Blackmagic DaVinci Resolve 18 Special Interview|加藤 肇(カラリスト)/上池惟孝(シネマトグラファ―)
2022年10月07日
SEKAI NO OWARIのキレキレのダンスがSNSで話題になり、驚異の再生回数を記録している「Habit」。二面性のあるキャラクターを色のトーンの変化でわかりやすく表現した。
UNIVERSAL MUSIC JAPAN SEKAI NO OWARI「Habit」 Interview
加藤 肇/カラリスト 上池惟孝/シネマトグラファ―
マジックマスクが進化していた
─上池さんが加藤 肇さんをカラリストに指名したそうですね。
上池 加藤さんがまだ監督をしていた頃からの付き合いで、僕の撮影するものはほとんどお願いしています。
加藤 好みがわかっているので、色に関しては2人で練り上げることが多いです。今回も最初は2人でカラーグレーディングを行ないました。
─加藤さんはBlackmagic DaVinci Resolve(以下DaVinci )でカラーグレーディングを行なっています。
加藤 DaVinci 8ぐらいから独学で動かしながら覚えていきました。撮影機材の進化や視聴環境の変化など、MVの発展や成長と共にいろんな実験をしてきました。
─今回はDaVinci18でグレーディングしていると聞きました。
加藤 DaVinciはアップデートのたびにこれまでやれなかったことがちょっとずつできるようになってくるのが楽しいですね。ギリギリまで旧タイプを使う人もいるそうですが、僕は常にもっといいものを作れるカラリストでありたいので、最新版を即導入します。
DaVinci 18では人物をよりすばやく認識・追跡できるマジックマスクが進化していました。自ら色を追い込んで選択していく従来のマスクに比べ、ある程度のクオリティのマスクが短時間で作成できるというのは、かなり革命的だと思います。
─今回の撮影で意識したところ、色作りで表現したかったことを教えてください。
上池 Fukaseさんの演じる教師は陰気さと陽気さが切り替わるキャラクターなので、特に陰気な教師の時は暗部のディテールは保ったまま、感度を低めに設定して撮影しています。
加藤 現場で撮った映像はもう少しフィルムの粒子を感じるような絵作りでした。ただ今のMVはスマートフォンで視聴する人を意識せざるを得ない。監督(池田 大)の要望でフィルムっぽさを抑えています。再生回数を考えると結果的にはその選択がベストだったのかなと。
─HIKAKINバージョンの「Habit」もグレーディングしたそうですね。
加藤 セットなど全く同じではないのですが、そこはパロディなのである程度トーンが揃っていればいいのかなと考えて作りました。やっていて楽しい仕事でした。
─これからDaVinciとどのように付き合っていきたいと考えていますか。
加藤 僕が関わることで収録した絵を阻害せず、美しく包装したい。撮影した絵に還元できるようにDaVinciと共に進化していきたいですね。
※この記事はコマーシャル・フォト2022年10月号から転載しています。