人が座っていない椅子にスポットをあてる
Photo&Words:Tetsuro Takai Photo: Eriko Akiyama

高井哲朗が
スタジオスチルライフ撮影の
アイデアと 愉しみを 伝授
創造主ゼウスのように
光を操って 宇宙を創造しよう
スチルライフ それは あなたが
神になれる世界
家具メーカー「アルフレックス ジャパン」に勤めている秋山瑛莉子さん。
自社で扱っている椅子を自分で撮ってみたいとのこと。
大きなブツの撮影には不慣れな秋山さんに、ゼウス高井は自然光に3灯のアクセントを足すライティングを提案。
これならどの光を組み合わせても面白いアートフォトになる。
一方、ゼウスは「椅子たちの会合」(?)に潜入撮影。

被写体の椅子:アルフレックス ジャパン OMEGA(秋山さん私物)
瑛莉子さんの職場は イタリア系のインテリアを 扱ってる会社だ
ゼウスクラブには ずいぶん前から 遊びにきていて
インテリア情報 いろいろ 教えてくれる
旅行好きで あちこち 飛んでて
ヨーロッパの景色 食べ物 気になるものは
どんどん 撮ってるみたい
特に インテリア系には うるさい感じ
そんな「こだわり」さんが 自分で 椅子を撮ってみたいと
その愛すべき姿を 捉えてみたいと スタジオに持ち込んできた
木材のカーブが 美しいから これを うまく撮りたいと言う
派手な彩色や 奇抜なデザイン ではないから
モダンアート的な ストレートだけど エレガントな写真
目指してるみたい
基本的でありながら アート的な商品写真は
簡単そうで 奥が深いのよね
何を見せたいのか そこから出発だね
ライティングの組み立て

カメラ:Canon EOS R6
レンズ:EF24-105mm F4L IS USM 1/60秒 f16 ISO100

窓からの自然光にライト❶を入れた状態。


❷のLEDライトの色味を調整して完成。

冬の午後、陽が傾き、窓から奥の壁に入る光がちょうど椅子と重なったタイミングでシャッターを切った。


シャープな光のサークルを自然光に重ねる。

バリエーション

写真左は、窓のスクリーンカーテンを降ろして自然光をディフーズした状態。
斜めのハイライトラインは、カーテン上の隙間から漏れてくる光。
写真右は、LEDカラーライトのみの撮影。自然光は完全にカットしている。
ZEUS’S STILL LIFE MAGIC

新宿のとあるマンションの一室
「椅子が椅子であることを お話しする」 と聞いた
へー 何? それ ってことで 覗きに 行ってみた
そこは こざっぱりとしたマンションで
椅子の話を聞きに来た椅子たちが 数脚 いた
「私は撮影のために買われて
いままで いろんな人を この細い腕で抱き上げてきたのよ」
なんて 言ってる 華奢な白い椅子さんだったり
「僕たちは 会議用に買われて 散々 ぐるぐる 回されて
難解な問題 出るたびに 腕を揉まれたりして
綺麗な体も ぐちゃぐちゃになっちまった」
なんて 愚痴ってる 双子の兄弟だったり
「君たちは まだいいよ
僕なんか 子供の相手でもう大変
ほら クッション ヘタレまくってるのよ」
と 話しているのもいる
「へー それは みんな大変だね
俺なんかは どちらかといえば ラッキーなのかも
通販で買われたんだけど 会社がコロナでさ
縮小されちまうことになって ポイされちまったのよ
貼り紙一枚
欲しい人がいれば どうぞってね
それを拾われて このスタジオに来たけど
そこのアシスタント 面倒見がよくってさ
綺麗に磨いてくれて いまでは 先生のお気に入り
しばらくは安泰」
そんな雑談してるところで 主役登場だ
流れるライン フレームは3次元整形
手作りの 精緻な仕上げと相まって どの角度から見ても繊細
隙のない美しさ エレガントな存在感
正統派の椅子様だ
筋の通った 話しっぷり
磨き上げられた 美しいカーブの御姿
品格のある言葉遣い
インテリア業界の金字塔
そのお言葉は 納得の連続 さすがでした
感激の拍手は 鳴り止まず
隣の部屋まで 響き渡ってた………
なんてね
ちんぷんかんな 寓話だけど ありそうな話でしょ?
スチルライフは
想像だけで 別世界を作れるんだよ
ライティングの組み立て

カメラ:Canon EOS R6
レンズ:EF24-105mm F4L IS USM 1/10秒 f8 ISO100

人工光のみで場面をつくっていく。
天井から下がる室内光のみの地明かり。





いつもは会議室の備品扱いの椅子が本日は主人公。
メインの椅子の回りにスタジオ中の椅子を並べ、それぞれの用途や性格に合わせて、服をのせた。

カメラをライトの背後、高い位置にセットしてアングルを決めていく。

窓の向こうには明け方の新宿高層ビルが見えるという設定(実際は夕方)。

やや離れた位置から照射して、背景の壁と椅子の背もたれ部分の明るさを補う。

少しばかり妖しげな会合というわけで、色は赤味の強いピンクに調整、最大出力(300W)で照射。

床に転がしたミラーボールに向けて照射。
高井哲朗
たかい・てつろう/1978年 フリーとして活動開始。1986年(株)高井写真研究所設立。広告写真を中心に活動するかたわら、ゼウスクラブを開催し、写真の可能性を伝導する。
www.kenkyujo.co.jp/
x.com/tetsurotakai
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