Blackmagic Design Special Interview

ⓒ2023 KADOKAWA ⓒT.N GON Co.,Ltd.

色鮮やかなファーストカットから始まる戦国スペクタクル超大作「首」。
北野武作品の特徴の1つでもある”キタノブルー”をさらに深く、そして新たな色合いを添えたのはカラリストの山下哲司。
「フィルムタイミング」出身だからこそ引き出せる映像本来の力が、血と泥に塗れた本能寺の演者たちを生々しく描き出しているのかもしれない。

ⓒ2023 KADOKAWA ⓒT.N GON Co.,Ltd.

原作=北野 武『首』(角川文庫/KADOKAWA刊) 
監督・脚本・編集=北野 武 Pr=福島聡司 
撮影監督=浜田 毅 TC=山下哲司 
配給:東宝 KADOKAWA 製作:KADOKAWA

ⓒ2023 KADOKAWA ⓒT.N GON Co.,Ltd.

山下 北野映画には憧れがありましたしいい機会をいただけました。”キタノブルー”というキーワードを自分がどう受け取るかという緊張感がありました。

山下 テスト前に一度LUTを作って、撮った素材をスクリーンで確認してルックのブラッシュアップをしています。僕の場合、ルックは1つ決めてそこから全体を見据えていきます。もともとフィルムタイミング(ネガフィルムからポジフィルムを焼く際に1カットずつ色や明るさを調整する作業)出身だからか、基準となるルックの作り方やカットごとの繋がりの調整にこだわりが出てしまうのかもしれません。

山下 ファーストシーンには時間をかけているのですが、ルックは第一印象で決まるところがあるので、ああいうインパクトのあるシーンが冒頭にくると「この作品はこんな世界観でいくぞ」という主張が入れられる気がしてカラリストとして嬉しいですよね。また映像自体に凄みを出したかったので、回想シーンで採用した銀残しトーンもこだわりました。信長が刀で団子を食わせるシーンでの血の赤は色を抜かないようにしているのも、DaVinci Resolveだけで表現できています。イメージしたことが柔軟にぱっと作り込めるところは助かっています。

山下 僕はあのシーンが一番好きです。なんだか夢のように美しいシーンで、信長の表情も素晴らしく、ずっと観ていたくなるような映画の魅力を感じます。それぞれの色がブルートーンでありながら、その中で効果的にアンバーの光があたっている。そういう撮影現場のこだわりをしっかり届けることを考えながら基準を決めていました。

山下 このソフト1つで色の編集だけでなく様々なトレンドを見据えた作品作りができることですね。たとえばいまは映像の”質感”が意識されているように感じているので、粒子感やシャープネスコントロールでイメージ通りの画を作る。スタンダードでシンプルな作り方をしたい時にも使いやすいし、スピード感もあると思います。

山下 デジタルでなんでもできる時代ではありますが、今回のように画作りの軸足はフィルムに置き、フィルムの画を常に目指していきたいです。カメラセンサーの性能が上がり、より奥行き感のある豊かな画作りが可能になったように、カメラ側のポテンシャルの向上にともなってカラリストとしてやるべきことが増えてきたと感じています。

※この記事はコマーシャル・フォト2024年4月号から転載しています。


特集「LEDライト最新活用術」&別冊付録「CM・映像 キャメラマン&ライトマンファイル 2026」。

巻頭特集ではフォトグラファー福岡秀敏が俳優・田中麗奈をLEDで撮り下ろし。さらに倭田宏樹、森山将人、川村将貴、須藤絢乃による現場事例や機材検証を通して、LEDライティングの実践的な活用方法を解説。「Aputure LED 4機種 実践検証」ではCOB型、パネル型、スポット型、ストリップ型という異なる光源を用い、静物撮影で検証。光の質や質感表現の違いを比較しながら、LEDライトの特性を具体的に探る。撮影と解説は中村雅也氏が担当した。

【広告特集】King & Prince「STARRING」のクリエイティブ

2025年12月24日発売のKing & Prince 7thアルバム「STARRING」。本企画では、収録曲それぞれを“架空の映画の主題歌”に見立て、1曲につき1本の特報映像を制作するという前例のないプロジェクトを徹底取材。本編は存在しないにもかかわらず、長編映画を想定した設計で10本の特報映像とポスターを制作。さらにレッドカーペットイベントや映画館での上映会まで展開するなど、アルバムの枠を超えた大規模なプロモーションとして構築されている。特報・ポスター制作全体のプロデューサー加藤諒氏をはじめ、3人の映像監督、アートディレクター、フォトグラファーが参加。企画設計の背景と制作プロセスをそれぞれの立場から語る。

【好評連載】
フォトグラファー生存戦略 Vol.36 小暮和音×黒田明臣「退路を断った行動から生まれた転機」
ゼウスのスチルライフマジック 高井哲朗 vol.60 イメージセンサーで描く未来の風景
長山一樹流 違いを生み出すコマーシャル・ポートレイト 第13回 建築とポートレイト
写真を楽しむスペシャリストたち 中野敬久 Vol.12 小髙美穂が考える写真の“今”
GLAY CREATIVE COLLECTION 2024 – VOL.21 TAKURO 4th SOLO ALBUM「May Love Guide Your Way」
Create My Book -自分らしいポートフォリオブックを作る- vol.19「ブツ撮り 記憶を感じさせる写真」金村美玖

ほか