ゼウスのスチルライフマジック Vol.48

高井哲朗が
スタジオスチルライフ撮影の
アイデアと 愉しみを 伝授
創造主ゼウスのように
光を操って 宇宙を創造しよう
スチルライフ それは あなたが
神になれる世界

写真家の中古 樹さん。
仕事では都市の建築を撮ることが多いが、登山家でもあり山の写真も多く発表している。

今回はそんな中古さんと、登山グッズのスチルライフ撮影。

ゼウスのマンションスタジオにテントを張って登山気分を盛り上げたら、ピッケルをメインに撮ってみよう。

Photo:中古 樹

中古くん
山が好きで 日藝にいる時から 撮る写真は 全部 山
美しい山々の写真 神々しい自然
眩しい光を受けて 山肌が輝いていた

でも 山岳写真だけでは 生活できないから
建築事務所に 就職して 建築写真を 撮っていたみたい

建築系写真展で ばったりと会い
最近 どうなの? と 話したら
ちょっと スチルライフに興味あり
なんて 言うから ゼウスのページ 誘ってみた

それで 登山用品 いろいろ持って来てくれたんだけど
どう撮っていいのか わからなさそう
なかなか 決まらない

いつもの 山の写真 風景写真なら
太陽の神さまが 素敵な光を 演出するのを ひたすら待って
美しい瞬間を 撮るのだけど
自分が 光を演出することは 考えてこれなかったので
ずいぶん 迷ってるようだった

だから 言ってやった

スチルライフは 自分が 光を演出するんだ
自分が 神に なるんだ
創造の神 ゼウスに ね

さぁ どんな世界 作るんだろう

ゼウスのスチルマジック
創造する あたらしい世界

ライティングの組み立て             

ライト:❶broncolor Striplite 60 Evolution ❷Broncolor Pulso Spot 4
    ❸ broncolor Picolite+Picobox ❹broncolor Pulso+P70 standard reflector
カメラ:Nikon D850 レンズ:PC-E NIKKOR 24mm f/3.5D ED 1/125秒 f16 ISO64

撮影台の上にテントを張り、銀色の(寝袋用)マットを敷き、
ピッケルを置いて寄りで撮影。
テント外側からバーライト❶を照射。
ライトをテントに密着させて画面左上に明るい部分をつくる。
スポットライト❷をピッケルのヘッドと柄のつなぎ目部分にあてる。
小型ボックスライト❸でピッケル全体を描写。
テント外側の少し離れた位置から直トレのリフレクターライト❹をあてる。
テントがライティングボックスの役目をして、内部全体に光が回る。

バーライトとリフレクターの2灯はテント左側からテントのナイロン地を透過させる。
小型ボックスライトと左上からのスポットはピッケルに直にあてている。
テント外側の2灯。
トレペを貼ったリフレクターライトを少し離れた位置に置いてテント内に光を回し、
下のバーライトはテントに密着させて光を回さないようにしている。
左:黒布なし               右:黒布あり

テント内に光が回り過ぎないように、テント入り口に黒布を垂らしている。
これでマットの凹凸のシャドーが締まり、立体感を出てくる。
撮影中の中古さん。「実際に山で見たらこんな感じかな」という想像をしながら、
スタジオに張ったテントをあえて画角に入れずに、寄りで撮影。

