ゼウスのスチルライフマジック Vol.50

高井哲朗が
スタジオスチルライフ撮影の
アイデアと 愉しみを 伝授
創造主ゼウスのように
光を操って 宇宙を創造しよう
スチルライフ それは あなたが
神になれる世界

今年3月、プロフォトグラファーとして独立したばかりの永山航平さん。
今日は彼がスタジオスタッフとして勤務していたスタジオD21で、サングラスを一緒に撮ることになった。
勝手知ったるスタジオで、カタログ・広告の王道商品撮影のセットを組む永山さんに対し、
アウェイのゼウス高井は機動力&スピード重視。
コンパクトな雑誌出張撮影セットで対応。

Photo:永山航平

今日はスタジオD21で撮影

撮影時間前に 機材を置きに 寄ってみたら
スタジオには もう永山くんがいて
何もない空間で 考え事してた
まだ セットは組んでいない

それなら ちょっとランチしてくるね と言いながら
さて どうするのかな なんて 考えながら戻ってきたら

なんと センチュリーの柱を立てた
左右対称の綺麗なセット

このスタジオで 働いていた時から
いろいろ 研究したいたみたいで
真ん中に メガネが浮いていた
よく見たら テグスで吊ってある
空中に浮かすと
ライテイングしやすいからね

スタジオD21は
他のスタジオに比べて
商品撮影の現場も 時々あって
そうした撮影に立ち会い
コマ・フォトのライティング本とかも
研究しつつ
自分でも 色々撮っていたようだ

ライトの動かし方も スムーズ
ライティングのお手本みたいな
ちゃんとした 組み立て方

きちんとした
カタログ撮影するには
理想的な ライティング

さて その写真の仕上がりは
どうかな?

ライティングの組み立て             

ライト:❶❻broncolor Pulso G Head+P70 standard reflector ❷〜❺broncolor Picolite
カメラ:Canon EOS R5
レンズ:TS-E90mm F2.8L Macro 1/125秒 f11 ISO100

サングラスをテグスで吊り、宙に浮かせて撮影。
カラーフィルターを貼ったストロボ❶を背景の乳白アクリル板の後ろから入れる。
(Ph.01)
小型ストロボ❷〜❺を左右から均等に照射。
フロントトップからディフューザーパネル越しにストロボ❻をあて、
サングラス前面にハイライトを入れる。
ただしこのままだと光が回り、画面下のシャドーが締まらないため
Ph.01の背景下部分をレイヤー合成して仕上げた。

フロントトップ1灯、左右両サイドから各2灯、背景1灯。
ディフューズした光を黒板、黒ケント紙でカットして美しいハイライトを作っていく。
商品撮影の王道ライティング。
写真上が撮影中の永山さん。
背景ライトにはオレンジのカラーフィルターをかけて、乳白アクリル板越しに、
サングラスの真後ろから照射。
画面中心から周囲にかけて円形のグラデーションを作る。
フロントトップのライト。
直前のディフューザーを斜めにすることで、サングラスのレンズ面に斜めのハイライトを入れる。
その手前には黒ボードを置いて、余分な光をカットしている。
両サイドのディフューザーパネル内側には黒ケント紙を貼り、
サングラスの縁のハイライトをシャープにして全体のエッジを締める。
この細部の光の調整が商品写真の最終的クオリティをアップする。
黒ケントなし                               黒ケントあり

ZEUS’S STILL LIFE MAGIC

Photo:高井 “ゼウス” 哲朗  (Ph.05)

永山くんが きちんとした 撮影セット 作っていたので
ゼウスは 考えた

昔よくやった 雑誌撮影
簡単 早い 撮影セット 組んでみようとね

雑誌撮影って 速ければ 早いほど
編集の人 喜ぶんだよね

「え? もう 終わったんすか」
「素晴らしい」 ってね
「速いのも才能」 なんて 言われてた

雑誌って 100カット 200カット
1時間 ぐらいで
撮らなきゃいけないことも あるからね

ポイント押さえて スピーディーにするのさ

雑誌によっては プロップスタイリストを お願いすることもあった
楽しいんだよね
撮影ブツまわりの いろんなもの 用意してくれるんだ

今回は サングラスだから
貝殻とか 砂とか
海をキーワードにした イメージだね

コンセプトは ちょっとした ストーリー

〜おはよう
 コーヒー ありがとう
 ん なんか 口に引っかかる
 もしかして 砂?
 ローストした コーヒー豆に
 紛れ込んだのかな?
 拾ってきた 貝殻から
 こぼれ落ちた砂〜

