ワンオペ撮影がより快適に。ソニー Creators’ App

ソニーのスマートフォンアプリ「Creators’ App」のカメラダイレクト機能が強化された。Creators’ Cloudストレージにアップロードした画像や映像がGoogle Drive やAdobe Lightroom CCにダイレクトに転送できる機能が追加された。

秋田を拠点に撮影プロダクションを構え、幅広いジャンルの撮影に携わるコンドウダイスケ氏に、室内でのダンスフェスティバル×ワンオペというハードな状況で、本機能を検証してもらった。

ソニーの先進的なカメラ技術とクラウドAI を掛け合わせて実現した、クリエイターの撮影から制作全般をサポートするプラットフォーム「Creators’ Cloud」内のサービスの1つ。

Creators’ App の新機能であるGoogle、Adobeのクラウドサービスとの連携を、
コンドウ氏の実際の撮影フローに沿って紹介します。

(撮影協力:国際ダンスフェスティバル『踊る。秋田』Vol.9)

バックアップ目的であれば絞り込まなくてもOKですが、今回は“ 撮影後に納品データをいかに早く仕上げるか”を主眼においたので、カメラ内で★5のレーティングをつけたカットのみアップロードされる設定に。また、GoogleDrive、Lightroomの両方に転送される設定にしました。

α9 IIIとα7S III の2台体制。フリッカー対策としてグローバルシャッター搭載のα9 IIIをメインカメラとし、フレキシブルに動けるように手持ちで使用。ピンポイントの寄りカットは三脚に据えたα7S IIIで押さえました。それぞれのカメラは同じネットワーク内のWi-Fiに繋げておいています。

リハーサルで撮影ポイントをチェックしておき、決定カットを押さえてある程度余裕ができたタイミングで、カメラ内でレーティングをつけます。それから電源を入れ直すと、アップロードが開始。ここで事前にカットを絞ることでアップロード時間の短縮につながります。

まずCreators’ Cloud にアップロードされたのち、自動でLightroom CC、GoogleDriveへそれぞれ転送される仕組みになっています。

撮影の合間や終了後に、★5のレーティングをつけたカットをタブレットのLightroom上でざっくりと現像。高感度ノイズ除去などの高度な補正はPC上でするとしても、クライアントチェック用の色味や露出補正はタブレット上だけで完結できるというのは大きな強みになっています。

イベント終了後、クライアントにチェックしてもらう。即時納品用の急ぎのデータだけLightroom CCで仕上げてその場でシェア、アザーカットはGoogle DriveのURLを共有するなど、クライアント側の負担も軽減することができます。

α7S IIIで撮影したカット
α9 IIIで撮影したカット

Creators’ Cloudストレージと Google Driveはカメラごとにフォルダが分けられて保存され、Lightroom CCの方へは2台とも同じフォルダに格納される。この点もふまえてフォトグラファーそれぞれに最適なワークフローを見つけるのがポイント。

コロナ禍による少人数体制の定着やバジェットの削減などの影響で、アシスタントをつけず撮影から納品までをワンオペで行なうフォトグラファーが増えています。

また、私のように地方を拠点とする撮影プロダクションですと、イベント、料理、建築、ウエディングなど撮影領域が多岐にわたります。「Creators’ App」は、そのような環境にあるフォトグラファーにぜひお勧めしたいアプリです。

フォトグラファーに特に勧めたい機能は2点あります。
1つにはテザー撮影ができる点。ミニマムな撮影になるとカメラとPCを有線で繋ぐスペースや時間が確保できない場合もありますが、Creators’ Appを介せばスマートフォンやタブレットに無線で接続できますし、リモート撮影を行なうことももちろん可能です。広告撮影のように、1点を細部までこだわりながら作り上げる撮影に重宝し、クライアントが撮影に立ち合えなくても遠隔で確認してもらえるのも利点です。

