植物の「炭」でできた立体造形の「黒」を撮る
Photo&Words:Tetsuro Takai
Art&Photo Direction: Takashi Sakumiya

高井哲朗が
スタジオスチルライフ撮影の
アイデアと 愉しみを 伝授
創造主ゼウスのように
光を操って 宇宙を創造しよう
スチルライフ それは あなたが
神になれる世界
ゼウス高井の古くからの知り合い、作宮 隆さん。
広告のAD/CDとして活躍していた頃から、造形作家として木や植物の炭を使った「活け花炭」という立体作品を作り続けている。
今回はその漆黒のアートを撮っていこう。
1カット目は図録に載せるような俯瞰撮影。
2カット目は、作宮さんの造形を題材にゼウスカラーも加えてみた。

作宮 隆さんから 炭の作品を展示すると
個展案内状が来た
炭ね?
随分前に 広告の仕事を
一緒にしていたこともあって
懐かしさもあり 覗きに行ってみた
確かに 炭だ まっくろくろすけ
でもなぜか 惹かれるものがある
日本古来の炭焼技法 「花炭」
別名「飾り炭」と 説明してくれた
作品集もあって 写真は自然光で撮っているみたい
自然光もいいけど ライティングするのも良いよって
ゼウスのページに お誘いした
昔の広告仕事の時みたいに
作宮さんは アレコレ 言ってくれれば
ライティングするからさ って事でね
黒い炭となっても その美しさは 崩れることなく
カタチとして実在する
植物と 火と 人の手が融合した作品
「活け花炭」 いけはなすみ
わび・さびの美の空間を 展開していきたい
作家としての生き方が 綴ってあった 写真集
でも今日は 広告仕事の時の デザイナー 作宮さんだった
ブツ撮りの原点
光で モノの存在感を演出
漆黒の美の境地に生きる
ライティングの組み立て

❸broncolor Imapact 21+Fibrolite(製造終了製品)
カメラ:Canon EOS R6
レンズ:EF50mm F2.5 Compact Macro 1/125秒 f9 ISO100
削り出した檜の炭に小麦などの花炭を配した作品を俯瞰撮影する。

ほぼ真横からの光で表面の木目を際立たせる。

メインライト❶に対して、フィルインライト的役割。

(以下「光ファイバーライト」と表記)のピンスポットで
センター部分に光を入れて完成。
セッティング〜撮影

スヌート、光ファイバーライトのスポットで部分的に光を入れている。
ライトは3灯ともストロボ。

メインライトの小型ボックスは、木のブロックの木目と並行になるように置き、木目の凹凸を強調した。

手前からのスヌートでフィルインライトを入れる。
炭の黒さや立体感を損なわないように、光を回しすぎないのがポイント。

ストロボヘッドに繋がっていて、瞬間光のピンスポット照射が可能。
ここではスポット範囲をさらに狭めるため、先端に黒テープを巻いている。

特に今回のようなモノトーンの被写体では、光の強さやあて方で、
作品のイメージが大きく変わってしまう。
昔の広告仕事の時のように「あ・うん」の呼吸で、作宮さんの求めるイメージに近づけていく。
ZEUS’S STILL LIFE MAGIC

炭の作品は まっ黒なのに どこか 密やかに光る
吸いこまれた光が きらり と 返してくる
石炭のよう あるいは 黒い宝石
深く 静かな光沢を持ち
表面を包むのは 有機の記憶なのか
「ぬめり」と光を返す
光を当てれば 影が踊り 奥から声がする
立体が ゆっくり 息をしはじめ
影と光が 舞をはじめる
命が そこに宿っているようで 無彩色の 黒なのに
見つめていると
いろんな色が 心に広がっていく
「絵の具はダメでも 色の光なら
高井さんのイメージで自由に使っていいよ」って
作宮さんが 言ってくれた
だから 好き勝手に光を踊らせた
反射する光たちで 形を浮かび上がらせる実験
炭の中には 生き物みたいな 細胞たちが
ぎっしり うごめいてる
ひとつひとつが 命の種
土台の檜は 磨かれて まっすぐで
深海を進む 船
進行色の緑が 先を照らし あとを追うのは 燃える赤
暗闇をゆく 飛行船
炭の黒に パースを与え 下から上へと 立ち上がる
光を裂いて 空を抜け 宇宙を目指す
地球の生命をのせて
うごめくDNA 未来の宇宙船が
飛び立つみたいに
この宇宙にある すべての命は
かたちを変えて めぐり続ける
繊細で 力強く 永遠に 循環していく
形の奥にある 命の気配
美のはじまりだと
作宮さんは 燃える炎で
純粋な形だけを 閉じ込めた
これからも 漆黒の世界へ
わび・さびの宇宙へ
静かに 深く 入り込んでいくのだろう
ライティングの組み立て

❸ broncolor Imapact 21+Fibrolite(製造終了製品)
❹LEDハンドライト(懐中電灯) ❺ broncolor Pulso+Conical snoot
カメラ:Canon EOS R6
レンズ:EF50mm F2.5 Compact Macro 1/10秒 f8 ISO100

カラーライトを反射してかなり色がのってくる。




ライトの照射口半分をブルーフィルターで覆っているため、
手前の種子はやや暗く青みがかる。
セッティング〜撮影

光ファイバーライトは写真右下にあるストロボヘッドに繋がっている。

黒い木の箱に収められている。種が詰まったサヤようにも、船のようにも見える。

最新LEDチップセットを搭載しRec.2020色域の90%以上を再現可能なフルカラーライト。
赤〜オレンジに設定して照射。

右写真の「STORM 80c」でオレンジに染めた炭の表面に、補色のグリーンでグラデーションをつくる。

撮影専用ライトではないが、光線が強く、照射範囲もある程度の調整ができるので、
この連載でも何度か登場している。炭の船の上部に強めのハイライトを入れた。

明るくなりすぎないようにスヌート先端の半分を厚手のブルーフィルターで遮り、
手前部分に種子に青みをのせている。
作宮 隆 / さくみや・たかし
1954年 金沢市生まれ。1978年 日本デザインセンター入社。
以降、第一企画、ADK、アイプラネットにて広告デザイン、TV-CFのアートディレクター&クリエイティブディレクターとして活躍。2004年 植物の炭化焼成「花炭」を使った作品を発表。造形作家として作品発表を続ける。2025年3月 銀座・ギャラリー枝香庵で個展「生け花炭~いけはなすみ」を開催。
右写真は個展に併せて作られた作品集。

高井哲朗
たかい・てつろう/1978年 フリーとして活動開始。1986年(株)高井写真研究所設立。広告写真を中心に活動するかたわら、ゼウスクラブを開催し、写真の可能性を伝導する。
www.kenkyujo.co.jp/
x.com/tetsurotakai
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