ゼウスのスチルライフマジック Vol.43

高井哲朗が
スタジオスチルライフ撮影の
アイデアと 愉しみを 伝授
創造主ゼウスのように
光を操って 宇宙を創造しよう
スチルライフ それは あなたが
神になれる世界

クロカワリュートさんは2019年、フリーのフォトグラファーとして独立。

カラフルな色とグラフィカルな画面構成で、広告、ファッションなどのジャンルで活動している。

クロカワさんが被写体として選んだのは、LOEWE×sunafujitaのワオキツネザルのムートンバッグ。

ぬいぐるみのような被写体で「カワイイ!」に挑戦。

Photo:クロカワリュート

リュートくん
ずいぶん前から SNSでの投稿 見ていて
キレイな写真だなって 思っていた

でも なんでだろう? 「写真」って感じと違う
色の使い方 なのか? 構成 なのか?

最近は YouTubeライブ配信など
活動的に動いていたから
ちょっと ゼウスクラブに誘ってみた

なんと 学校は 写真専攻ではなくて
ジュエリーの専門学校 行っていたんだね

だからかな
写真的な「光と影」 っていうのとは
考え方から 違うのかな
立体的に捉えるんじゃなくて 平面的に構成していく
グラフィカルな表現

色使いが とても可愛い
それが ヒットしたのか 写真の仕事が増えて
プロフォトグラファーとして 順調なデビュー

最近では 個展も開催して
どんどん積極的に 行動している
だから 一緒に何か撮ろうよ ってね

でね ぬいぐるみ なんてどうかな?

リュートくんの彼女の お気に入り
ワオキツネザルの バッグ登場

どんな 撮り方
見せてくれるんだろうな 楽しみだね

ライティングの組み立て             

ライト:❶broncolor Pulso G(サンライトチューブ) ❷broncolor Pulso G+80×80 Soft Box 
カメラ:Canon EOS R6 レンズ:EF24-105mm F4L IS USM 1/125秒 f8 ISO160

カラーペーパーを背景に、テグスでバッグを吊るす。
ベアバルブ状態のライト❶のみでライティング。
天井にも光がバウンスして被写体、背景に光が回る。
背景に被写体の影を落とさないのがポイント。
左サイドからのソフトボックス(バンクライト)❷。
出力は弱めでシャドーを軽く起こす程度。
また仕上げで入れる観葉植物の影を薄くする役割。
ライト❶+❷。ライティングの完成。
ここに観葉植物の影を足していき、画面に奥行き感を出す。

ライトは左サイドからのベアバルブと、80cm×80cmのソフトボックスの2灯。
ベアバルブは高い位置のセット。
発光管から周囲に照射された光を、天井や壁にバウンスさせる。
ベアバルブの光だけだと、観葉植物の影を入れた時、濃くなりすぎる(写真左)。
そのため同方向からソフトボックスのディフューズ光を全体に回して、
影の濃度を抑える(写真右)。
画面に写し込む植物の葉を検討するクロカワさん。
あえて平面的でグラフィカルなライティングをした上で、
レイヤーを重ねるように画面の奥行きを出してゆく。
本番撮影では背景に落とす影に加えて、レンズ前にも花や葉をかざして前ボケを入れている。

バリエーションでさらに1カット撮影。
こちらはピンクのバックペーパーの後ろから、フルカラーLEDの赤い光を強く入れたシルエット表現。
葉の影もペーパーの後ろから影絵のように入れた。

ZEUS’S STILL LIFE MAGIC

Photo:高井 “ゼウス” 哲朗 

住んでたところが
山々に囲まれた いわゆる ど田舎だったので
遊び場所は 山 川 友達は 犬 猫 小鳥 魚
捕まえて 飼ったりしてた

山の中には サル タヌキ キツネ
遭遇する獣は いっぱいいたな

何でもかんでも 素手で 捕まえて
ペットにしたりして オモチャ代わりだった

キツネはね 穴倉があって そこに住んでたな
お狐様って みんなに可愛がられてた

尻尾が 垂れた稲穂に似ていることや
米を食べる ネズミを退治するから
大切にされてたんだ

稲荷神社に 祀られている神様
宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)
お稲荷様なのね
キツネは 神様のお使いなんだ


