写真家・小林健太の新シリーズ展覧会『#copycat』開催!


東京・WAITINGROOMにて、2025年9月13日(土)から10月12日(日)まで、小林健太の個展「#copycat」が開催。小林は撮影した写真をデジタル加工し、色鮮やかに変化させた作品で知られる写真家だ。本展では、過去の作品データを生成AIに読み込ませ、猫のイメージを重ね合わせた新シリーズを発表する。
展覧会タイトル「copycat」は「模倣者」を意味し、AIエージェント「MIRA」が小林に与えたキャッチコピーでもある。本展において小林は、AIと猫を「人間を見つめる他者」として位置づけ、その視線を通して「人間とは何か」を問い直す。AIの発達や猫をめぐるネット文化を背景に、人間が無意識に抱く「他者から見られること」への欲望が浮かび上がるのである。

●展覧会詳細

展覧会名:小林健太『#copycat』
会 期:2025年9月13日(土)‒ 10月12日(日)
オープニングレセプション:9月13日(土)18:00‒20:00 *作家が在廊
開廊時間:12:00-19:00(日曜 ‒17:00)
定 休 日 :月・火・祝日
会 場:WAITINGROOM(〒112-0005 東京都文京区水道2-14-2 長島ビル1F)

公式ウェブサイトはこちら

●アーティスト紹介

小林 健太

1992年神奈川県生まれ。2016年に東京造形大学美術学科絵画専攻を卒業し、現在は東京と湘南を拠点に活動している。幼少期からMacintoshやプリクラ、KID PIXなどに親しみ、自身を「GUIネイティブ」と位置づける。代表作《#smudge》シリーズでは、Photoshopの指先ツールで画像を引き延ばし、編集行為そのものを表現とした。この方法をCGや彫刻、映像、インスタレーションへ広げ、都市やデジタル環境における記憶のあり方を探求している。
2025年グループ展『AI / POST PHOTO』(Art Golden Gai、東京)、2019年には、マーク・ウェストン率いるダンヒルの2020年春夏コレクションとのコラボレーションを行うなど様々な経歴を持つ。

吉田山(インディペンデント・キュレーター)

小林健太は、「写真とは何か」「真実とは何か」という根源的な問いを追求してきたアーティストである。カメラというメディアが客観的な現実を映し出すと信じられていた時代から、現在は写真加工やAI生成画像の台頭によって、虚実の境界が容易に曖昧となる時代が訪れ、さらには芥川龍之介の小説『藪の中』のように、登場人物がそれぞれの認識する真実を語るだけでなく、各々がビジュアライズする時代が到来している。

このように、生物学者のユクスキュルが提唱した「環世界(Umwelt)」の概念にも通じる多層的な人言社会の到来以前から、小林健太はテクノロジーと深く結びついた表現を探求してきており、彼の代表作である「#smudge」シリーズは、写真加工ソフトPhotoshopの指先ツール/smudgeを使用し、真実を編集するというデジタルツールのインターフェースを隠すことなく露呈させ、応答と行為によって生み出される視覚芸術を探求してきた。

そして、この個展「#copycat」で発表される新作では、AI画像生成サービス「Midjourney」を使用している。ブラウザでプロンプトを入力すると、差異のある4枚のイメージが同時に生成されるというインターフェースの仕様から、小林は、1つの指示から生まれた複数の差異を同一の作品個体であると提示し、AI時代での複製芸術のオルタナティブを示唆している。

ところで、AIがもたらす新しいインターフェースが表現の萌芽を生むように、19世紀にも同様の革新が起こっている。写真家エドワード・マイブリッジは、24台のカメラを設置して連続写真の撮影に成功し、肉眼では捉えきれない馬の運動を分解した。これにより馬の客観的な走行を白日の下にさらしたのです 。彼は、連続的に写真を投映する「ズープラクシスコープ」を発明し、後に映画の技術的先駆者となっていく。このように、マイブリッジの取り組みは人類に新たな「刻(とき)」の可視化をもたらす革新となっていった。

「刻が見える」とは、機動戦士ガンダムシリーズに登場する象徴的な台詞であるが、「ニュータイプ」と呼ばれる概念は、富野由悠季監督によって、単なる超能力者ではなく、言葉を超えた感覚や感情の共有を通じて相互理解を可能にする人類として定義されている。監督は違えど2025年の最新作「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」内でもこのフレーズは継承され 、ニュータイプが持つ多次元的な時間認識を強く継承している。マイブリッジが物理的なカメラ技術で時間を分解することによって人類に新たな知覚を与えたように、テクノロジーが人間個人の認識を拡張し、多次元的な認識を可能にすることと相似しているといえるだろう。

私は、小林健太が仕掛けるこの挑戦を、マイブリッジが物理的な写真メディア、富野由悠季がSFアニメーションというメディアで探求した人類の認識拡張の系譜で捉えながら、AI時代における私たちの空間認識の再定義を促す芸術実践であると考えるに至った。


個展『トーキョーデブリス』(2022、WAITINGROOM、東京)
会場風景 撮影:山中慎太郎(Qsyum!)



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巻頭特集ではフォトグラファー福岡秀敏が俳優・田中麗奈をLEDで撮り下ろし。さらに倭田宏樹、森山将人、川村将貴、須藤絢乃による現場事例や機材検証を通して、LEDライティングの実践的な活用方法を解説。「Aputure LED 4機種 実践検証」ではCOB型、パネル型、スポット型、ストリップ型という異なる光源を用い、静物撮影で検証。光の質や質感表現の違いを比較しながら、LEDライトの特性を具体的に探る。撮影と解説は中村雅也氏が担当した。

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