Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K| DaVinci Resolve 19
渡邊雅紀(シネマトグラファー)

乃木坂46の久保史緒里氏が演じる入巣と平祐奈氏演じるルカが、W主演を務める青春映画『ネムルバカ』。漫画家・石黒正数氏の世界を再現しながら映画でしか表現できない「青春」を描き出すためにシネマトグラファーの渡邊雅紀氏が試みたこととは。
映画『ネムルバカ』デジタル配信中
Blu-ray&DVD発売中
Cinematographer: Masaki Watanabe

ステージの熱量もドラマも鮮やかに
——阪元裕吾監督と撮影について。
渡邊 阪元監督の過去作品『ベイビーわるきゅーれ』は手持ちや長回しシーンが多かったですが、今回はどっしり構えて、色とカットを細かく割った組み立てで見せたいという要望がありました。レンズが曇りそうなぐらい熱気のあるライブ動画を参考にするなど、阪元監督は色々な方向から映画や音楽へのアプローチを教えてくれました。
——Blackmagic Pocket Cinema Camera 4Kを選んだ理由は?
渡邊 基本的にはワンカメで、テスト撮影の時間も少なかったので使い慣れているカメラを選んでいます。リグから外してRoninのRS2に乗せれば素早く移動できるようなシステムを作りました。一度全部バラしてジンバルに乗せ替えるのは大変なので、時間短縮に役立ちました。

——色作りについて教えてください。
渡邊 LUTを事前に作ることもありますが、今回は純正のRec.709のルックで撮影しています。LUTを事前に作って現場でモニタリングすると仕上げがイメージしやすいですが、準備がない中でそれをやってしまうと、どうしても基準がわからなくなる。露出計で計測した光と、モニター上に出ている明るさや暗さはどうしても感覚でズレが生じるので、そういう時は最適化された純正のルックを使用した方がいい時もあります。
——カラーグレーディングについて。
渡邊 女優さん2人をきれいに撮るということだけでなく、キャラクターのダウナーな空気感は残さないといけない。日常感やリアリティのニュアンスをどう魅力的に撮るかのバランスですね。どんなに暗くても2人の顔はきちんと見えるように、現場でも意識しつつ、あとでグレーディングの時にDaVinci Resolveで色を調整しました。室内の照明はAputureのライトで対応して、なるべく柔らかいライティングにする方針で、寄りになったらトップライトもディフューズするなど、細かい調整をしています。

—— 一番好きなシーンはどこですか。
渡邊 ライブハウスのシーンです。入巣がスマートフォンを持って撮影した映像によってもみくちゃにされるライブの臨場感を表現することで、主人公がうっかり巻き込まれてしまうという感覚を作り上げることができました。また、映画のなかで、「あちら側」と「こちら側」を分断する表現にも挑戦しています。主人公のルカと他のメンバーがレコード会社の壁で分けられるシーンや、最後のライブシーンで観客席の入巣とステージのルカが横顔で対比されるシーン。原作の漫画だと2人が見つめ合う一コマなんですが、映画では2人の背景をぼかして真横から撮ったら、原作に忠実に再現できると考えました。

※この記事はコマーシャル・フォト2025年11月号から転載しています。

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