ、タイトルにある“ 太陽” の不在を逆説的に意識させる。
「 全体的な情報量や絵力が強いので、ライティングはあえて引き算で考えました。楽曲の力強さをどう映像で支えられ
るかを意識しました」と渡邊監督は語る。


圧倒的なパフォーマンスと光と闇のコントラスト。その中で際立つAimer の声。映像と楽曲が重なり合うことで、「太陽が昇らない世界」のMV は、一度観ただけでは収まりきらない深い余韻を残す作品となった。

※この記事はコマーシャルフォト2025年11月号からの転載です

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