今回は新進気鋭のフォトグラファーたちが、それぞれのレンズを使い、新しい表現の可能性を探る撮影へと臨んだ。
レンズの魅力を最大限引き出すため、被写体選び、撮影手法、アイデアにこだわったYohei Yamada氏の挑戦に注目してほしい。
Yohei Yamada(bird and insect)×Sigma 35mm F1.2DG II | Art



INTERVIEW
―― まずは35mm での撮影を終えていかがでしょうか?
シグマのArt シリーズは「解像度がすごく高い」というイメージがあって、使ってみるとやっぱりその性能の高さがわかります。とくに隅の隅までの解像感です。基本的に35mm のレンズを使用する際は、絵の中央を使うことを想定して構成することが多いんです。普段スタジオでブツ撮りをする時も、トリミング前提で組んで中央部分を使っています。ですが、今回は画角のギリギリまで、フルでブツを入れて撮ってみました。見ていただければわかると思いますが、周辺までしっかりと解像しています。「周辺もここまで解像するのか」というのが率直な感想でした。
―― 今回の被写体の設定についても詳しく教えてください。
テストシュートの段階から、キーワードは解像感だと考えていたので、その部分をしっかり感じられるものを撮りたいと考えました。今回で言うと伊勢エビ。甲殻類としての硬さや体全体の棘、触覚などのゴツゴツとした質感の表現には高い解像感が求められますし、フルーツやお花、布など、質感のバリエーションを意識して選んでいます。また、ザクロを画角の左端に置いていま
す。個人的にはここの立体感が好きです。レンズに解像力がないと、このあたりの描写はなんとなく潰れていってしまうこともあります。現像でフォローすることも可能なんですが、やっぱり元からしっかりと解像しているデータがあるから、その先の取捨選択ができると考えているので、ありがたいです。
――構図にもポイントがありますか?
あえて中央にメインの被写体を持ってきていない、という点です。テーブル全体にバーっと広がるように配置しています。絵の構成上、それが可能なレンズ、ということですね。35mm ですが、周辺のパースも極端に出てくる感じではなく、絵にキレが出たと思います。
―― ボケ感を生かしたカットも撮影されています。
このカットはf1.2の開放です。これは結構奥行きがあるレイヤーで撮っています。ポイントとしては花の立体感の表現。絞りを開放にすることで、明確な意志をもって花をアイキャッチにしていま
す。注目したいのはボケの自然さです。主張の強いボケだと、こういうシチュエーションでは積極的に開放に取り組みづらいと思っています。
このレンズは滑らかなボケなので、こういったレイヤーが重なった構図の中でも、アイキャッチとなる存在を自然に浮き上がらせることができました。 かつ、ピントが合っている部分(赤い花)の解像感もしっかりしているのが個人的にはとても良かったです。
―― そのほか、使い勝手の点はいかがでしたか?
基本的には三脚にセットしての撮影だったのですが、最初に構図を決める際は手持ちでテストしています。f1.2のレンズはどうしても重くなる印象ですが、とても軽いことに驚きました。
あとは最短撮影距離が 28cm なのもいいですね。今回は40cm くらいでちょっと余裕を持ちましたが、まだまだ寄ることができるのも表現の幅を広げられそうです。
MAKING


高い解像力を余すことなく表現するため、35mm の画角をいっぱいまで使い、テーブル全体にアイテムを配置している。

Sigma 35mm F1.2 DG II | Art
2025年9月発売。2019年に世界初のミラーレス用35mm F1.2として発売された「Sigma 35mm F1.2 DGDN | Art」の後継機種となる。最新技術を投入し、より高い光学性能と、約30%の軽量化を実現。重量は約755g と大幅にサイズダウン。最短撮影距離は28cm。ソニーE /L マウントに対応。
詳細はこちらから
https://www.sigma-global.com/jp/lenses/a025_35_12/
Yohei Yamada(bird and insect)×Sigma 50mm F1.2 DG DN | Art
フルーツと水のラインを美しく、
50mm の構図で視線をキャッチする

