写真家の大野咲子氏が自身初となる写真集『家族のあとさき』が発売中。
3年余りにわたって取り組んだ不妊治療の日々を撮影した。

家族のかたちを探る、不妊治療の日々のアルバム
大野咲子氏の初写真集『家族のあとさき』は、3年余りにわたって取り組んだ不妊治療の日々に撮影された。
孤独感を伴う時間のなかで、視覚感覚が変わり、身のまわりの些細なものが生殖や血に関わるものに思えてくる体験もあったと言う。
写真集のページには、治療中のセルフポートレート、家のなかの光景、外で働く自分、そして視覚体験に基づくスナップが、アルバムに貼り込まれた繋がりのある時間のように、渦を成して表れている。
自己と他者、内と外、心象と風景が互いを映し出しながら、「家族」という存在を問いかけ、その多様で、変わり得る、選び得る可能性を浮き彫りにする。



赤い布装の装丁や構成は、大野の母親が子のために手作りした幼少期のアルバムに想を得て制作された。
「この光景は、母にあって私にないもの、私にあって母にないもの、共にあるもの、そして誰かの過去であり未来かもしれません。」
個人的な体験から発して、いまを生きるひとりひとりのつながりや選択を照らし出す一冊だ。
書籍情報

大野咲子「家族のあとさき」
定価:4,000円+税
Art Direction:鈴木千佳子
発行:PURPLE
印刷製本:ライブアートブックス
Size: H236mm ×W263mm
Page:40 pages
Binding:Cloth hardcover
Published in March 2, 2024
ISBN978-4-9912907-2-5
プロフィール
大野咲子 |Sakiko Ono
1980年茨城県生まれ。
2004年東京造形大学デザイン学科、
2006年東京ビジュアルアーツ写真学科卒業後、アマナ入社。
本作が初の写真集となる。

コマーシャル・フォト 2025年3月号
【別冊付録】CM・映像 キャメラマン&ライトマン ファイル 2025
【別冊付録】
CM・映像 キャメラマン&ライトマン ファイル 2025
CM業界、映像業界関係者必携の1冊! CMやMVの分野を中心に活躍する、キャメラマンやライティング・テクニシャンの185人のプロフィールや仕事データを掲載。※電子版では、付録は本誌の後のページに収録されています。
【特集】
「写真におけるAIの今」
今回の巻頭特集は「写真におけるAIの今」。博報堂プロダクツREMBRANDTが行なった、レタッチャーによる 生成AIビジュアル作品展「PHANTOM」を取り上げ、写真におけるAIの現状を紐解いていく。
【誌上写真展】
写真学生たちの挑戦 2025
日本大学 芸術学部 写真学科/東京工芸大学 芸術学部 写真学科/長岡造形大学 視覚デザイン学科/日本写真芸術専門学校/東北芸術工科大学 グラフィックデザイン学科
【新連載】
長山一樹流 違いを生むコマーシャル・ポートレイト
「 ポートレイトisブラックアンドホワイト」
【FEATURE】
「Tokyo Moonscapes 東京恋図」 南雲暁彦
「FLORA / ECHO」 大和田良
「フィルムの世界、4人の視点」増田彩来/鈴木文彦/染谷かおり/松本慎一
ほか