ZEUS’S STILL LIFE MAGIC

Photo:高井 “ゼウス” 哲朗 

ピッケルは 山を歩む者の 手に宿る支え
氷を打つことで 歩みを安定させ
雪の斜面で バランスを保つ

急な山を登るとき
ピッケルは 足元に寄り添い 力を分けてくれる

滑り落ちそうなとき その先端が大地に食い込み 命をつなぎ止める

仲間が困っても ピッケルは救いの手となり
雪や氷の中から 希望を掘り起こす

その全てが 山の中で生きるための 静かな 守り手

ピッケルは 山に 登るための
象徴的な道具

山のイメージ写真は
この ピッケルを 中心にして作ってみた

以前の白金のスタジオに
なぜか ながらく 守神のように神座していた
石神様を 持ち込んで
その岩肌に 食い込むように ピッケルを 組み合わせた

月光に 照らされたように
深い青を LEDライトで照射

赤いシャフト 黒光りするピック
部分部分で ハイライトを入れる

背景には テント
靴を脱ぎ 寝袋に入ろうとする そんな時間

消えかかった 焚き火の煙が 風に流れ
星々が 天に またたく
風が 耳を撫で テントは 温もりで満ちて

空気が 澄み
深く息を 吸い込めば 大地にとけこむような
心の中で 何かが満ちていく

山の息吹と 共鳴し 時間が ゆっくり流れ
夢の中に 頂の風を感じる

“ここにいる”こと

その瞬間に 満ちる静寂
神聖な 山々に抱かれ 眠ることの 素晴らしさ
なんという 幸福感

ライティングの組み立て             

ライト:❶broncolor Pulso+P70 standard reflector ❷broncolor Pulso Spot 4
    ❸broncolor Striplite 60 Evolution ❹broncolor Picolite+Picobox ❺amaran 300c
カメラ:Canon EOS R6 レンズ:EF24-105mm F4L IS USM 1/80秒 f8 ISO125

ライト❶をテント後ろから入れてランタンのような灯りをつくる。
ライト❷で靴と寝袋の一部に強いスポットをあてる。
石の左側からバーライト❸をあてて、ピッケルの柄に直線的なハイライトをつくる。
石の後ろから小型ボックスライト❹を照射。
このライトは石とピッケルにはほとんど効いていないが、
石を置いた白い撮影台にバウンスして、テント手前の黄色い寝袋を明るくする。
これで背景のシャドーに溶け込んでいたピッケルの黒い先端の形が見えてくる。
カラーLED❺をあてて、石とピッケルを浮かび上がらせる。
本番はこのライティングの状態で、スモークを入れて撮影。

セット全景。
テントを背景にして石の上に置いたピッケルを撮る。
背景(テントと靴)に2灯、石とピッケルの周囲に3灯の計5灯ライティング。
ちなみに石は軽石で大きさの割に重くない。
シーンは夜。
テントの奥からトレペを貼ったリフレクターの光を弱く入れて、ランタンの灯りを演出。
靴にはピンスポットをあてた。
石の右手のLEDがメインライト。
左手バーライトはピッケルの柄のハイライト用、背後の小型ボックスライトは撮影台に
バウンスして、テント手前の寝袋を明るくする役割。
今回の秘密兵器、小型スモークマシンSmoke NINJA PRO。
SmokeGENIE社の新製品(取り扱いはアガイ商事)。
スモークが画面全体に回らないように、スタンドにラップを貼り、カメラ前にセット。
2枚のラップの間からレンズをのぞかせる。
本番撮影。
カメラ前に貼ったラップの手前から、ラップのシワに這わせるようにスモークを入れていく。

高井哲朗
たかい・てつろう/1978年 フリーとして活動開始。1986年(株)高井写真研究所設立。広告写真を中心に活動するかたわら、ゼウスクラブを開催し、写真の可能性を伝導する。
www.kenkyujo.co.jp/
x.com/tetsurotakai

コマーシャル・フォト2025年04月号記事より

ゼウスのスチルライフマジック 記事一覧

コマーシャル・フォトで好評連載中の「高井哲朗/ゼウスのスチルライフマジック」がMOOKとしてまとまりました。
化粧品のボトル、ジュエリーから自転車、バイクまでさまざまな「ブツ撮り」に挑戦。

Vol.1
「ゼウスのスチルライフマジック

プロフェッショナルスタジオライティングのアイデアと実践」

Vol.2
「光を操るスタジオ・スチルライフ ライティングのアイデアと実践」

【特集】「自然光を生かした新時代のポートレイトライティング」
PART1では、上村窓、ヨシダキヅク、小見山峻、佐野円香の4名が、それぞれの作品を通して“新時代の自然光ライティング”を解説。PART2では中野敬久が俳優 宮﨑優を撮り下ろし、自然光撮影の実践テクニックを紹介します。自然光のメリット・デメリットを理解し、ポートレイト撮影の幅を広げたいフォトグラファーに向けた保存版特集。

【FEATURE】
柿本ケンサク × 志尊淳 志尊淳アニバーサリー写真集『final』
12月に発売された志尊淳アニバーサリー写真集「final」。撮影を担当した映画監督・映像作家として活躍する柿本ケンサクと、俳優・志尊淳による対談企画。写真集『final』の撮影背景、テーマ設定、ビジュアルづくりの裏側を語り合う。2人だからこそ語れる、創作への向き合い方や撮影現場の空気感が詰まったインタビュー。

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乃紫Collaboration project with Canon EOS C50

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ほか