INTERVIEW
―― 今回、特別に同シリーズのSigma50mm F1.2 DG DN | Art での撮影にも挑戦していただきました。こちらはどのような設定で撮影されましたか?
まず35mm では少し寄って広角表現を強調したのですが、50mm では水の流れを美しく出すため、少し引き気味にし、絵面全体の縦ラインの流れとダイナミックさのいいとこ取りを目指しました。ライティングは、下手の斜め後ろから1灯+フロントトップから1灯、さらにバーライトを使ったセッティングです。
―― フォーカスはどのように合わせられましたか?
これはマニュアルフォーカスの置きピンで撮影しています。オートフォーカスも高性能だったのですが、マニュアルフォーカスで使用した際にフォーカスリングがとても滑らかでするっと動くのでピント合わせも苦労しませんでした。今回は静止画のみですが、弊社(bird andinsect)では動画も撮影しているので、この感覚はとても良いなと感じました。
―― あらためて本レンズの強みはどこだと思われますか?
50mm という画角は、35mm と比べて絵を整理しやすく、寄りで撮影した時に「おいしい部分」をしっかり抜き出せるのが強みだと考えています。ダイナミックさと整然とした構図のきれいさを両立できる。ですので、このカットはあえて素材を中央の縦のライン上に集めています。今回は、開放ではなく、やや絞ってf5.6に。Art ラインである本レンズの解像力を最大限に引き出すことを狙っています。水(オイル)が流れ落ちる中にあるフルーツと花を、より印象的になるよう50mm の画角に収め、オレンジの果肉部分のみずみずしさ、水(オイル)の流れ落ちるラインの鮮明さを強く打ち出しました。
―― 実は普段もArt ラインのレンズを使用しているとお聞きしました。
はい、何本か使用しています。35mmのページでも少し触れたのですが、今回の撮影に先駆けてレンズを受け取った時、その軽さにあらためて驚きました。
「機材間違えているんじゃないか」と思ったくらいです(笑)。また、フォーカスリングの滑らかさはやはり動画撮影時にも生かせそうです。あとは、やはりf1.2なので、人物のスナップでも使用してみたいです。
MAKING


フルーツと花を固定し、上から水に見立てたオイルを流していく。下手側から1灯照射し、フロントトップのスポットライトとLED バーライトで艶を出している。
Yohei Yamada やまだ・ようへい
1993年山梨生まれ。IT 企業でSE としてのキャリアを経て、bird and insect に加入。写真と映像を用い、時間を超えて記憶に残る表現を探求している。
Web:https://bird-and-insect.com/works/member/yohei-yamada/

Sigma 50mm F1.2 DG DN | Art
開放値F1.2の明るさを備え、最高レベルの描写力をうたう標準レンズ。開放から高い解像力を実現しつつ、大幅に小型軽量化された。新方式のHLA による高精度AF など、プロフェッショナルユースにも適応。ソニーE /L マウントに対応。
詳細はこちらから
https://www.sigma-global.com/jp/lenses/a024_50_12/
協力:シグマ
コマーシャル・フォト2026年3月号より転載

本特集ではコマーシャル・フォトが注目する若手フォトグラファー5名にフォーカス。直近の仕事を起点に、日々の制作への向き合い方、これから挑戦したい表現やフィールド、そして撮り溜めてきたパーソナルワークについても話を伺った。
岡﨑果歩/カクユウシ/日野敦友/平岡尚子/渡邉成美
【特集】注目レンズを使った撮り下ろし
2人の若手フォトグラファーが、注目の交換レンズを用いて新たな表現に挑戦
湯本浩貴/ZEISS Otus ML 1.4/85
Yohei Yamada(bird and insect)/Sigma 35mm F1.2 DG II | Art、Sigma 50mm F1.2 DG DN | Art
【FEATURE 01】「COLOR CODES II BY KINYA」
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