カーテンから 光が やわらかな 青色の中に

〜君のサングラス 相変わらずの 気取り屋さん
 パリみやげかな
 すごく 綺麗な色 ピンク 入ってるね〜

〜あなたのだって フレームに 白い皮まいて
 どこで 手に入れたのやら
 でも 似合っているわ〜

サングラスは 会話する
たわいもない 会話
今日も いい天気 Enjoy summer

柔らかな光も もうすぐに
強烈な日差しに変わる

全体にLEDで 青入れて
サングラスのピンク 感じさせて
もっと彩度 上げたいけど
印刷のCMYKだと 
ちょっと 再現 難しいかな

ライティングの組み立て             

ライト:❶Aputure NOVA P300c ❷broncolor Picolite+Projection attachment 
    ❸broncolor Pulso+P70 standard reflector 
カメラ:Canon EOS R6
レンズ:EF24-105mm F4L IS USM 1/50秒 f9 ISO100

青に色味を調整した背景用ライト❶。
撮影台下から入れて、サングラスを載せた乳白アクリル板を薄い青にする。
ピンスポットのライト❷。画面右のサングラスと巻き貝にあてる。
メインライト❸。
斜めにした乳白アクリル板を透過する光と、
アクリル板の上から回り込む光をミックスしている。
背景用❶(写真)、ピンスポット❷(写真)、メイン❸(写真)の
3灯を合わせてライティング完成。

今回の撮影スタンスはスピード&機動力重視の雑誌撮影。
サイコロ(白い木箱)の上に薄手のアクリル板を置けば、コンパクトな透過光セットの出来上がり。
ライトは3灯使用。
アクリル板下からのライトは、中型のLEDパネルを床置きで使用。
サイコロで囲んだ撮影台の横から青い光を入れて回し、上部を覆うアクリル板全体に色をつけている。
小型ストロボにプロジェクション・アタッチメントをつけて、ピンスポットを入れる。
プロジェクション・アタッチメントにはレンズが内蔵されているので、シャープに絞ったスポット光が可能。
奥(写真画面では上)からのライトがメインライト。
重ねた2枚のアクリル板の間に照射。
サングラス、貝殻の影を手前(画面下)に落とし、画面全体に立体感を出す。

カメラが眼鏡をかけている感じで、レンズ直前に別のサングラスをセット。
そのシルエットを画面に入れてみた。
Ph.05のメインをオフ、代わりに被写体ほぼ真上からのライトを加えた3灯撮影。

永山航平
ながやま・こうへい/1996年生まれ
2022年よりスタジオD21にて2年半勤務。2025年3月より独立しフリーで活動中。
Instagram:@koheinagphoto

高井哲朗
たかい・てつろう/1978年 フリーとして活動開始。1986年(株)高井写真研究所設立。広告写真を中心に活動するかたわら、ゼウスクラブを開催し、写真の可能性を伝導する。
www.kenkyujo.co.jp/
x.com/tetsurotakai

コマーシャル・フォト2025年06月号記事より

ゼウスのスチルライフマジック 記事一覧

コマーシャル・フォトで好評連載中の「高井哲朗/ゼウスのスチルライフマジック」がMOOKとしてまとまりました。
化粧品のボトル、ジュエリーから自転車、バイクまでさまざまな「ブツ撮り」に挑戦。

Vol.1
「ゼウスのスチルライフマジック

プロフェッショナルスタジオライティングのアイデアと実践」

Vol.2
「光を操るスタジオ・スチルライフ ライティングのアイデアと実践」

【特集】「自然光を生かした新時代のポートレイトライティング」
PART1では、上村窓、ヨシダキヅク、小見山峻、佐野円香の4名が、それぞれの作品を通して“新時代の自然光ライティング”を解説。PART2では中野敬久が俳優 宮﨑優を撮り下ろし、自然光撮影の実践テクニックを紹介します。自然光のメリット・デメリットを理解し、ポートレイト撮影の幅を広げたいフォトグラファーに向けた保存版特集。

【FEATURE】
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12月に発売された志尊淳アニバーサリー写真集「final」。撮影を担当した映画監督・映像作家として活躍する柿本ケンサクと、俳優・志尊淳による対談企画。写真集『final』の撮影背景、テーマ設定、ビジュアルづくりの裏側を語り合う。2人だからこそ語れる、創作への向き合い方や撮影現場の空気感が詰まったインタビュー。

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