Blackmagic Pocket Cinema Camera 6K PRO Special Interview|田島一成(フォトグラファー)
2022年07月20日
《MIRRORLIAR FILMS》は、クリエイターの発掘・育成を⽬的で生まれた短編映画制作プロジェクト。今回のSeason 1には9⼈の監督が集結。このプロジェクトの中で安藤政信監督の「さくら、」を田島一成氏が撮影している。
映画「さくら、」 Interview
田島一成/フォトグラファー
内蔵NDフィルターが使いやすい
─今回はBlackmagic Pocket Cinema Camera 6K PRO(以下6K PRO)とBlackmagic Pocket Cinema Camera 6Kで撮っています。このカメラを選んだ理由を教えてください。
田島 機動性があって使い勝手がいいカメラだからです。今回はロケ地が何十ヵ所もあったのですが、狭いところにも入れますし、移動して何度もセッティングするため、その軽さが役に立ちました。また6K PROはNDフィルターを内蔵しています。ボタン操作で4ポジション(クリア、2-stop、4-stop、6-stop)の減光が可能で、現場の状況に合わせて設定を変えられるので使いやすかったですね。
─6K PROを使ってみた感想を教えてください。
田島 以前も何度か使ったことがありますけど、手ごろな価格で手に入るカメラにもかかわらず、ハイライトから暗部までしっかり情報が残っていて高精細な絵が撮れる。使いやすくていいカメラだと思います。劇映画でも充分使えますよ。
─実際どのように撮っているのですか。
田島 ほぼ三脚でフィックスの絵を撮っています。メインは2台、シーンによっては3台で撮りました。撮影は4日間。予算に限りがあるので、撮影日数を短縮するために、1日あたりの撮影内容を詰め込んで撮っていました。
─安藤監督の映画を撮ることになった経緯を教えてください。
田島 安藤政信さんとは以前から親しくしていて、安藤さんが山田孝之さんの依頼で映画を作ることになったということで、誘われて撮ることになったのです。
僕自身も劇映画を撮るのは初めてだったのですが、安藤さんも初めての監督作品で、一緒にロケハンしたり、スタッフとのコミュニケーションを手伝ったりすることから始めました。あとはシーンに合わせたライティング方法を提案するぐらいでした。安藤さんは写真を撮る方なので、映像の具体的なイメージを自分の写真で見せてくれました。絵作りに関しては監督の要望に応えるだけでした。カラーグレーディングでも、今回僕の個性は控えめに監督の作りたい世界観を表現しました。
─初めて映画を撮った感想はいかがでしたか。
田島 CMやMVなど短い尺の中で限られたお芝居を何十年も撮ってきましたが、長編で長台詞のお芝居をじっくり撮影できて感動しましたね。特に山田孝之さんがすごかったです。朝起きてそのシーンに至るまでに何をしてきたのかといった、シナリオにないことまで自分で考えて演じている。役者の本気のすごみを感じられたのはいい経験になりました。
※この記事はコマーシャル・フォト2022年4月号から転載しています。