ワオキツネザルって キツネなんだか サルなんだか
だけど 尾っぽが立派だから 神様の 使いかもね

この尾っぽが 輪っかに 見えるから
「輪尾」キツネザル なんだってさ
顔は白黒 パンダみたいだし キュートだなぁ

ワオキツネザルのバッグ
リュートくんの彼女は 神様のお使い 腕に下げて
可愛い服 着て お出掛けかな

白と黒の コントラストが遠くからも目立って
ルンルン だろうな
どんな色でも お似合いだ

可愛いバッグ なに入れるんだろう

そんなこと 想像しながら 撮ってみた

毛並みは しっかり 硬めの光を入れて
全体としては 柔らかく包み
背景は 薄手のグリーンに
奥行き出すために ブルーグリーンの光を足す

ちょこんと 座って ご主人待ちの 可愛い子
尾っぽ ピーンと立てて
中身 出された 背中に 開いたファスナーの金具 見せて
ちょこんと 座ってる

かわい子ちゃんの 記念写真だよ

ライティングの組み立て             

ライト:❶ amaran 300c ❷ broncolor Pulso G(サンライトチューブ)
    ❸ broncolor Pulso G+80×80 Soft Box ❹ Aputure LS 60x
カメラ:Canon EOS R6
レンズ:EF24-105mm F4L IS USM 1/20秒 f6.3 ISO100

グリーンの布の背後からLEDライト❶を照射して、背景を作る。
ベアバルブ状態のライト❷を加える。
被写体の近い位置からの逆光で、
ベアバルブの硬い光が毛並みをシャープに描写する。
ソフトボックス❸の面光源を全体にあてる。
人物ポートレイト撮影で言えば、カメラに向けた顔の広い面が
シャドーになるショートレンブラントのような状態。
人物ポートレイトなら上のような写真も重厚な雰囲気があってよいのだが、
今回は可愛いぬいぐるみ(バッグ)ということで、
LEDライト❹のスポット光で右側のシャドーを起こす。
スポットの光が椅子の背や観葉植物に影響しないように、
照射角度調整とバーンドアで光の範囲をコントロールした。

背景の布の後ろからフルカラーLED1灯、左サイドからベアバルブとソフトボックスのストロボ2灯、
右サイドからLEDのスポット1灯、計4灯のミックス光ライティング。
テグスで吊った尾の角度や向きを調整するゼウス高井。
スチルライフ撮影では、被写体をどのようにセットするかが、ライティングと同じくらい重要。
ゼウスも毎回、この作業に時間をかける。
左サイドのソフトボックスとベアバルブ。
ベアバルブは被写体のごく近い位置から、直射光が逆光気味に入る位置にセット。
その硬い光を柔らげるため、ソフトボックスの光を全体にあてる。
バッグ右側面のシャドーを起こすため、右サイド、被写体とほぼ水平位置から
LEDライトでスポット光を打つ。
使用したAputure LS 60xは15〜45°の範囲で照射角度を調整可能だ。
バックグラウンドライトにはフルカラーLED Amaran 300c を使用。
スマホからアプリを使って色の調整ができる。
今回はブルーグリーンの発色に設定。
アザーカット。
手持ちで顔をアップを撮影。

クロカワリュート
広告領域を中心に活動中。デザインやアートディレクションも行ない、最近では映像制作も始めたマルチなフォトグラファー。SNSやYouTubeでも積極的に発信をしている。
X:@ryuto_kurokawa

高井哲朗
たかい・てつろう/1978年 フリーとして活動開始。1986年(株)高井写真研究所設立。広告写真を中心に活動するかたわら、ゼウスクラブを開催し、写真の可能性を伝導する。
www.kenkyujo.co.jp/
x.com/tetsurotakai

コマーシャル・フォト2024年11月号記事より

ゼウスのスチルライフマジック 記事一覧

コマーシャル・フォトで好評連載中の「高井哲朗/ゼウスのスチルライフマジック」がMOOKとしてまとまりました。
化粧品のボトル、ジュエリーから自転車、バイクまでさまざまな「ブツ撮り」に挑戦。

Vol.1
「ゼウスのスチルライフマジック

プロフェッショナルスタジオライティングのアイデアと実践」

Vol.2
「光を操るスタジオ・スチルライフ ライティングのアイデアと実践」

【特集】「自然光を生かした新時代のポートレイトライティング」
PART1では、上村窓、ヨシダキヅク、小見山峻、佐野円香の4名が、それぞれの作品を通して“新時代の自然光ライティング”を解説。PART2では中野敬久が俳優 宮﨑優を撮り下ろし、自然光撮影の実践テクニックを紹介します。自然光のメリット・デメリットを理解し、ポートレイト撮影の幅を広げたいフォトグラファーに向けた保存版特集。

【FEATURE】
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12月に発売された志尊淳アニバーサリー写真集「final」。撮影を担当した映画監督・映像作家として活躍する柿本ケンサクと、俳優・志尊淳による対談企画。写真集『final』の撮影背景、テーマ設定、ビジュアルづくりの裏側を語り合う。2人だからこそ語れる、創作への向き合い方や撮影現場の空気感が詰まったインタビュー。

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ほか