スーパーマクロレンズで蝶の翅を接写する
Photo&Words: Tetsuro Takai Photo: QI YUHAO

高井哲朗が
スタジオスチルライフ撮影の
アイデアと 愉しみを 伝授
創造主ゼウスのように
光を操って 宇宙を創造しよう
スチルライフ それは あなたが
神になれる世界
以前にもこの連載(第34回)に登場してくれた中国人フォトグラファー戚 羽豪(セキ ウゴウ/QI YUHAO)さんから「面白いレンズがあるので撮影しましょう」というお誘い。
そのレンズとはスコープタイプのスーパーマクロレンズ「AstrHori 28 mm F 13 Macro 2 : 1」。
蝶の標本を題材に、超接写&近接ライティングに挑戦する。

戚(セキ)くんのスタジオに
気になる接写レンズがあった
先が細長くて 不思議な形状
カメラボディから 細い棒が伸びてる感じ
内視鏡みたいに レンズの先には
LEDライトもついている
水中に入れても いいみたいだ
興味津々
撮影用に集めてた 蝶の標本コレクションから
繊細な翅を 被写体に
まず 戚くんが撮影する
翅は薄くて 軽いから 固定するのも ひと苦労
風があたれば 一瞬で飛んでいく
超接写だから 少し動くだけで
どこを撮っているのか わからなくなる
なんとか アングルを決めて
ライティングを調整してるけど
光の方向が 少し変わると見え方も
どんどん 変わっていくみたいだ
その作業は とても楽しそうだけど
いろいろ 変化しすぎて 決めかねている
肉眼では 確認できない マクロな世界なんだな
自然の 構築物 彷徨う冒険の旅だね
さて どんな建築物 発見できるのかな
ライティングの組み立て

❷ broncolor Boxlite 40 ❸ INKEE GOLD CROW GC30
カメラ:Canon EOS R5 Mark II
レンズ:AstrHori 28mm F13 Macro 2:1 1/8秒 ISO100
ボックスライトの乳白アクリル面に、青紫の半透明アクリル板と和紙を敷き、蝶の翅を置いて俯瞰撮影。


Φ3センチ程度のピンスポットを照射。

被写体は15ミリほどのサイズなので、ライトを手持ちにして、
距離・角度で青の濃さ、明るさを調整している。
セッティング〜撮影

スコープ先端にはリング状のLEDライトがついている。

メインライトの小型ストロボは、スポット光用アタッチメントをつけて、
被写体の翅から4センチほどの位置にセット。

倍率は2倍。被写体の翅は全長15ミリほど。
少しの風でも動いてしまうため室内のクーラーも止めて撮影。

カメラの角度操作ではアングルが大きく変わってしまうため、和紙を少しずつズラしながら調整をした。


全長158ミリで、ハンドグリップをつけて片手で操作できるサイズながら、出力は30Wとなかなかに強力。
しかし今回は接写撮影なので、出力を絞り、ブルーのフィルターを重ね掛けして光量を落としている。
ZEUS’S STILL LIFE MAGIC

写真撮ってない時に よく考える
絵を描くって 写真を撮るってなんなんだろう?
楽しい?
歩いていて ふと立ち止まって 見る
気になって 撮る
それは 心の奥にある 何かが 動くからなのか
見たもの 見せたいから?
きっと 何かをつくること と
それを誰かに見せてあげたいこと は
人間の中に もともと 組み込まれていて
それが生きている証 喜びの行動
楽しみみたいなものなんだろう
カメラにつけてる 標準的なレンズ
普通に覗き込んでも
いろんなものを 発見する
それを いろんな人に見てもらう
それだけでも 楽しいんだけど
超接写レンズをつけてみると
その発見が さらに別の空間に入ったみたいで
すごく ワクワクする
顕微鏡ほど 微細な細胞までは 見えないけれど
自然の構築物の完成度には 驚かされる
マクロの世界は 感激の連続だ
楽しい 興奮する ゾクゾクする
蝶々の翅は とても魅力的な 構造になってる
その 秘められた世界に
直線的な光を 部分的に与えて
不思議な世界を 炙り出していく
あてる光の角度で 虹色が輝いてくる
翅は平面的だけど 色の濃淡の 組み合わせで
深みを持った 奥行きがでてくる
入射角 反射角 多方向の光を計算して
その秘密の色味をさぐり
光を組み替えて 演出していく
抽象世界のイメージだ
色の世界に 踏み込んでいく
それは 命の発見
美の奥にあるもの
それは生命の力を 見ることの喜び
意識しなくても 体は 生きるために
吸って 吐いて 呼吸している
それが 命の不思議
でもそれを 意識して見ると
迷宮の建築物に 出会ったような
自然界の 美しい形を発見する
美は 命の希望の形
生きている意味の発見
美の発見は
生きていることの喜び
ライティングの組み立て

❷ broncolor Picolite+Picolite 用ファイバーライト(アガイオリジナル製品)
❸INKEE GOLD CROW GC30
カメラ:Canon EOS R5 Mark II
レンズ:AstrHori 28mm F13 Macro 2:1 1/60秒 ISO100

ボックスライトの乳白アクリル面に半透明のカラーアクリル板を重ねているため、
周辺にあたった光が乳白アクリルに反射して、下から透過光を入れたような光の滲み、
グラデーションができる。

光ファイバーライト❷をあてる。


背景全体にも光があてることでカラーアクリル板の色を出し、
ライト❶❷で作ったグラデーションを馴染ませている。
セッティング〜撮影

手持ちLEDライトの3灯ライティング。撮影台にしたボックスライトは発光させていない。

わずか角度の違いや距離の違いで見え方が大きく変わってしまうため、
モデリングライトをあてながら、微細に調整していく。

戚さんの撮影よりも引きのアングルで翅から4センチほどの位置にレンズを固定。
画面左から伸びているのが光ファイバーライトの先端。

被写体との距離を変えたり、光の中心をずらすことで、画面全体の明るさを調整している。
さらに寄ってみた


レンズを近づけると周囲のライトがレンズ自体に遮られるため、
レンズ先端のリングライトを点灯している。

ここまで寄ると、ピントやカメラの振動によるブレなどかなりシビアな撮影が要求される。
戚 羽豪 (QI YUHAO/セキ ウゴウ)
中国 杭州出身。多摩美術大学卒。2020年会社SPARKING ART STUDIO設立。2023年、高田馬場にスタジオを構える。
アート作品のアーカイブ撮影、フィルム現像・データ化、手焼きプリント、デジタルプリントなどの業務の傍ら、B&Wを中心にアート作品を発表。
https://www.sparkingartstudio.com/
高井哲朗
たかい・てつろう/1978年 フリーとして活動開始。1986年(株)高井写真研究所設立。広告写真を中心に活動するかたわら、ゼウスクラブを開催し、写真の可能性を伝導する。
www.kenkyujo.co.jp/
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