ゼウスのスチルライフマジック Vol.40

高井哲朗が
スタジオスチルライフ撮影の
アイデアと 愉しみを 伝授
創造主ゼウスのように
光を操って 宇宙を創造しよう
スチルライフ それは あなたが
神になれる世界

高井写真研究所の入居していたビルが取り壊しとなり、

撮影用に新しく借りた部屋は、自然光が降り注ぐワンルーム。
ここでの初撮影は、ネイリストの木庭亜貴子さんとのフォトセッション。
まずは自作のネイルチップを木庭さんが撮影。
さらにそのネイルをつけた木場さんの手を、ゼウス高井が撮る。

ネイル & Photo : 木庭亜貴子

ネイリストの木庭亜貴子さん

彼女が ゼウスクラブに 初めて来たときには
“アクセサリー ネットで売ってるんだ”
って言って 写真撮ってたな

会社に勤めていながら 自分も何かを作ってみたいと
いろいろ 考えていたんだろう

勤めながら ネイリストの試験にチャレンジ

先日 ネイリスト検定 昇級して 

現在 ネイリスト検定1級 ジェルネイル初級

まだ これからも
上を目指して 勉強中らしい

今回も
“自宅をお店にして亜貴子ブランド 確立したい” と
ネイルチップを 持ってきた

そんなこともあって 引っ越したばかりの
新しいスタジオで 撮影することになったんだけど

ただ 並べて 普通に撮ると
なんか 面白くないって 言うもんだから
ちょっとだけ 光の使い方 アドバイスしてあげた

窓からの 光
キラキラ 入ってきたからね
自然光 ライティング

何を 試してみようかな

ライティングの組み立て             

カメラ:Canon EOS R6/EF100mm F2.8Lマクロ IS USM 1/160秒  f11  ISO100

ベランダから光が射すフロアの床に、白いボードを敷き、
ネイルチップを並べて俯瞰から撮影。
自然光のみ。
左側の窓から午後の柔らかい光が全体にあたっている状態。
下に丸いスタンドミラーを置き、窓からの光を反射して、
ネイルチップにあてる。
鏡とネイルチップの間にガラス球(真球・楕円球)を置き、
鏡の反射光の一部を透過させる。
ガラス球自体も窓からの光を反射するので、鏡とガラス球を動かして、
光と影のバランスを探っていく。
撮影中の木庭さん。ネイルを並べて窓からの自然光に鏡レフ、ガラス球の反射を加える。

ZEUS’S STILL LIFE MAGIC

Photo:Tetsuro “ZEUS” Takai

白金のスタジオから 新宿のスタジオに 引っ越したんだけど

このスタジオ 昼間は 光が綺麗に入るから
自然光を うまく利用して 撮影することにしたんだ

斜めの壁の 窓からの光
それを背景にして
亜貴子さんの手に ネイルをつけてもらって撮影する

そのままだと 手は陰になり 暗すぎるから
ストロボを 発光して バランスを 保つ

“太陽はひとつ ライティングは 1灯ライトが理想”

なんてこと 言ってる写真家も 多いけど
そんなことは 関係ない

ゼウスは 好き勝手に 光を弄る

ステージに 立っている人に
スポットライトあてる 感覚なんだな

光は 有効に
必要なところに
たっぷりと あてる

そうすれば そこが 注目されるからね

光輝く スターだ

さて ライティングは 完成だけど
それだけでは つまらないから
遊びのアイデア 思いついた

ここに 影を作ろう

擬似影を ね

亜貴子さんの 手の影は 実際には 画角に入らない
そこで 手タレ もう1人登場

形をなぞって そっくりそのままだと
本当の影に見える

まったく違う 動きをしても

それはそれで 面白い

光は 1方向だけではない
だから できる 光の遊び

ゼウス マジック 面白いでしょ

ライティングの組み立て             

ライト:❶ broncolor Striplite 60 Evolution ❷  broncolor Boxlite40 ❸Aputure LS 60X Pro
カメラ:Canon EOS R6/EF100mm F2.8Lマクロ IS USM 1/160秒  f10  ISO100

窓から差し込む自然光のみの撮影。
手には直接、光があたらないため、逆光のシルエットとなる。
右からの縦長ボックスライト❶を入れ、腕右側面のシャドーを起こす。
正面から小型ボックスライト❷を加える。
❶❷のライトだけでは、閉じた手のひらとネイルの明るさが出ないので、
LEDライト❸をスポットで入れる。
フェイクの影を入れて完成。
影の入り方/形で写真に様々なニュアンスを加えられるのが、
このフェイクシャドーのポイント。

スタジオには、斜めになった壁の窓から陽が差し込むコーナーがある。
午後の斜光が奥の壁に面白い影を作っていたので、そこに撮影台を置いて撮影をすることにした。
手タレも木庭さん自身にお願いした。
自作のネイルチップをつけていく。
撮影台右からの、長方形ボックスライトとLEDライト。
ボックスライトは、立てた腕の側面全体にあたるように配置。
LEDは手のひらとネイルにスポットをあてる。
被写体の手は壁に影を落とさないが、奥の人物が手をかざせば、フェイクの影ができる。
ニセの影だから被写体の手に形を揃えた影(下作例 )でも、全く別の形の影でも自由自在。
30cm×20cmの小型ボックスライト。
壁にできた自然光の影を消さないように、カメラ横から角度をやや下向きにして弱く照射。

木庭亜貴子( Akiko Koba)
ネイリスト
アパレル販売員やアクセサリーバイヤー、OLを経て、2022年プライベートネイルスタジオ「a.」開業。シンプルでもおしゃれに見えるカラーやデザインの提案が得意。
instagram:@a.co127_nail

高井哲朗
たかい・てつろう/1978年 フリーとして活動開始。1986年(株)高井写真研究所設立。広告写真を中心に活動するかたわら、ゼウスクラブを開催し、写真の可能性を伝導する。
www.kenkyujo.co.jp/
x.com/tetsurotakai

コマーシャル・フォト2024年08月号記事より

ゼウスのスチルライフマジック 記事一覧

コマーシャル・フォトで好評連載中の「高井哲朗/ゼウスのスチルライフマジック」がMOOKとしてまとまりました。
化粧品のボトル、ジュエリーから自転車、バイクまでさまざまな「ブツ撮り」に挑戦。

Vol.1
「ゼウスのスチルライフマジック

プロフェッショナルスタジオライティングのアイデアと実践」

Vol.2
「光を操るスタジオ・スチルライフ ライティングのアイデアと実践」

【特集】「自然光を生かした新時代のポートレイトライティング」
PART1では、上村窓、ヨシダキヅク、小見山峻、佐野円香の4名が、それぞれの作品を通して“新時代の自然光ライティング”を解説。PART2では中野敬久が俳優 宮﨑優を撮り下ろし、自然光撮影の実践テクニックを紹介します。自然光のメリット・デメリットを理解し、ポートレイト撮影の幅を広げたいフォトグラファーに向けた保存版特集。

【FEATURE】
柿本ケンサク × 志尊淳 志尊淳アニバーサリー写真集『final』
12月に発売された志尊淳アニバーサリー写真集「final」。撮影を担当した映画監督・映像作家として活躍する柿本ケンサクと、俳優・志尊淳による対談企画。写真集『final』の撮影背景、テーマ設定、ビジュアルづくりの裏側を語り合う。2人だからこそ語れる、創作への向き合い方や撮影現場の空気感が詰まったインタビュー。

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ほか