広告写真の可能性を広げる ソニーα9 III

ソニーα9 III×末長 真

広告:ソニーマーケティング

世界初のグローバルシャッターを搭載したカメラとして、「カメラグランプリ2024」を受賞したソニーα9 III。
みずみずしい一瞬を切り取る作風で活躍する広告写真家・末長 真氏が、グローバルシャッター採用の恩恵の1つである「全速フラッシュ同調」を軸に撮影を行った。α9 IIIを広告の仕事でどのように活用するのかを聞いた。

ソニーα9 III+FE 24mm F1.4 GM+HVL-F60RM2 F1.8 1/32000秒 ISO1000
ソニーα9 III+FE 50mm F1.2 GM+HVL-F60RM2 F1.8 1/20000秒 ISO640

COMMENT 末長 真

“来るべき一瞬”に反応する。失敗がない。その安心感は何ものにも代え難い。

 仕事でも作品においても、日中の屋外で開放に近い絞り値で撮影することが多いため、NDフィルターをつけて撮影することが多いのですが、α9 IIIではシャッタースピードを最高1/80000秒まで上げられるので、フィルターを付け外しする必要がなく、レンズの解像感を下げずに撮影できるのが強みと感じています。

 グローバルシャッターの採用により可能になった、スポーツや野生動物撮影の現場で特に重宝される、「全速フラッシュ同調」という機能を、今回は普段の広告写真の撮影にどう落とし込めるのかを実践してみました。1枚目は1/32000秒という高速シャッターとフラッシュ同調を活かし、水の飛沫と子どものみずみずしい表情を写し止めました。どれだけ高速なシャッタースピードでも幕切れを起こさず、必ずシンクロしてくれるという安心感がありました。いくつかシャッターを切った中で、水飛沫の表情もさることながら、子どもの顔前に大きな水滴がかかり、幻想的なイメージになりつつ顔が明るく立って絵全体のテンションが高くなった掲載カットをセレクトしました。

 一方、2枚目は画面右からオフカメラでフラッシュを打っています。晴天の逆光下でしたが空の青色など背景のニュアンスはきちんと残しつつ、モデルの存在感を際立たせ、さらに瞳にキャッチライトを入れられました。モデルは終始ご機嫌で、かわいらしい笑顔も魅力的ですが、一瞬だけ見せた真剣な眼差しを逃さず捉えられました。こうした意外性のある瞬間が、人目を引く写真になります。ソニー純正のフラッシュ同士のペアリングは操作性に優れており、アシスタントの手持ちのフラッシュの出力をオンカメラ側で変えられるのは便利でした。ミニマムな撮影や機動力の必要なロケ撮影では役立つに違いありません。

 また、α9 IIIは最高約120コマ/秒で連続撮影できます。ボタンに指をかけておけば、あとは会話をしながら、いい光や瞬間が訪れた時に一撃するだけ。それだけで120枚を捉えられている安心感は何ものにも代え難いものです。他にもグローバルシャッター方式の採用による大きなメリットとして、フリッカーや歪みが発生しないので、様々な光源下やシチュエーションで行われる映画やドラマのスチル撮影、動きの速い車体と組み合わせるロケ撮影で重宝することは間違いありません。

 “1枚で人の心を掴む”という命題を持つ広告写真において、来るべき一瞬にいかに反応できるかはとても重要です。フィルムではできない撮影をするためにデジタルカメラを選ぶ私にとって、「全速フラッシュ同調」や「秒間最高約120コマ」という機能をもつソニーα9 IIIは、広告写真の新たな扉や可能性を開いてくれた1台です。

MAKING

ソニー純正の大光量フラッシュ「HVL-F60RM2」には、光量を調整するためのNDフィルターと、ハイライトを温かみのある色合いにするためアンバーのカラーフィルターを装着。着脱をしなくてよいように寄りカット時の露出に合わせておき、引きカットではフラッシュの出力を上げて調整した。

撮影は晴れた日中の逆光下で、あえて輝度差の激しいシチュエーション。さらに被写体も表情やポーズの指示が難しく、自由に動き回る子どもだったが、一瞬の表情を高速シャッターと全速フラッシュ同調の組み合わせで印象的に捉えた。

末長真(すえなが・まこと)
1990年生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業後アマナを経て、2016年より瀧本幹也氏に師事。2021年独立。
Web:www.suenagamakoto.com/ Instagram:@makotomaxx

Pick Up Body

ソニーα9 III
レンズマウント:Eマウント 撮像素子:35mmフルサイズ、Exmor RS CMOSセンサー 有効画素数:最大約2460万画素(静止画時) 連続撮影速度:最高約120コマ/秒 ISO感度: ISO250〜25600 (拡張:ISO125〜51200、静止画撮影時) ファインダー:0.64型電子式ビューファインダー(Quad-XGA OLED) 液晶モニター:3.2型TFT駆動、タッチパネル対応 重さ:約703g(バッテリー、メモリーカード含む) 大きさ:約136.1×96.9×72.8 mm(グリップからモニターまで)
詳細:https://www.sony.jp/ichigan/products/ILCE-9M3/

コマーシャル・フォト 2024年11月号

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フォトグラファー shuntaroが率いるbird and insectが JO1メンバー11名をそれぞれのテーマで撮り下ろす。インタビューでは今回の撮影テーマや撮影設計、アーティストを撮影することについて語ってもらった。撮影メイキングと共に、ライティング解説も。JO1メンバーへのインタビューも掲載。

特集内では、ライブ撮影やアーティスト撮影を行なうフォトグラファー4名を取材し、様々な音楽写真をインタビュー記事と合わせて紹介する。
三吉ツカサ/岡田裕介/神藤 剛/笹原清明

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 Vol.13「木村和平の作風を構成する要素

■連載Create My Book -自分らしいポートフォリオブックを作る- Vol.3 
 「ドラマチックを生み出す魔法」 金村美玖

ほか