2つめは、本記事で紹介したCreators’Cloud上にあるストレージから直接GoogleDrive やAdobe Photoshop Lightroomへ転送できるという機能です。この機能をワンオペの舞台撮影で検証してみました。ライブや舞台などのイベント撮影は、規模にもよりますが複数のフォトグラファーが稼働し、かつ新聞やWebメディア用として即時納品が求められる場面があります。
複数台のカメラで撮ったカットが、1ヵ所に自動でアップロードされれば非常に便利なのでは? と仮説を立て挑みましたが、結果として、今後このようなイベント撮影には必携の機能だと感じました。

従来のワークフローでは、たとえばイベントが21時に終了したとして、事務所に戻ってPCにデータをコピーし、ハードディスクやクラウドにバックアップ。その後必要カットをセレクトし、画像調整をしてデータ便などで納品…となると、どう頑張っても0時を過ぎてしまいます。
しかし今回Creators’ Appを使用することによって、イベント終了後にはセレクトをしたカットがすでにLightroom CC上にアップロードされており、画像調整をかけた上でクライアントチェック、その場で納品完了することができました。

フォトグラファーの在り方が変革してきている昨今、テザー撮影からクラウドへの自動アップロードなど、様々なシチュエーションでクリエイターを助けるCreators’App。従来のワークフローをアップデートし、ワンオペ撮影では心強いアシスタントの役割を果たしてくれるでしょう。

コンドウダイスケ

1983年秋田県北秋田市生まれ。アキテッジ代表取締役。舞台制作の道から舞台写真に憧れ写真の道へ。秋田県内や東北各地の企業・自治体のプロモーションに関わる写真や映像を手がける。伝統産業に関わる人々の撮影と、舞台写真撮影をライフワークとしている。
Instagram : @akitedge_co_ltd

Creators’ Cloudには他にもクリエイターに役立つサービスが多数。コンドウ氏がクリエイティブ制作の際に重宝しているというサービスを2つご紹介します。

Ci Media Cloud

クリエイターのコンテンツ制作、チームでの共同作業を強力にサポートするクラウドメディアストレージサービス。

「RAWで撮影したデータは一般のPC 環境では確認できない場合が多いが、Ci Media Cloud では、主要なカメラメーカーのRAWデータもそのままブラウザでプレビューできる。また、ProResなどの動画ファイルもPCのコーデックなどの環境によらず、ブラウザでプレビューできるので、クライアント先が途中経過を確認したいなどという時に、逐一データの変換をしなくてよいので便利な機能」(コンドウ)

Monitor&Control

映像クリエイター向けモバイルアプリケーション。

「Wi-Fi接続することでスマートフォンやタブレットを外付けモニター代わりに使用することができるサービス。モニターに加え、カメラをコントロールすることも出来るため、舞台撮影などでカメラを据え置く場合や、写り込み防止のためにカメラから離れた場所で撮影をする時のカメラコントロールにも有効。
外付けモニターを導入するほど動画案件は多くないけど…というフォトグラファーやマルチカメラでのリモート撮影を多用する映像クリエイターに最適」(コンドウ )


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【特集】「ワンオペ映像撮影力を鍛える」

写真の現場でも「動画も撮れること」が求められる今、フォトグラファーが直面するのは“ワンオペ”での映像撮影。本特集では、ディレクション・撮影・編集まで一人でこなす映像制作者たちに取材。ミュージックビデオ、CM、ウエディング、プロモーション映像など多様なジャンルの現場から、少人数制作のリアルな工夫とノウハウを紹介。すでにワンオペ映像撮影を始めている人、これから挑戦したい人に向けた特集。
出演 加藤マニ/三戸建秀/Shuma Jan/ヒガテツヤ

Blackmagic Camera (Application for smartphones)/DaVinci Resolve 18 Special Interview
Kroi「Method」 木村太一(ディレクター)・西田賢幸(カラリスト)・内田誠司(DIT)

【FEATURE】
加賀 翔
コハラタケル「Contrast」
山岸 伸写真展「西田敏行 Since 1980~」

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