Blackmagic Video Assist 12G HDR Special Interview|藤代雄一朗(映像ディレクター)
2022年02月28日
新ボーカル・詩羽(utaha)を迎えた新生・水曜日のカンパネラ(以下WED)。「アリス」はWEDのMVを数多く作ってきた藤代雄一朗が演出を手掛ける。
映像の中にはこれまでのWEDのMVのオマージュと呼べるようなシーンが随所に散りばめられ、二代目ボーカルへの引継ぎの儀式のような内容に仕上がっている。
藤代監督は今回、WEDを作っていた時のように撮影と演出を兼務してミニマムなスタッフで制作した。
WARNER MUSIC JAPAN 水曜日のカンパネラ「アリス」
Interview 藤代雄一朗/映像ディレクター
ビューファインダーとしても活用
─6年ぶりのWEDのMV。今回はどのように撮ろうと思いましたか。
藤代 久しぶりにケンモチヒデフミさんの作るWEDのトラックを聴いて鳥肌が立ちました。ストレートな歌なのに映像にあてはめた時の気持ちよさがあり、一気にWEDのMVを作っていた頃の感覚が蘇ってきました。
今回は詩羽のお披露目の意味もあるので、彼女のくるくるかわる表情やチャーミングな魅力を盛り込もうと思いました。
─今回は自ら撮影も行なっています。今回はどういうセッティングで収録しているのですか。
藤代 カメラはフルサイズで最も小型のSIGMA fpを選びました。ただし、fpで収録するとデータが重くなるので、HDMI経由でBlackmagic Video Assist12G HDRを接続して、Blackmagic RAWで収録しています。
Blackmagic Video Assist12G HDRは高輝度のタッチスクリーン搭載なので、5インチのビューファインダーとしても活用しています。
メインは手持ちでしたが、ジンバルを使ったり、三脚でフィックスの画を撮ったりと設定やロケの場所によって使い分けて撮影していました。
─合成も含めて収録シーンの多い撮影ですね。
藤代 碓氷峠の素晴らしい景観を最大限活かそうと考えていました。衣装チェンジも多く、カット数は多かったのですが、Blackmagic RAW収録だとデータが重くならないので、ノートパソコンで編集できました。DaVinci Resolveと組み合わせることで、多重合成や巨大化するなどのギミックの演出にも役立っています。カラーグレーディングの時も自分なりのLUTを使っているのですが、全く問題なく使えました。
このセットは撮れ高とデータ量のバランスが最適で、実は2年前から自分で撮影する時はほぼこの組み合わせです。DaVinci Resolveも使いこなせるようになったので、しばらくこのセッティングで作れればいいなと考えています。
藤代監督の撮影セット。上部がBlackmagic Video Assist 12G HDR。
※この記事はコマーシャル・フォト2022年1月号から転載しています。