
フォトグラファー五十嵐隆裕 氏(SIGNO)と六本木スタジオによる、新しい写真教育プロジェクト「ロクスタアカデミー」。
そのローンチ回となる第1回セミナーが12月7日(日)六本木スタジオにて開催された。
会場には参加者総勢60名超。スタジオ全体が“学びの現場”として稼働する、濃密な一日となった。

「教えることは、自分の学びにもなる」
セミナー開催の挨拶で五十嵐氏は、
「教えることは自分の学びにもなる。今日は皆さんと一緒に僕自身も深めていきたいと思っています。
もし気になることや、わからないことがあったら、気軽にいつでも手を挙げて質問してみてください」
と語りかけた。
今回のテーマである Loopライト は、基礎となる最重要の光。
だが五十嵐氏が伝えたかったのは、型そのものではなく「光を理解し、再現するための視点」だった。
冒頭でまず大前提として、五十嵐氏が語ったのは
「スタジオライティングとは“太陽をつくること”。まずこれを理解することが大事だと思います」
スタジオは“ゼロから光を構築する場”。
朝の光、夕方の西陽、曇天での光…など、現実世界の光を観察し、その原理をスタジオで再現することがスタジオライティングであると語る。その言葉は、参加者の意識を一気に「光の本質」へと引き上げていった。
光の基礎から、Loopの応用までを段階的に理解する1日
セミナーは次のような構成で進行した。
■ オープニング
企画説明、スタッフ紹介に続き、五十嵐氏が「光の基礎理論」について語る。
光の物理、そしてモダンポートレイトにおける“5つの基本パターン”が紹介され。今回はその中でも基礎となるLoopライトを丁寧に紐解いていった。
■ 基礎Loop(実演①)

基礎セクションでは、まずは五十嵐氏から、Loopライトとは何か/Loopの成立条件など、光を作る前の“観察”の重要性が語られた。

五十嵐氏によるライブシューティング形式で行われ、参加者は息をのむほど集中。
今回のシューティングは「砂漠」をテーマにしたファッションポートレイト&ビューティ。
スタッフ陣が即興で考えたストーリーを組み立てていく。
五十嵐氏の他、スタイリスト・ヘアメイク・オペレーターの他、一般的な撮影と同様にスタジオスタッフ2名での撮影体制。
参加者はリアルな現場の動きそのものを体験できる仕組みだ。
■ 応用Loop(実演②)

昼食休憩&懇親会を経て午後は応用編へ。
Loopのバリエーションを紹介しながら、作画意図に応じて光の表情がどのように変化するかを実例とともに示した。
■ 参加型ミニ体験

次に五十嵐氏が組んだライティングを使って、参加者が被写体に指示を出しながらシャッターを切っていく。
同じライティングでも、撮り手が変われば、少しの角度変化や声がけなど、あらゆる要素で写真が変化する。
体験撮影では全員が同じ光で撮影しているにもかかわらず、仕上がる写真は驚くほど異なる。
五十嵐氏はその理由をこう語った。
「優秀なスタッフと素晴らしい被写体といい光があれば、あとは撮り手の選択することだけが残る。
写真は“選択する美学”でもありますよね」
さらに、参加者自身が実際に光を動かし、Loopが「成立する」「崩れる」の違いを体験。
参加者がスタジオスタッフ2名に実際に指示を出しながらライトを組んでいく。


■ Loop再現チェックリスト
五十嵐氏が、実務に応用できる“Loop再現のための視点”を共有。
技法の秘密ではなく、「何を見て判断するべきか」という考え方だけが整理されて伝えられた。
■ 質疑応答〜クロージング
技術、現場運用、クライアントワーク、フォトグラファーマインドに関する質問まで多岐にわたる質疑が交わされ、受講者の関心の深さが感じられた。
スタジオ全体がひとつの“現場”として動く
今回のセミナーには、Nikon(Nikon Z9とレンズ)、Profoto(LED照明機材)、EIZO(会場設置モニタ)、ライトアップ(ワイヤレス送信システム)などが協力提供された。





「光は生がいちばん美しい」
濃密な1日の中で印象的だったのは、五十嵐氏が語ったこの言葉。
「まずは生の光で考える。光は生がいちばん美しい。」
ディフューザーや紗幕をどう使うかを考えるより、まずは生の光を正しく読み、あてること。これは被写体へのリスペクトにもつながっていくという。
「The best way to learn is to teach(学ぶ一番の方法は、教えることだ)」
セミナー冒頭で「教えることは、自分の学びにもなる」と述べた五十嵐氏。
クロージングの挨拶ではこう述べた。
「学んできたものを伝えるのが自分のミッション。学ぶ一番の方法は教えることだと思っています」
この言葉こそ、ロクスタアカデミーの存在意義を象徴しているようだ。
光を“学問”として扱うという挑戦は、写真文化の更新そのもの。
シリーズ全5回として構想される今プロジェクトの今後に、期待が高まる。
次回開催は来年2月ごろを予定。
告知はロクスタアカデミーWeb及び、各種SNSにて。
この日に撮影した作品の一部は五十嵐氏のInstagramにて紹介されている。
■ 開催概要
【ロクスタアカデミー】ライティングの5つのパターン #01 Loop
講師:五十嵐隆裕(SIGNO)
日時: 2025年12月7日(日)10:00〜16:30
会場: 六本木スタジオ(東京都港区六本木4-6-9)
Webサイト:https://academy.roppongi-st.co.jp/
Instagram:@roppongi.studio
主催:六本木スタジオ
協力:SIGNO
協賛:プロフォト/テイク/EIZO/ライトアップ
機材協力:ニコンイメージグジャパン
撮影スタッフ
ST:Hiromi Takeuchi
Hair:Tetsuya Yamakata
Make up:TOMOMI NAKAMURA
Model:SOTA NAKAGAWA(TOMORROW TOKYO)
■ 講師プロフィール
五十嵐隆裕(SIGNO)
緻密なライティングと深い表現力で知られる。広告・ファッション・ビューティーなど幅広いフィールドで活躍し、現場での判断の速さや、レタッチ・レイアウトまで見据えた制作スタイルにも定評がある。近年はムービー制作にも活動の幅を広げている。
https://signo-tokyo.co.jp/
Instagram:@520_igarashi

特集「LEDライト最新活用術」&別冊付録「CM・映像 キャメラマン&ライトマンファイル 2026」。
巻頭特集ではフォトグラファー福岡秀敏が俳優・田中麗奈をLEDで撮り下ろし。さらに倭田宏樹、森山将人、川村将貴、須藤絢乃による現場事例や機材検証を通して、LEDライティングの実践的な活用方法を解説。「Aputure LED 4機種 実践検証」ではCOB型、パネル型、スポット型、ストリップ型という異なる光源を用い、静物撮影で検証。光の質や質感表現の違いを比較しながら、LEDライトの特性を具体的に探る。撮影と解説は中村雅也氏が担当した。
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2025年12月24日発売のKing & Prince 7thアルバム「STARRING」。本企画では、収録曲それぞれを“架空の映画の主題歌”に見立て、1曲につき1本の特報映像を制作するという前例のないプロジェクトを徹底取材。本編は存在しないにもかかわらず、長編映画を想定した設計で10本の特報映像とポスターを制作。さらにレッドカーペットイベントや映画館での上映会まで展開するなど、アルバムの枠を超えた大規模なプロモーションとして構築されている。特報・ポスター制作全体のプロデューサー加藤諒氏をはじめ、3人の映像監督、アートディレクター、フォトグラファーが参加。企画設計の背景と制作プロセスをそれぞれの立場から語る。
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